前へ目次 次へ 23/34 プロローグ 悪夢 「雷雲よ、集え―― 雷鳴!」 王は、右手を天に掲げた。 黒雲が渦を巻いて辺りは暗くなり、雷が敵の軍団只中へと落ちる。 人の塊が、崩れた。 ――今。 竜の力を目覚めさせれば、 帝国の軍勢など、嵐の中の砂粒にすぎない。 王の胸の奥で、竜の力が目を覚ます。 王は、竜になろうとした。 が、その時、 前方の帝国軍の列の先に、あるものを目にして、動きを止めた。 王は、竜になるのを止めた。 嵐は止み、 竜は、現れなかった。 そして―― 国は、亡びた。