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La santé est la première qualité d'un bon cheval.~無事是名馬inアナザーワールド~  作者: ぉぉぉぉぉぉゃ


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2/2

大目標

本日2話目の投稿です

 謎の儀式を受けてから体力の回復が早くなった。

 沢山走ってコズミ(筋肉痛)なって少し休憩して沢山走る。

 どうすればパワーが付くかなんて知らないし、牧畜馬に必要な筋肉の効率的な鍛え方なんて分からない。なので、今はただ走るのみ。

 ところで、俺って本当に牧畜馬やるのかな。このまま行けば競走馬としてでもかなりいいとこまで行ける気がするぞ。尻尾ブンブン。

 純正じゃないが身体付きはクォーターホースっぽいし超短距離特化だろう。この国にクォーターマイルレース(約402mレース)はあるのだろうか。

 この俺が無双してやろう。


 こんな風に他愛の無いことを考えていると、俺の脳ってどうなっているんだろうとふと思うことがある。

 脳の大きさが賢さに比例するとは言わないが、俺の脳は、俺の身体の神経に繋がっている俺の頭の中にある馬の脳だ。これは違わないよな?

 では、馬の脳で人と同等の思考ができるのかを考えると······うん、ファンタジーだなぁ(思考放棄)。


 乳離れしてから、好みを知るためなのか様々な食べ物を食わされたが、やはり馬は甘党だ。味覚が前世とは違っている。

 今ならあのホイップクリームマシマシフラペチーノのトッピングホイップとかいう見てるだけで胃もたれしそうな飲み物も飲める気がする。馬にコーヒーはダメか。

 ちなみに俺の好物はカボチャ。前世の俺は特別好きでも嫌いでもなかったんだが、馬の身体が求めてるんだ。馬の体<カボチャクレー

 俺のカボチャ好きが無事伝わったようで俺のオヤツはカボチャに固定された。必要な栄養的に他の物も出るが。


 たまに推定農場主がカボチャを二つ持ってきて、多分どっちが旨かったか的なことを訊いてきているので素直に旨かった方を答えると、推定農場主は選んだカボチャを置き、目尻に涙を浮かべながら帰っていく。

 きっと俺が当たり、つまりここの畑産のカボチャを選んだことによる嬉し涙だろう。

 毎回泣いて帰っていくのでおそらく今まで全当たり。俺の舌が一流ということだな。


 そういえば、俺の名前はプースというらしい。もしかしたら幼名で、後から代わるかもしれないが覚えておこう。

 ヒトの知能を持ってるとはいえ、言語が判らないから自分の呼び名だと気付くのが遅くなってしまった。

 今でも話し掛けられたかどうか分からないときがある。何て言うかこの国の言語は流体って感じなんだ。流体で伝わる?

 「Salut,Pousse!(やあ、プース!)」って感じで話し掛けられれば応えるんだがなぁ。




 一歳春。え?言語はまだ分からんよ。ただ寒くなって暖かくなったからテキトーに春と言っているだけである。

 この一年、細かくいえば九ヶ月くらいの間に、俺は農場に関わる全ての人の匂いを覚えた。カボチャの切断担当なのか、とある一人の飼育員がだんだんとカボチャの匂いになっていく推移を楽しんだりもした。彼をカボチャマンと呼ぼう。


 この間なにもしていなかった訳ではない。実は寝静まった時間帯に柵を飛び越え、外の探検をしようとしたことがあった。あの頃は若かったぜ。

 馬は夜目が利く。しかし、星が綺麗な(視力的にぼやけてる)田舎だ。新月の日は真っ暗で何も見えたもんじゃない。

 満月の日に月明かりを頼りに探索をしようと一歩一歩土を踏み締めていたのだが、前方数メートル、茂みが突然ガサガサと揺れたので尻尾を巻いて即行で帰還。その日をもって探検は無期限の中止にした。

 もし俺が人間のままの異世界転生だったとしても、びびりな俺に冒険者は無理そうだ。




 青空の下、俺は一頭悩んでいた。

 せっかくの異世界転生。やはり目標というか生きる目的なんかを立てた方が良いだろうか。

 と言っても俺のモットーは「なるようになる」。流れ任せ主義なんだよな。


 馬として生まれた以上人間様の命に従うだけだ。そこに不満は一切無い。

 脱走したところで、異世界定番最弱の敵役ゴブリンさんでさえ、馬の脚に一発投石でもすれば馬は死んでしまうだろう。回復魔法なんかがあれば別かもだが。

 馬とは非常に弱い生き物だ。外的要因、ストレス、怪我、ふとした拍子に亡くなってしまう。誰が生んでくれと頼んだって気分だ。

 人間様と過ごせば、ある程度は守ってくれるはず。馬って高価だし。


 決めた。

 俺の目標は一つ。無事是名馬。揺りかごから墓場まで無事故無違反、無病息災に暮らす。目指せ最強の戦士。

 馬の寿命は三十年くらいだ。長いような短いような。二歳から働くって考えると長いかもな。

 三十年······人間脳な俺からすると娯楽が無いと退屈かもしれない。誰か競馬新聞持ってきてくれんかな。無いか。

 しかし、この身体でできることと言えばラクダの真似くらいだもんな。



 馬の世話は大変だ。

 うちで飼ってるのは全三頭。

 去年産まれたプース、その父ステファン、それともう一頭の牧畜馬シリルだ。

 朝早く起き、まずは糞尿の掃除だ。

 サボると馬たちが不機嫌になる。

 良い子のプースは柵の隅、特定の場所でだけするので楽で良い。ステファンとシリルも見習って欲しい。

 糞は体調不良を判断することができる。う~ん、この糞は······たぶんダイジョブダイジョブ。判断できるとは言っていない。


 餌の時間は特に決まっていない。

 {ステファン}{シリル}{プース}と名前の書いてあるバケツに雑多な餌を押し込み、「餌だぞ」とベルを鳴らしながら柵を跨ぐのだ。


 基本手のかからない良い子なプースだが、手入れとなると話は別だ。

 毎日走り回り、汗をかき、その度に水洗いを要求してくる。

 他の馬は一月に一回と仕事をした日のみと言えば大変さが伝わるだろうか。

 水魔法が使えるトムが来るのは一週間に二日。

 それ以外の日は井戸までバケツを持って汲みに行かなければならない。何往復もする。


 プースに限らず毎日する手入れといえば、ブラッシングである。

 他の作業と比べ、臭くも重くもない。脳死でできる作業なので僕が一番好きな時間だ。


 僕は馬の奴隷なり。




 牧柵の中でプースが軽く走っている。

 月明かりに照らされて月毛の馬体がよく映える。神話に登場するユニコーンとは白毛ではなく月毛なのでは。

 プースは軽く流しているはずなのに父馬ステファンの全速力でも追い付けなさそう·····そんな気にさせてくれる。

 僕たちは何もしていないのに立派な現役競走馬みたいだ。今三歳のGI(最高グレードのレース)に出ても掲示板入り(5着以内)ができそう。


 プースは雨が好きだ。普段から耳を前方に立てたり、後方に寝かせたりすることの無い子ではあるが、雨の日は普段よりリラックスしているように思う。

 他の馬が雨に興奮している中、いつも以上な回転率の脚で駆ける。

 この重い芝を気にしないパワーは地方競馬場のダート(砂)でも使えるだろう。······僕が乗るレースの。


 僕が鞍上か。緊張で今から手が震えてるよ。

 震える手を誤魔化すためにプースの首に押し付け、そのまま首を撫でる。


「なあ、お前は強いんだろ。鞍上に頼らず他の新馬たち蹴散らしてくれよ」


 プースの正面に移動し、両手で顔を掴み、プースの口をプルプル揺らす。


「勝てたら最高級カボチャでも買ってくるからさ。って言っても分からないよな」


 カボチャという単語は覚えてしまってるようで僕の言葉に反応して嬉しそうに鼻を鳴らす。お前は気楽そうだな。

 カボチャと言えば親父がちょっと良いカボチャを買ってきてうちの畑のと食べ比べさせてたな。全敗だったけど。

 野菜に関しては譲れない親父はカボチャの追熟の研究を始めた。次の旬、今年の夏には勝てるだろうか。


 今年の秋にはプース初めての長距離移動がある。行き先はイロンデル牧場という育成牧場だ。

 ここで騎乗馴致が始まる。プースが僕の騎乗に慣れるために、僕も寝床を移しプースの訓練に付き合う。さっさと地方レースで賞金稼いで、中央ジョッキーに鞍上を押し付けたい。

 普通の地方で走る馬なら、育成牧場の後は地方競馬場内の厩舎や競馬場近くの外厩のANC調教師に預けるんだが、目標というか既定路線が中央だからか、親父の友人のAJC調教師に頼んでミオトレーニングセンターに行くらしい。

 プースが走れる馬だというのは素人な僕でも感じるが、血統も血統だし、中央でまともに戦えるか。そもそも地方で勝てる保証もない。すべて取らぬナンタラの皮算用だ。


 しかし、季節は僕の決意を待たずに慈悲なく巡る。

 親父が国に申請を出して、馬車を手配するらしい。

 秋までに荷物を纏めておかなくちゃ。




※本当は本文内でできれば良かったのですが、入れようと思うと、結構後になりそうなので


 日本では中央で走るために、馬主はJRAの馬主資格が必要で年収が2000万とか必要です。

 農園主さんにそんな年収無いです。が、この世界では地方で一定の獲得賞金を越えた馬は馬主がどうであれ中央を走ることができる権利が与えられます。強い馬が地方で埋もれないために初代皇帝が施行した法ですね。

 普通に馬主を商人や貴族にすれば良かったんじゃないかって?この方が中世異世界っぽくて良いだろ!あと人が増えると名前覚えられなくなるし。

 異世界だし年収制度やめようかなって考えたんですが、農園主さんみたいなオーナーブリーダーばっかになりそうで、それは何か違うなって思ったので止めました。

 評価やいいね…なんかどうでも良いから感想が欲しいです。自由に趣味で楽しく書いているので、書き方のアドバイスは控えて欲しいです。質問や感想はできるだけ応えるようにします。

 次の投稿は高松宮記念の日に。

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