第41話 グラシル貴族派を撃破しよう(2)
チェスにこれからの作戦内容を聞きながらエルドベルグの城門を出る。チェスが向かったのは、エルドベルグから南西だった。チェスは文字通り神速で駆けて行く。翔太に合わせて十分ゆっくり走ってはいるのだろうがついて行くのが精一杯だ。
1時間どころか半分の30分ほどでグラシルの村の一つ――ニースに到着する。
報告ではレジスタンスはこのニースの村を占拠し拠点としたらしい。まずはレジスタンスのトップに会ってこちらの意向を伝えねばならない。
村の中は完全に廃墟と化していた。
掘立小屋のような木造の建物は燃え落ちて炭になっているものや粉々に破壊されて瓦礫になっているものが散在している。比較的無事な建物も無数の刀傷跡と血糊がこびりついている。地面には血だまりがそこら中で見受けられ、戦闘の激しさを見るものに実感させた。
チェスと翔太が歩を進めると数人の騎士風の者達に囲まれた。どの角度から見ても一般の村民には見えない。訓練されている兵士の動きだ。レジスタンスの構成員だろう。グラシル領内で活動するレジスタンスと聞いていたから、てっきり脱走した村民で構成されるものとばかり思っていたが、少々事情は異なるのかもしれない。
「僕らは君達と戦いに来たんじゃない。君達のリーダーに会わせてよ。ビフレスト王国国王エルバート陛下の密書を持ってきた。そういえばわかるはずだよ」
チェスの言葉に騎士達は混乱している様子だ。互いに顔を見合わせ、一人の男性騎士が一歩前にでた。
「陛下の密書ですか。とすると貴方は王権派とみてよいので?」
「僕達は王権派でも貴族派でもないよ。というよりこの国の人間じゃないしさぁ。
兎も角、この密書をリーダーに渡して」
(まあ、人間でもないんだけどね)
チェスの呟きが聞こえる。このエルドベルグギルド職員特有の呟く癖は健在らしい。
騎士は頭の上にクエスチョンマークを飛び交わしながらチェスから密書を受け取って姿を消した。
数分後、紫色の長髪に眼帯をした美しい女性が転がる様に翔太達の下へ駆けて来た。女性は、よく漫画などに出て来る紺色の軍服の様な服に同じく紺のマントを羽織っていた。もっとも、軍服にしては胸がはだけ過ぎているようだが。
女性はチェスを見ると固まってしまう。チェスも顔に滝のように冷たい汗を流しながら、目を見開いて女性を凝視している。
「あ、姉上?」
「貴様! なぜこんな所にいる!?」
女性は憤怒の表情で腰の剣を抜いてチェスの顔先に向けている。チェスは体中いぼいぼができるほど真っ青になっていた。部外者の翔太からすれば喜劇にしかみえないが、時間もない。早く用件を片付けたい。
「あの~、エルバートさんからの密書読んでくれました?」
「え、エルバートさん? 陛下の事か?」
「はあ。そうですけど」
女性は翔太に射殺すような視線を向けてくる。
「貴様っ! 陛下に向かって!」
翔太はスゥーと目を細める。チェスが恐怖で顔を歪ませながら、翔太と女性を交互にみている。まるで、小動物のようだ。先ほどまでの頼もしさなど皆無である。
「はい。はい。貴族特有のテンプレ発言はもうお腹一杯です。威張り散らしたいのなら、お仲間同士でどうぞ思う存分やってください。
僕とチェスさんはエルバートさんにこの事件の平定を頼まれてきました。約束は約束ですので、貴方達の意思に関わらず、力ずくでも事件の収集を図ります」
「ぐっ! わかった。陛下の意向には逆らえん。こちらに来てもらおう」
女性は瞳を怒りに燃やしながらも翔太とチェスを案内してくれた。
一応、冷静な判断ができるらしい。貴族特有の発言に不愉快になり咄嗟にきつい事を言ってしまった。会話ができないのではエルバートとの約束を完遂できない。多少安心した。
それにしても、最初はエレナ達王侯貴族に『様』付けをすることに嫌悪感はなかった。だが、今は王侯貴族に媚びを売る事自体に途轍もない忌避感がある。これもあのへんてこな夢のせいかもしれない。
暫らく歩いてわかった。この村はとんでもなく貧しい。掘立小屋しかない。台風や地震でも来れば確実に倒壊する。その度に数百人規模の死者が出ると予想される。
別に正義を振りかざすつもりはない。つもりはないが、蛆虫貴族の豚共を肥えさせるために、生贄が必要とは翔太にはどうしても思えなかった。
目の前の女性もレジスタンスを気取って入るが基本は蛆虫貴族と同じだ。人間に序列などない。あくまで評価に過ぎない。
確かに、時、場所、人物等によってはその評価に従わざるを得ない場合はあるだろう。だが、四六時中、誰に対してもそれを強制するのは間違っている。これだけの平等に与えられる死――滅びを見てもそれに気付かない者は蛆虫貴族と基本的に変わりはしない。
女性はとりわけ大きな建物に入っていく。大きな建物と言っても掘立小屋である事には変わりがない。部屋の中も良く言えば質素、悪く言えば何もない部屋だ。そこにデン!と木製の細長いテーブルと椅子があった。進められるままに椅子に腰を下ろす。
椅子には紫髪の眼帯をした女性と、長い黒髪をポニーテールにした女性が座っていた。
黒髪の女性はヴァージルと同じくらいの年齢にみえるが、その落ち着いている雰囲気から察するに20代前半というところかもしれない。服装は鉄の鎧と籠手と皮のブーツといういかにも傭兵や兵士のような恰好だが完璧と言えるほど整った顔の造形が彼女を単なる傭兵や兵士に見せる事を否定する。多分この人がダンカンの姉であろう。
「僕の名前はショウタ・タミヤ。こちらはチェスさんです。どうぞよろしく」
この翔太の言葉に紫髪の女性が応える。
「私はエア・オールディス。私の隣が、ジュリアだ。よろしく頼む」
かったるい挨拶も終わった本題に入ろう。
「密書に書いてある事ではありますが、貴族達の領土に攻め込むのを直ちに中止してください。後は僕とチェスさんが全て処理します」
「「…………」」
眼帯の女性――エアは冷静になり頭が冷えたのか、腕を組んで難しい顔をしたまま考え込んでしまった。
対して黒髪の女性――ジュリアは美しい顔に似合わない獣のような怒りをギラギラ滾らせながら翔太を睨みつけてくる。
王国に雇われて貴族の擁護をするとでも思っているのかもしれない。この女性にとって蛆虫貴族達は何度殺しても飽き足らないくらいの憎しみの対象なのだろう。翔太と気が合いそうだ。早速誤解は解いておく事にする。
「蛆虫貴族が憎いですか?」
黒髪の女性――ジュリアは、呆気に取られて二の句が継げない様子だ。眼帯の女性――エアは苦渋に顔を歪める。エアも貴族だ。心情的には『蛆虫』という言葉に激怒したいし、否定したいのだろうが、この村周辺で行われている事を見るとそれもできない。そんな葛藤が見受けられた。
ジュリアは俯いて手を小刻みに震わせていたが翔太の目を真正面から見つめて来る。
「……憎いです。私は夫を殺されたんです。憎いに決まってます。何度夢の中でバートウィッスル侯爵当主を殺した事か」
「そうですか。ならなおの事、僕達にすべて任せてください。
どの道、バートウィッスル侯爵家は今日で終わりです。爵位の剥奪も決まっていますし、財産すら全て没収されるでしょう。
今まで好き勝手放題やってきた平民になるんです。彼らの人生が今後どうなるか見ものでしょう?」
いつの間にか口角があり得ない程吊り上がっていたらしい。エアとジュリアは石のような固い表情になる。慌てて元の表情に戻す。
「み、密書は拝見させてもらった。これに書いてある事は本当なのか? 魔の森中域に新しい国ができたなど想像ができん。それに、あの生物が住めない灼熱の大地――リージュの砂漠に新たな国ができるなど――」
「信じられないのも無理はありません。僕が貴方方の立場でもきっと同じ反応をしたでしょう。ですが、本当です。魔の森――中域にはすでにニュクスが成立しています。リージュの砂漠とやらにもこの武装蜂起の事件の収拾後に新国家アイテールが成立します」
「姉上。僕もそれは保障するよ」
「お前に保障されてもなぁ……まあいい。私達の目的はこのグラシルの貴族――バートウィッスル侯爵家を打倒することだ。憂さ晴らしをするのが目的ではない。お前達にそれができるならそれでいいさ。
だが、この我等――狐火全員と武装蜂起した領民の身の安全が保障されるとあるが真実か?」
「エルバートさんは絶対に嘘をつくような人ではありませんよ。何より領民の保護はエルバートさんの願いであり、最優先の依頼です。あの人が武装蜂起した領民の保護の策を考え、僕はそれに賛同したにすぎません。僕も一度引き受けたからには絶対にこの依頼を完遂してみせます。
それに、3国同盟はすでに締結されています。効力は発生しているのです。ですからそこは全く心配されなくても結構です」
エアは翔太を無言で暫らく注視していたが、突然頭を深く下げて来た。
「済まなかった。君という人間を言葉使いだけで判断してしまっていた。これほど陛下を信じくださる方に私はなんて無礼な事を……確かに君の言う通り、それでは貴族派の貴族共と全く変わらんな」
予想すらしなかったリアクションに戸惑う翔太。
「いえ、いえ、僕の方こそ生意気を言ってしまい申し訳ありませんでした」
二人で頭を下げている様子は本当に滑稽な事だろう。これでもう少し色気のある状況ならばまるでお見合いのようだ。
「姉上、ショウタちゃん。仲直りしたついでに話を早く進めようよ。チンタラやっていたら、日が暮れてしまう」
「そうですね。貴方達は一度安全な場所まで隠れられませんか? もし安全な場所がなければ僕達が用意します」
「いや、そこまでは迷惑はかけられん。我々、『狐火』は直ぐにアジトに戻る。武装蜂起した領民もできる限り連れて行く。だが――」
「わかってます。この武装蜂起はグラシル全土で起こっているんでしょう? 全員はとても無理でしょう。ですので、チェスさんにその役は担ってもらいます」
「え~~? 僕もショウタちゃんと暴れたいなぁ。グラシルの貴族――バートウィッスル侯爵家と言えば貴族派でも有数の力を有する貴族だし、その警備に雇われている者も、腕がさぞかし立つんだろうねぇ。力を得てからの初めての腕試の機会だしぃ?」
(阿呆ぅ! チェスさんが今更人間種相手に闘いが成立するはずないでしょうが! 魔王が数万体襲ってきても相手にすらならないよ。まったく、この人は――)
「「チェス(さん)!!」」
翔太とエアの両方にゴキブリでも見る様な視線を向けられ、慌てて取り繕う。
「いや~、領民さん達の保護も立派な任務だよね。是非やりたいなぁ。楽しみだなぁ」
そんなチェスの様子に肩を竦めながらも指示を出す。
「では、チェスさんにはまず、エアさん達をアジトまで護衛してください。その後、直ぐに、領民の方々を保護し、エアさんのアジトまで連れて行ってください。お願いできますね?」
「このような奴に護衛をされなくても、私達だけで――」
「駄目です。何があるかわかりません」
「君はホント心配性な奴だな。了解した。君の指示に従おう」
行動指針が示された直後、思いつめたジュリアが翔太に頭を下げる。下げ過ぎてテーブルにゴツンとおでこをぶつけるがお構いなしだ。
「お願いします。私もショウタさんについて行く事をお許しください。
私には弟と妹がいます。弟の家族はバートウィッスル侯爵に現在、人質に取られております。弟も時間の問題……いえ既に捕縛されているかもしれません。妹もおそらくは……。
もう一度だけ彼らに会いたいのです。そして私は――」
(弟と妹か……一人はダンカンさんだ)
「ジュリアさんの弟さんは僕らも知っています。その奥さんとお子さんも無事に保護しました。今はエルドベルグに弟さんと一緒にいます」
「ほ、本当ですか!!? ありがとうございます!」
ジュリアの瞼からポロリと熱い涙が落ちる。
「妹さんも僕が探しておきます。全てが終わったらお会いになったらいかがですか?」
この翔太の提案に対し、ジュリアは首を横に振る。
「いえ私自身で妹を探したいんです。私は過去に妹を見捨ててしまいました。運命に身を任せてしまったのです。もう二度と人任せにはしたくはない」
翔太はエアに助けを求めるが、逆にエアからも頭を下げられる。
「ショウタ殿。私からも頼めないか? 私はジュリアの亭主を助ける事が出来なかった。だからせめてその願いだけは叶えてやりたいんだ」
できれば是非とも拒否したい申し出ではあるが、今回エアには部隊を下げてもらうという借りがある。そのエアに頼まれると非常に断りづらい。
「僕は護衛のプロではありません。今からまさに敵地に乗り込むのです。危険はありますよ。それでもいいですか?」
「勿論です。覚悟はできてします」
この思いつめた感はオーク殲滅前のヴァージルを思い出す。頭を右手で押さえながら、呟くように告げる。
「覚悟をしてもらっては困るんですが……。
……わかりました。ですが、約束してください。絶対に僕の傍を離れないことを」
「はい!」
「では、皆さん。時間も押してます。作戦を開始しましょう。
チェスさんはこのニースの村の人達をエアさん達のアジトまで護衛をしたらすぐにグラシル中の武装蜂起領民の保護。
エアさんは保護された武装放棄領民の受け入れとその警護。
僕とジュリアさんは妹さんの捜索とグラシル領主――バートウィッスル侯爵の捕縛。
よろしいですね?」
「ああ、成功を祈っている」
「じゃあねぇ。僕もさっさと終わらせて駆けつけるよぉ」
(いや、いや、無理だって。グラシル全土の武装蜂起した領民の保護なんて馬鹿みたいに時間がかかるから。絶対僕達の方が先に終わるよ)
エアとチェスは部屋を出て行ってしまう。翔太達も建物の外に出る。すぐにジュリアに視線を向ける。戦力を正確に把握したい。ジュリアには悪いがステータスだけはスキル《解析》で調べよう。
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ステータス ジュリア
レベル 20
才能 80
体力 28
筋力 27
反射神経 29
魔力 5
魔力の強さ 4
知能 28
EXP 2764/10000
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(へ~、女性とは思えない程強い。そこら辺の兵士など問題にならないよ。下手をすればSクラスの冒険者に匹敵するかも。
だけど、ステータスが高いから戦闘ができるとは限らない。少し前の僕の様な場合もあり得る。一応聞くべきだろうね)
「ジュリアさん、戦闘はできますか?」
「はい。人並みには」
「得意なのは何です? 剣ですか? 魔法ですか? それともスキルですか?」
「剣術が得意です。それしかできません」
「では、刀という異世界の武器は使えます?」
「エアさんから一応全ての武器の指導は受けていますので使えます」
疑問に小首をかしげるジュリアを無視して、翔太はアイテムボックスから、【雷切】を取り出す。【村正】ではなく【雷切】にしたのはヴァ―ジルの場合と同様、【超越級】は一般の人間には過剰戦力気味であり、その者の人生を狂わせる危険性があるからだ。まだ知り合ったばかりのジュリアに【村正】を与えるのは妥当ではないだろう。
【雷切】はこれで後残り1本だけとなってしまった。ヴァージルに渡して【雷切】は打ちきりとなる。最近色々あって中々渡せないのが非常に歯痒いわけであるが――。
久々の【雷切】について《鍛冶》スキルで調べてみる。
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【雷切】
■クラス:神話級
■レベル:4
■説明:雷神を斬ったと伝えられる日本刀。
■性能:切断、突きの両方に極めて優れている。
雷を自由に発生させ操ることが可能
所持者スキル等級+2
筋力+70、体力+70、反射神経+70の特殊効果を持つ
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(異常なステータスばかり見ていたせいか、やけに弱く感じる。だけど、対人間種には敵はいないよ。これを持っていればジュリアさんの身は十分守れるだろう)
ジュリアは禍々しい蒼色のオーラを撒き散らす【雷切】から目を離せないようでずっと凝視していた。
「これを差し上げますので使ってください。
能力はステータスの【筋力】、【体力】、【反射神経】の70の上昇と、所持者スキル等級+2、雷を自由に発生し操る事です」
ジュリアは【雷切】を鞘から抜き、数度振る。中々様になっていた。かなりの鍛練をつんでいると思われる。蒼色の奇跡が幾つもの線となって空中を染め上げる。
「す、凄いです。これほど綺麗で扱いやすい刀を私は見た事がありません。どうやってこれを――いえ、本当に頂いてよいのですか?」
「構いませんよ。あと試しではあるので、能力が向上するかまでは保障は持てませんが、防具としての頑丈さはあると思います。これも差し上げますので、部屋で着替えて来てもらえますか?」
再度アイテムボックスから、売り物にならなかった【プレートメイル】と【鉄の円盾】を取り出す。
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【プレートメイル】
■クラス:特質級
■レベル:4
■性能:身体の一部を覆う鎧。俊敏性に優れている。
体力+10 反射神経+5の特殊効果を持つ
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【鉄の円盾】
■クラス:特質級
■レベル:4
■性能: 鉄製の円盾。防御能力に優れている。
体力+10の特殊効果を持つ
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「こ、こんな綺麗な防具があるなんて。まるで、神話に出て来る防具のよう」
ジュリアは唇をプルプルと震わせながら呟く。少しの間、色々な角度から眺めていたが、突然思い至ったように真っ赤になりお辞儀をして建物の中に入って行ってしまった。
(夫が殺されたと言っていたし、僕よりはきっと年上だけどやけに可愛い人だ……って、僕一体何考えてるんだろ? それにこの感想以前にも抱いたことがあるような……デジャヴ?)
数分後ジュリアは建物から出てきた。その銀色に光る鎧が非常識に美しい顔を一層引き立て、まるで絵本の中から女神が飛び出してきたようだ。
少し選択を誤ったかもしれない。目立ちすぎるのだ。街中でこれ程美しい女性がいれば間違いなく悪目立ちする。特に炎鬼の情報ではジュリアは、バートウィッスル侯爵家当主から目下狙われ中である。だが、そのまぶしいような深い喜びを見ると、今更鎧を脱いでくれともいえない。翔太が守るしかないだろう。
取り敢えず、《解析》スキルをジュリアに発動させる。
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ステータス ジュリア
レベル 20
才能 80
体力 118
筋力 97
反射神経 104
魔力 5
魔力の強さ 4
知能 28
EXP 2764/10000
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(期待通りだ。武器と盾、鎧は別のカテゴリーらしい。つまり、同じカテゴリーで重複していない限り能力の上昇はあるわけ。これがわかった事は大きい。今後は防具も装備して能力値を限界まで上げる事にしよう)
「ジュリアさん。似合ってますよ。とても綺麗です」
彼女ならばおそらく何度となく言われたであろう御座なりな褒め言葉を紡ぐ。
「あ……りがとう」
顔を真っ赤にしてうつむくジュリア。この予想外な反応はどうリアクションをとってよいのか困る。みっともなく狼狽えていたら、ジュリアはそんな翔太をみてクスッと笑った。
「じゃ、じゃあ行きましょう。僕はグラシルの領主の直轄領の凡その位置しかわかりません。案内お願いしますね」
ゴホンと咳払いをして、ジュリアを促し翔太達もニースの村を後にした。