第17話 思いがけない応援
『紫の髪、それ、コルドミリティ帝国の人間だね』
高い声が、すぐそばで言った。
――コフク。
私は反射的に、頭上を見た。
そしてさらに、私の近くに、白衣のマックスさんと、
その少し後ろに、おばあちゃんが、近づいてきていた。
(え、なんでここに!?)
マックスさんは、煙の中でも目を輝かせていた。
「赤い竜……また会えたね」
優しい声。
「君たちが火を消したのか。お疲れ様。
怪我をしている子は、僕が治すよ」
そう言って、マックスさんが一歩近づく。
(ちょ、待って――)
止める間もなく。
マックスさんは、竜の頬に――軽くキスをした。
「……!!?」
うわーーー!?
私はびっくりして後ずさり、尻もちをついた。
そして、反射で翼を広げて跳び上がり、
そのまま空へ逃げた。
「あ、残念。行っちゃった」
マックスさんはそう言って、竜が見えなくなるまで見ていたが、すぐに、傷ついた魔獣たちに、治療魔法をかけ始めた。
淡い光が流れ、火傷が少しずつ薄れていく。
おばあちゃんも負けていない。
「治療魔法かね。そうだろうとは思っとったけど、やっぱりあんたすごいね。
あたしも本気でやらんとね!」
鞄から薬瓶を取り出し、魔獣にかける。
さらに、手持ち無沙汰の火消し隊員たちを見つけると、小瓶を配って指示を出す。
「これ、怪我した子にかけてやんな」
そして、焼けた場所の前に立ち、両手を上げる。
歌うように詠唱しながら、ゆっくり練り歩いた。
「これで、少しは早く木が生えるだろ」
土がぶわわっと光る。喜んでいるように感じる。
マックスさんは、治療しながら嬉しそうに言った。
「大魔法使いの魔法が見られて、嬉しいですね。
竜もまた見られたし……仲良くなるのは、まだ時間がかかりそうだけど」
護衛騎士のウィルが、戦麓獣に村の獣医を乗せて連れてきた。
「お!ウィル、ありがとう。
じゃあ、まず今の状況説明しますね。この辺の子達は一応僕とジーナさんとで治療しましたが、先生もこれで良いか見てください。」
マックスさんが簡単に説明する。
「ああ、分かりました。ちょっと見せてもらいますね。」獣医が見始めた。
その横で、ウィルがまた小声でぼそぼそ言っている。
「こういう大事な時に護衛と別行動って……僕は一体何のためにいるんでしょう。
あなたに何かあったら大変なのに……僕が」
「でも、一人ではなかったよ」
マックスさんは、さらりと返す。
「竜にもまた会えたし、すごい魔法も見られて、今日は記念になる良い日だ!」
魔力を相当使ったはずなのに、妙に生き生きしていた。
色々な意味で心がざわついている、
誰かとは違って。




