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竜国の姫は、田舎で静かに暮らしたい  作者: コフク
第一章 畑と竜と、戻れない日常

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3/9

第3話 指輪の力は秘密の始まり

その日の放課後、私は学校から戻るなり、おばあちゃんに声をかけた。

「おばあちゃん、ちょっといい?」

 おばあちゃんは、鍋の火を弱めてから、私の方を向いた。

 私は、学校で起きたことを、順を追って話した。

 動物の声が、意味のある言葉として聞こえるようになったこと。

 魔法が以前よりずっと扱いやすくなっていること。

 そして、それが、指輪が原因と思われること。


 話を聞き終えたおばあちゃんは、少し驚いたように目を細めてから、ふっと笑った。

「色々役に立ちそうで、いい力、手に入れたんだねぇ」

 その言葉に、胸の奥が少しだけ軽くなる。

「でもな、他の子には、しばらく内緒にしときな」

「やっぱり?」

「変な子だって思われると、面倒なことが増えるからね。

 力は、隠せるうちは隠しとくもんだい」

 私は、うなずいた。

 

ただ、フルールだけは、どうにも誤魔化しきれていない気がしていた。

「ねえ、リリ。最近、動物の方見てる時間、長くない?」

「……誕生日の頃から、なぜか、なんとなく、動物の話が分かる気がするだけ」

 指輪のことは言わず、そう答えた。

 フルールは首を傾げていたけれど、それ以上は聞いてこなかった。

 それから私は、こっそり試すようになった。

 道ばたの鳥。

 畑の向こうを通る獣。

 人がいない時だけ、そっと話しかけてみる。

(……本当に、通じてる)

 魔法の方も同じだった。

 おばあちゃんの書斎には、学校では見たこともない魔法の本が何冊もある。

 風魔法の項を中心に、使う機会がありそうなものから試し始めた。

 雲を動かし、雨を降らせる魔法。

 逆に雲を散らし、天気を回復させる魔法。

「……農業に、すごく使えそう」

 さらに、話し声などの空気の振動を集めて、石や木片に記録する魔法もあった。

「うん、これも何かに使えるかも」

 試す本は、まだ山ほどある。

 少しずつ、時間をかけてやっていくことにした。

 

そんな中で、村の空気も変わり始めていた。

 今年の初め、のんびりした前の領主が高齢で亡くなった。

 代わりに領主になったのは、ずっと王都で贅沢に暮らしていた息子だ。

 税は、目に見えて増えた。

「今までより、たくさん採って売らないとね」

「頑張って稼いで、この一年もおいしいもの、たくさん食べるぞー!」

 私が言うと、おばあちゃんは、はははっと笑った。

「税金なんかに負けないぞー!」

 おばあちゃんは少し声を落とした。

「あんまり大きな声で言うでねぇよ。

 税もだけど……森の木、あんなに切って大丈夫かね」

 最近、人を増やすため、黒い森の方で、木を伐ることが増えている。

「魔物、出てこなきゃいいけど」

「大黒熊とか? 見たことないけど」

「森にゃ食べ物がたくさんあったから、今までは出てこなかったんさ。

 薬草採りに行った時、足跡は見たことあるけどね」

 二人で森の方を見た、その時。

「……今、何か言った?」

「いや、獣がワオワオ吠えとるわ」


「おまえたち、やめろー! でてけー!」

 ――そんな声が、聞こえた気がした。


お読みいただきまして、ありがとうございます。

以降、1話ずつ月、水、金21時に更新予定です。

気に入っていただけたら、評価やブックマークなどもしていただけると嬉しいです。

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