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僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第二部 建国と変貌編
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第27話 魔道具を作ろう(1)

 ギルドハウスを出る。

 翔太お得意の楽しい、楽しい悪巧みの時間だ。そのためには、ディヴにある人物を紹介してもらう必要がある。

 カヴァデール店へ向かう。カヴァデール店の入り口から蛇のように長い人の列が伸びていた。以前よくテレビで見た行列ができるラーメン屋でもここまでの長さはなかった。

 店の中に入ると、店員らしき人間族と獣人族のお姉さんが額に汗して対応していた。ディヴが急遽雇ったのだと推測される。

 丁度奥からディヴが出てきた。


「やあ、ショウタさん。流石に僕一人ではさばききれなくなってね。彼女達を昨日、雇ったのさ。今日も武器と防具頼むよ!」


「はい。勿論です。少し相談したいことがあるんですが良いですか?」


 翔太の真剣な様子にディヴも頷き、奥の応接間へ行く。ディヴからお茶を出してもらい、それを飲みながら口を開く。


「今日はディヴさんに2つばかり頼みたい事があるんです」


「うん。構わないよ。ショウタさんにはいつも世話になっているからね。できる限りのことはするつもりさ」


 それは翔太のセリフなのだが、ディヴはこの考えを決して譲らない。


「一つ目はこのカヴァデール店の支店についてです。今度、魔の森中域にある国ができるんです。そこに、カヴァデール店の支店を開店してみませんか? 勿論、その国の資本によってです」


 これは『赤鬼国(せっきこく)』を見て思いついたことだ。ニュクスの住人は、これからテューポに半強制的にレベル上げに駆り出されるだろう。テューポはこの頃自重という言葉をどこか遠くに投げ捨ててきてしまっている。翔太が止めても決して止める事はあるまい。翔太と深いかかわりをもった以上、彼らに簡単に死んでもらっても目覚めが悪い。

 最初、翔太が作った武具を無料で渡そうかとも思っていた。だが、ニュクスという国の国民となった以上、貨幣の価値の把握は今後最重要になって来る。これは今まで貨幣に触れてこなかった魔物達にとって一番把握しにくいものだ。この貨幣の把握に翔太の作成した武器が役立つのではないか。そう考えている。即ち、生き残りたければ――強力な武器を得たければ金を稼がなければならない。そうニュクスの国民に思わせられれば成功だ。後は、テューポと相談になるが、金を稼げる手段をニュクス内に作ってやればよい。そうすれば、生き残るために金を稼ぐようになるだろう。そして、それが、ニュクスに貨幣を流通するきっかけとなる。

 貨幣はアースガルズ大陸の共通の貨幣である『G』になるのは、間違いはない。最重要なのは、ニュクスに『G』を入れる方法だ。

 この方法も考えがある。このアースガルズ大陸に、冒険者や旅人をターゲットとする商業の都市を作る。その都市には現代科学を結集したホテル、娯楽施設、各種イベント、そして、翔太の作った武器と防具を売る。そうすれば、アースガルズ大陸から多数の人が詰めかけ金を落としていく。

 そしてその街で、カヴァデール支店をニュクスの完全資本の下で開店する。もちろん、売り上げの40%はカヴァデール支店の利益となる。カヴァデール店も名前と金属の流通を確保するだけで金が入り利益になるというわけだ。

 

「ま、魔の森中域に国? それ本当なの? 本当だとしたらとんでもない事だよ!

 その国の資本でカヴァデール店の支店を開店? それはうちとしても願ってもない事だ! 是非、話に乗らせてもらう」


 流石のディヴでも少し考え込むと思っていたが即決だった。それほど、ディヴは翔太を信頼してくれているという事だろう。ディヴは喜びを額に湛え目を輝かす  


「ありがとうございます。具体的には、複数の店舗を開店してもらう事になると思います。売る武具の内容も変えたいのです」


 これは、冒険者や旅人をターゲットとする商業の町では【希少級(レア)】、【特質級(ユニーク)】中心でなければならない。これ以上を売れば、世界に対する影響が大きいからだ。

 一方で、『赤鬼国』は、そもそも、自重など皆無で作られた国だ。今更世界の影響も糞もないだろう。外部に放出しないという条件付きで、【伝説級(レジェンド)】、【神話級(ゴッズ)】を売っても問題はない。人間種と異なり、基本魔物はテューポに逆らえない。条件を破る事は万が一にもあり得ないのだ。むしろ、そのくらいしないと、テューポのスパルタにより国民が多数死亡しそうだ。


「わかったよ。その辺はあとで煮詰めて行こう! それでもう一つの頼みというのは?」


「スキル《魔道具作成術》を取得している方をご紹介していただきたいんです」


 以前、駄目元でディヴに知らないかと聞いたところ、今度紹介してくれるということになっていたのだ。


「もちろんだよ。今から暇ならすぐにでも行ってみよう」


「でも、今日の武具の作成が……」


「ショウタさんが、作ってくれた武具がまだまだあるから、あと数日はもつさ。明日またお願いするよ」


「ありがとうございます」


 ディヴの人間性には本当に頭が下がる。勿論、翔太の言葉を信頼しニュクスに支店の開店を了承してくれるところや、店の利益を無視しても翔太に協力してくれる事など、よほど人間ができていなければできはしない。だが、それ以上にその交流関係の高さがある。このアースガルズ大陸ではスキルの取得は想像以上に大変なのだ。《魔道具作成術》を取得している人など中々いるはずもない。それを、《魔道具作成術》を取得している者と知り合いであり、しかも、ディヴが頼めば見学もさせてくれるだろうというのだ。このディヴという人物は翔太が考えていたよりもずっと大物であるらしい。


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