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生存不可区域  作者: 如月
9/12

生存5日目.東京都殲滅作戦

 エレベーターは動いているのが不思議なほど損壊が酷かったが、無事地上1階まで着くことができた。

 オレはエレベーターを出てすぐに残り時間の確認をした。残り1分、時計なんか確認している場合じゃない。

 爆発範囲がどれほどかは分からないが、ビルからは距離を取らなければ危険だ。しかし、残り1分でビルから取れる距離はたかが知れている。



 残り30秒、オレ達はビルから脱出した。奴らがそこら中を徘徊しているが、今は無視だ。



 残り15秒、全力疾走でビルから離れる。くじいた左足がまた痛み出したが、そんなことは気にしていられない。



 残り5秒、向かいの建物に飛び込んだ。もうこれ以上は離れることができない。どうなるかは運任せだ。



 残り3、2、1……



 きっかり15分が経過した。次の瞬間、凄まじい地震が辺りを揺らし、思わず顔をかばってしまうほどの熱気が建物の中に流れ込んでくる。地下で起きた爆発の炎が、地上まで届いたのだ。

 爆発の衝撃は恐ろしいものだった。地下で起きた爆発の揺れによって、避難した建物からはビシビシとひび割れる音が聞こえてくる。あと少しでも衝撃を喰らったら、この建物はたちまち崩れ去るだろう。

 オレ達のいる場所は瓦礫の破片やら埃やらで、何も見えない状態になっている。この状況では目を開けることさえ辛い。

 爆風が収まったと思えば、今度は爆発とは違った音が辺りに轟いた。硬い物が地面に落ちて壊れるような音。

 どうやら、自爆した衝撃でビルが倒壊したようだ。地上50階建てのビルが倒壊すれば、当然派手な音を立てる。


「ゲホッ……映画並みの光景だな」

「映画を現実で再現しようとしたらこうなるんですね」


 十数メートル先で起きたことに対する恐怖で感覚が狂っているのか、そんな他愛ない会話ができてしまう。その前に、ここは危険な気がするのだが。

 ビルの体積的に、十数メートルぐらいは瓦礫で埋まってしまいそうだ。このビルに裏口がなければ、最悪生き埋めもありうる。

 本宮もやばいと察知したのか、オレの肩を叩いて奥に行くよう促してきた。これに従わない手はないだろう。

 奥に行くと、多少は粉塵が無くなり視界が開ける。このビルは何かの事務所のようで、しっかりと裏口が設置されていた。いざとなればこっちから出ることができる。

 いや、いざとなる前に出よう。ここも粉塵が酷くなり始めた。

 裏口のドアノブに手を掛けると、不用心なことに、いや、今となっては不用心ではないのかもしれないが、あっさりとドアは開いてくれた。

 裏口は路地裏へと続いていたようだ。大人1人が縦に並んでようやく歩けるほどの狭さだが、問題はない。しかし、奴らに挟まれたら非常に危険だ。早急に抜けたほうがいいだろう。

 ゆっくりと路地裏を進んで行くと、足元に何か音を発している物があったので拾い上げてみた。どうやら小型ラジオのようだ。まだ放送が続いているのだろうか?


『今日……に、核ミサ……される……決定しました。……により、感染……防ぐつも……です』


 ノイズが酷くてよく聞き取れないが、核ミサイルという部分はなぜだかはっきりと聞こえた。それを聞いたオレと本宮は顔を見合わせる。


「おいおい……生物兵器で殺そうとして、お次は核兵器ってか? 冗談じゃねぇ!!」


 本宮は政府に憤りを感じているようだった。そりゃ、自分たちを裏切ったうえ、核兵器で存在を抹消しようとしているのだから無理もないが。


「絶対に東京都から生きて脱出してやる。俺を裏切ったことを後悔させてやる!」

『なお……は、……11日24時……ます』


 11日といえば明日だが、24時に発射されるようなので実質1日もない。時計の針は午後6時ちょうどを指している。


 あと6時間。


 そのタイムリミットが過ぎれば、逃げ場など無く確実に死ぬ。東京都からあと6時間以内に脱出しなければならないのだ。

 渋谷から東京都外に徒歩で抜けるのは難しいだろう。となれば、移動手段を見つけることが現在の目標ということになる。

 車は事故車両が放置されている道路で機能しない。船か、もしくはヘリに絞られる。

 だが、ヘリはおそらく無理だ。なぜなら、運転できる人物がいない。オレはもちろん無理だし、本宮も運転できないだろう。

 船ならヘリよりかは簡単なはずだ。一応、ダメ元で本宮にヘリの操縦ができるかは聞くことにした。


「本宮さんって、ヘリの操縦できますか?」

「は? できるわけないだろ」


 でしょうね……



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