―始まりは小さな小さな噂―
注意※この物語は完全なフィクションです。
実在する人物や団体などとは一切関係ありません。
駄作者の完全な妄想です。
あなたは、知識についてどう思いますか?
この世界には人々が知らないことが満ち溢れています。
それを知りたいという人間は山ほどいるでしょう。
そして、知ってはいけないところまで知ってしまい、消されてしまった人間もいるのでしょう。
しかし・・・最初から知ってはいけない知識を持っている子が生まれてしまったら?
その子は恐らく化け物として処理されてしまうのでしょう。
しかし、その子供は生きていました。
暗く、誰もこれないような場所に幽閉されて・・・。
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「っていう噂・・・というか、物語があるんです!」
「なんだよそれーw」
「嘘じゃないらしいですよ?」
「マジかよ?!」
「場所も大体わかってますし!」
「ええ?!」
「だから!今夜行ってみませんか?!」
「やだなー・・・」
今会話している場所は学園。
教室の中の俺たちの席。
俺たちはいつもつるむ仲間だった。
「基本的なものはこっちで用意します!懐中電灯とか・・・いろいろ!」
敬語で話しているこいつは「七瀬麗華」。
簡単にいっちまうとお嬢様。
金銭感覚がちょっとあれな子だ。
「でも夜中とかやなんだけど?眠いだろうし・・・」
こいつは「三浦瀬人」。
こいつの家も金持ちだ。
というか、この学園は金持ちが多いっつーか・・・。
まぁ、例外が俺なわけでー・・・。
俺は、「日比谷零」。
みんなからはレイとか、ゼロとか・・・うん。
ゼロって呼んだ奴は読み間違いだ。
零と書いて「れい」って読むんだ。
というか、話を戻すと・・・俺だけなんだよ。
この学園内で普通に貧乏なのは。
だから、それを理由にからかうやつとか普通にいる。
でも、勉強では負けないんだ。
いや、負けたら終わりだから必死だというか・・・。
学年というか学園トップじゃないと、学費とかその他もろもろが免除されねーんだよ。
「レイさん!聞いてます?」
「あ、悪い・・・聞いてなかった。なんだ?」
「しっかりしてくださいな」
そういって麗華はクスクス笑う。
「しっかり聞いとけよ?こいつ行ったこと全部実行するんだから」
「有言実行は当然でしょう?」
「お前は聞いてたのか?瀬人。」
「いや、全然」
「おい!」
これ・・・今夜大丈夫なのか心配になってきた・・・。
「大丈夫です!助っ人もつれてきますし!」
「助っ人ー?」
「また無関係な奴連れてくるんじゃねーだろうな」
「失礼な!」
だってこいつ前にもそんなことあったし・・・。
「わかったわかった。じゃあ、今夜な」
「遅れないで来てくださいね!」
「へいへい」
「ほー」
「ふざけてません?!」
そんな会話をして俺たちはすごした。
そうそう、この学園には寮があって俺たちは寮生だ。
まあ、当然のごとく男子寮女子寮と別れている。
俺は瀬人の隣の部屋だ。
だから、あいつはちょくちょく俺の部屋に遊びに来る。
「なぁ、零。あのさー・・・」
「あん?」
「今夜さー・・・どうする?」
「はぁ?」
「いや、だってさー・・・寮を夜中に抜け出すのはダメじゃね?ましてや麗華は・・・」
「何を今さら。だってあの麗華だぜ?多分二度や三度じゃすまねーぞ」
「・・・普通に想像できた」
「だろ?」
とりあえず、準備を始める。
「えーっと?懐中電灯と携帯、後は少し腹の足しになるもんもってって・・・財布はどこだっけか・・・」
「本とゲームとトランプとチェスボードとノートPCと・・・」
「おい、おかしい。絶対おかしい」
こいつはキャンプか何かだと思ってんのか?
いや、ちょっと遊びに行く感覚だろうな。
こいつだもんな。うん。
「そろそろ逝くか?」
「なぁ、その字にツッコんでいいか?」
「ツッコむ暇があったら行こうぜ」
「へーい」
そしてこっそりと、麗華が確保していた監視カメラの抜け道から(あいつどうやったんだ・・・)俺たちは抜け出して麗華たちのもとに向かった。
メールではもう助っ人は来ているらしい。
どんな奴なのか気になるところだな。
瀬人はなんか妄想してるから放置しとくとして・・・。
俺たちは合流地点についた。
そこに麗華がいた。
「あ、こっちです!」
麗華がぴょんぴょんと跳ねて手を振る。
いつものようなひらひらした服ではなく、今回は普通に誰でも着そうな簡単な服で来た。
「助っ人とやらはどこにいんだ?」
瀬人が聞く。
「あっちにいます!早くいきましょう!」
走っていく麗華の後を追う。
「どんな娘なのかなーw」
「女と決まったわけじゃねーぞ」
「・・・いや、多分女だぞ!俺の勘がそういってる!」
お前の勘なんかあてにならねぇよ・・・。
「なにしてるんですか?早く来てくださいな!皆さんお待ちかねです!」
・・・皆さん?
「麗華、どういうことだ?」
「助っ人さんは二人います!」
「二人?」
「ご対面です!」
麗華が笑うと、人が出てくる。
一人は水色の服を着て、黒い髪を伸ばした女性。
もう一人は・・・。
「おい麗華」
「はい?」
「なんだこいつ」
明らかに幼女だった。
紅い大きな目でじっと俺たちを見てくる。
「この子は強い子ですよ!」
「嘘つけ!そんなどっかのファンタジーじゃあるまいし、あるはずねーだろ!」
俺がそういうと、幼女はむっとした表情で俺を見返してきた。
どうやら怒ったらしい。
「うー・・・キライ!」
「はぁ?」
いきなり幼女にキライ発言された。
俺の発言が気に食わなかったらしい。
まぁ・・・当然か。
「俺、三浦瀬人って言います。貴女の名前は?」
おい瀬人、お前態度変わりすぎだろう。
「私はデモンド・ヴァン・シャルロ。シャルって呼んでくれると嬉しいわ。」
そういってほほ笑む女性は素直に綺麗だと思えた。
いや、麗華も綺麗なんだけどさ・・・なんというか「大人」と「子供」みたいな・・・。
「君は?」
瀬人が幼女に目線を合わせて話しかける。
幼女は瀬人を見つめると、にっこり笑う。
「ルゥ!」
そういって幼女・・・ルゥは瀬人に笑いかける。
瀬人・・・顔が緩みっぱなしだぞ。
「ごめんなさい。この子はちょっとしたわけがあって、通称の名前しか教えられないの」
シャルさんが申し訳なさそうに話しかけてくる。
「構いませんよ、シャルさん。俺は日比谷零と申します」
「よろしくね?後、呼び捨てで構わないわ、私もそうさせてもらうし・・・」
「あ、はい。よろしく、シャル」
これが俺たちの出会い。
ルゥは俺のこと嫌ってるみたいだけど、瀬人と仲良くなってるからいいか・・・。
そんなこんなで、俺たちは歩きながら談笑した。
目的地はもうすぐだ・・・多分。