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僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第一部 覚醒編
100/285

第90話 久々の休暇を満喫しよう(3)


 フィオンとレイナに簡単な挨拶をして翔太は自分の部屋へ行く。

 椅子に座り、大きな背伸びをする。

 ラシェルが無事だったことを確認した。これで落ち着いて自身の身に何が起こったのかを考察できるというものだ。

 先ほど、フィオンとレイナに説明したときに言っていなかった事が翔太にはあった。拷問を受けた直後の記憶がまったくないという事である。

 ラシェルが襲われているシーンを最後に翔太の記憶はプッツリと切れてしまっている。気が付いたら、エルドベルグの宿屋――キャメロンの自分の部屋にいたのだ。いくら考えても一向に思い出す気配すらない。

 これ以上考えても無駄だろう。思考を移すことにする。

 今翔太が着ている衣服はメガラニカでみた職員の服装だった。ポケットを探るとギルドカードが出てきた。確認しよう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

ステータス   ショウタ タミヤ

レベル        26

才能         ――

体力        853

筋力        862

反射神経      860

魔力        851

魔力の強さ     853

知能        854

EXP  7400/30000

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(レベルが26まで上昇したよ。だけどこれではあの下種悪魔には全く手が届かない。スキルを使って何とかガス、ガイに勝てる程度だ。これでは全然だめ。僕の強者とエンカウント率は異常なんだ。日葵ちゃん達を見つける前に命を落としかねない。早急に、レベル上げと、武器の作成に努めるべきだろうね)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

スキル

《水龍(第4級)》        4/16

《水耐性(第2級)》        0/4

《毒吐息(第4級)》       8/16

《風の障壁(第3級)》       5/8

《破斬(第4級)》       15/16

《灼熱の石化ブレス(第2級)》   2/4

《竜巻(第2級)》         3/4 

《石化耐性(第3級)》       0/8 

《毒耐性(第4級)》       4/16

《雷光(第4級)》        7/16

《鍛冶(第8級)》         ――

《灼熱の炎弾(3級)》       1/8 

《猛毒と石化睨み(3級)》     0/8

《隠密(第4級)》        8/16

《隕石落下(第3級)》   0/8 

《王者の威嚇の咆哮(第2級)》   0/4

《炎弾(第2級)》         0/4

《魔法剣(第2級)》        0/4  

《悪魔召喚(第1級)》       0/6

《火炎ブレス(第2級)》      0/4 

《高速再生(第8級)》       ――

《悪魔の鋭爪(第2級)》      2/4

《契約(第3級)》         0/8 

《朱色の光弾(第2級)》      0/4

《超獣王の炎雷砲(第3級)》    0/8

《解析(第7級)》       0/128

《仙術(▲■●)》       ■■■■

―――――――――――――――――――――――――――――――――


(っ!? 《超獣王の炎雷砲(第3級)》? 《解析(第7級)》? 《仙術(▲■●)》?

 また良く分からないスキルが2つ増えている。どういう事? 僕が記憶を失った後に何かあったの? そういえばバジリスクキングとの戦闘のときも同じような事が……)


 違和感は、一番最初にゴブリンを殺したときだろう。あの後から、恐ろしい程に魔物に対する恐怖が消えた。そして、本来苦手なはずの人間に対する恐怖さえも徐々になくなって行った。それはレベルが上がる度に徐々に顕著となってゆく。まるで、翔太の中に何か別のモノがゆっくりと輪郭を現していくような異物感があった。

 バジリスクキングを倒した後その違和感は現実化する。今回と同様、圧倒的に不利な状況の中で意識を失い、その後気がついていたら戦いは翔太の勝利で終了していた。今回もそうだ。悪魔に散々拷問された後、ラシェルが襲われ意識を失い、その後同様に奇蹟の生還を果たしている。察するにバジリスクキングの場合と同様、翔太が意識を失っている間に下種悪魔を殺したのだろう。

 もしかしたら、今後同様の傾向が顕著になっていくのかもしれない。そして、最後には翔太という存在が別の存在に移り変わり消滅するのではないか。そこまで考え翔太は急に背筋に氷を当てられたように身震いする。

 頭を振って馬鹿馬鹿しい考えを振り払う。気を取り直してスキル欄をタップしさらに詳しく確認するとする。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


スキル

《高速再生(第8級――深淵級)》    

■説明:身体を超高速で再生する。欠損部位すらも再生可能 。

    心臓や脳を潰されない限りいかなる傷も再生する。

■必要使用回数: ――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(………………もう出鱈目すぎて言葉も出ない。頭と心臓が潰れない限り死なないって……。もうこれアンデッドじゃん? 弱点がないだけ余計性質が悪いよ。

お母さん、お父さん、お爺ちゃん、お姉ちゃん、僕とうとう人間やめちゃいました)


 自分自身に合掌しながら、他のスキルをタップする。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――


スキル

《契約(第3級)》   

■説明:

儀式契約をする。

 ※二者間で契約することにより発動する。

   ※拘束力は等級に依存する。

眷属契約をする。

■必要使用回数: 0/8


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(眷属契約というのは良く分からないけど、儀式契約は、悪魔に騙されて行使されたスキルだ。そういえば悪魔が絶対服従などの抽象的な命令は効きが弱いと言っていた。という事はそれが拘束力の事かもしれない。つまり等級が上がれば…………考えるのを止めよう。怖いよ。このスキル……)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


スキル

《朱色の光弾(第2級)》 

■説明:朱色の光線の束を放出する。

    威力は等級に比例する。

■必要使用回数: 0/4


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(オークエンペラーモドキが使ったスキルだ。威力は今まで僕が持つスキルの中ではトップクラスだと思う。

 勿論、《灼熱の石化ブレス(第2級)》とか、《隕石落下(第3級)》の方が威力はあるだろうけどこんなの仮に街中でつかったら、街壊滅しそうだし。魔の森でも、冒険者の多い浅域ではとても危なくて使えない。

 だから《灼熱の炎弾(3級)》と共に今後僕の切り札になるかもしれないね)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


スキル

《超獣王の炎雷砲(第3級)》   

■説明:超巨大な雷を纏った炎を放つ。

    物理攻撃+精神攻撃

    威力は等級に依存する。

■必要使用回数: 0/8


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(う~ん。雷を纏った炎ね。巨大だっていうのがネックだよね。如何にも使いにくそうだ。威力も良く分からないしさ。これだけでは強いスキルなのか弱いスキルなのか判断に困る。一度使ってみる必要があるね)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


スキル

《解析(第7級)》    

■説明:生物、無生物問わず能力、性質等様々なものを解析することができる。

    超越級までの解析無効魔法、スキル、アイテムを無効とする。

■必要使用回数: 0/128


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(こ、これは所謂ゲームや小説で最もよく出て来る解析スキルだよ。今回このスキルを手に入れた事が一番大きな収穫かもしれないね。このスキル、あの下種悪魔が持っていたのかな……)


《仙術(▲■●)》は文字化けしており、タップしても開けない。どうやらバグっている様子だ。仕方がない。後でフィオンでも相談する事にしよう。


 翔太はギルドカードをポケットにしまった。


(以上が今回の獲得スキルだ。だけど使わない無駄なスキルが圧倒的に多い。今後は進化の生贄に用いて使わないスキルは減らしていくべきだろうね)


ベッドの上で仰向けなり天井を見上げる。その天井の木目が視界が入り、なぜか僕は思い出す。異世界に共に召喚されているはずの大切な人達のことを。


(お姉ちゃん。心菜姉ちゃん。雪さん。…………日葵ちゃん……)


 翔太の意識は徐々深い霧の中に沈んでゆく。


               ◆

               ◆

               ◆


 翔太は夢を見ていた。だが、それは少しいつも見る夢とは異なっていた。真白にぼやけているのではなく、色もあり音も聞こえる。妙にはっきりしている。そんな夢。

 勿論、場所は地球だ。しかも、懐かしい幸せいっぱいの幼少期の頃の夢だ。突然切なさが込み上げて来て、目頭が熱くなる。なぜなら、それは翔太が一番戻りたかったときの記憶だから。

 その愛しい記憶は、心菜に連れられ、新宿に来たときの記憶。真っ昼間の新宿は喧騒と言ってもいいほどの活気に溢れている。

 心菜が両手を翔太達の前に合わせて拝むような仕草をする。そして、小走りに人込みに消えて行く。新宿の雑踏は幼い子供にとって、太陽の見えない森の中に残されたような恐ろしさがある。

 翔太の左手を握る小さな(・・・)手が不安に握られるのを感じる。翔太は大丈夫だよと幼い〇〇の頭を優しく撫でてやる。眼に涙を貯めていた〇〇はショウタを見上げてニッコリと微笑んだ。気持ちが癒される。

 もう一度、安心させようと撫でてあげようと右手を〇〇の頭に乗せようとしたら過去の懐かしくも愛しい夢の世界は霧の様に崩れてゆく。そして…………。





 トントン! 


 意識が徐々に覚醒してくる。頬に熱いものが流れているのがわかる。昔の夢を見て泣いていたらしい。

 切ない夢だった。もっと夢の世界に浸っていたかった。もっと…………あれ? さっきの夢、若干の違和感がある。現実にはあの手は確か柚希ではなかったか。寧ろ、泣きそうになって慰めてもらっていたのは翔太の方だったはずだ。良く分からない。

 この頃、魔物との戦闘、人を殺しかけ、拷問にまであった。おそらくそのせいで少し気がめいっているのだろう。だからこんな荒唐無稽の夢をみたのだ。一先ずはそう結論付けるしかあるまい。


 トントン!


 ドアが叩かれる音が鳴り続ける。これ以上待たせるわけにはいかない。気怠い身体に鞭を打ち、ドアをゆっくりと開ける。

 ドアを開けると顔を紅潮させたヴァージルがドアの前に佇んでいた。翔太の眠そうな顔を見て申し訳ないような顔になる。


「お休みのところすいません。デリック支部長にショウタさんを支部長室までお連するように言い付かってきました」


「……はい。わかりました」


 まだ、寝起きで頭がぼんやりして上手く思考が回らない翔太は何も考えずに頷く。

 『お湯浴び』もしておらず汗臭く、しかも服がメガラニカ職員のもののままだ。ヴァージルやデリックには我慢してもらおう。そのように考えていると、ヴァージルから、感謝の言葉と共に貸していた黒いローブを渡された。受け取った黒いローブを自室のベッドの上に置き、自室のドアに鍵をかけ、ヴァージルの右隣に並び欠伸をしながら歩き出す。

 意識は相も変らずはっきりしない。おそらく奇妙な夢を見たせいだろう。階段に差しかかったとき、左手に暖かな感触がした。翔太の左手の各指の間に何かが絡まって来たのだ。


(…………へ?)


 それがヴァージルの右手だと気付いたとき、今までの夢心地に豪風が吹き一気に吹き飛ばす。

 バッっと左を見ると、ヴァージルが頬を赤く染めながら目を伏せている。


(ちょ、ちょっと待ってよ。ぼ、僕達、手を繋いでる? しかもこれ、恋人同士が良くやる繫ぎ方じゃぁ……)


 急激に足の爪先から頭の天辺まで熱くなるのを感じた。すぐに振りほどこうとも思ったが、ある映像が頭に浮かびそれがどうしてもできない。だから、ヴァージルを傷つけないようにするためだと自らに言い聞かせる。

 だがこの翔太の判断は明らかに愚作だった。即ち、キャメロンの宿屋の1階の食堂で昼食をとっている射殺すような他の冒険者からの視線である。


(し、視線が痛すぎる。早く出よう。こんな所フィオン達に見られたら……)


 フィオンに一目でも見られれば会うたびにからかわれる事になるだろう。それにもっと嫌な予感もする。いわば翔太の僅かに残っている野生の本能が全力でキャメロンから逃げろと言っていた。まさに命の危機。

 恐ろしい想像を振り切るように、速足でキャメロンを出ようとする。翔太がヴァージルをやや強引に引っ張る図である。通常では、日葵のときのような扱いが通常なされるはずだ。

 だが、ヴァージルが頬を真っ赤に染めて嬉しそうにいていれば、嫌でもそうではない事がわかる。なんせ、鈍い翔太にもわかるのだ。周囲の冒険者達がわからないはずもない。

 ということで生まれて初めてともいえる強烈な嫉妬の視線を背中に受けながら宿屋キャメロンを出る。

 フィオンとレイナには会わなかった。どうやら命の危険は免れたようである。


               ◆

               ◆

               ◆


 キャメロンのあるストリートからメインストリートに続く通りは、人通りもそれなりに多い。特に今日は定休日らしく行き交う人で溢れ返っていた。

 だから、ヴァージルと翔太が手を繋いで歩いているところなど、一々目を止める者などいない。理由は簡単だ。そんなカップルなど死ぬほどいるからだ。この場所はエルドベルグにおけるカップル通りのようなところらしいから。

 もっとも、若干人目を憚らないカップルを見る際のような冷ややかな視線を感じる。普段傍から見ると心底鬱陶しい(羨ましい)バカップルに対する視線を自分にも向けられるようになるとは夢にも思わなかった。

 メインストリートまでの道すがら、知り会いとは殆どすれ違わなかった。唯一、すれ違ったのはフローラとロニーだ。

 会議室でロニーは瀕死の重傷であり、フローラの目からは光が失われていた。だから気がかりではあったのだ。ほっと胸を撫で下ろし、すれ違う際に軽く命一杯の笑顔で会釈すると、二人に親の仇のような顔で睨まれた。こんな恥ずかしい所を見られた事で微妙に顔が引き攣っていたからであろうか。

 当分共にクエストをこなす事はあるまい。そんなに簡単に『災害指定魔物』が湧いて来られても困るのだ。だから、放っておく事にした。

 さすがに、メインストリートで手を繋ぐのはマズイと思い絡めていた指をゆっくりと離す。ヴァージルは上目遣いに不満のたっぷり籠った視線を向けてくるが許してほしい。さすがに、メインストリートまで手を繋いている者は多くはない。そこまでの度胸は翔太にはないのだ。

 それに、もう手を繋ぐのはこれが最後としなければならない。後は真の騎士たるオット―の役目だから。


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