処女の戯言
大学一年生。どうしても国立大学に行きたくて、高校はそれなりに楽しんだものの、勉強漬けの生活を送っていた。結果は、念願叶って第一志望の国立大学に入学。
目標を達成したら、次なる楽しさを求める。しかし、入学したばかりの頃は“大学生になる=彼氏ができる”という方程式を信じていた私も、3ヶ月も経てばそんなのは迷信だと理解していた。
だらだらと大学生活を送っていく中で、11月下旬、大学祭の休みに同じ学部の男の子と飲みに行くことになった。
彼は私と違って、“陽キャ”という言葉がぴったりの人間だった。
居酒屋で2時間ほど飲み、恋人繋ぎでカラオケに移動した。カラオケの個室で彼は私の頭から脚まで撫で回し、手に噛みつき、抱きついてきた。私も負けじと彼の身体に軽く触ったり、手の大きさを比べたりとちょっかいをかけているうちに退室時間になった。
帰り際、「もう帰るの?」と聞くと、「じゃあホテル行く?」と聞き返された。なんだ、カラオケでやるのを遠慮してただけで、やりたくないわけじゃなかったのか。 少し安心しながらも、母親に伝えてきた門限を破ることの方がこわくて「ううん、付き合ってないからやめとく」と返した。
駅の改札に向かう途中、駅ビルの誰も通らない抜け道のような階段の踊り場で強く抱きしめられた。身長155cmの私に対して179cmある彼に抱きしめられるのは、悪い気がしなかった。
その後だらだらと連絡を取り続けたものの2回目の約束にはなかなか漕ぎ着けず、それに加えて彼は返信が遅かったため私は若干メンヘラ化していた。
ついに私は、寂しさを埋めるために初めてマッチングアプリをインストールしていた。あれよあれよという間にクリスマスに5歳年上と会うことになった。
そいつはやることしか頭にないような人だった。会って早々に漫喫に連れて行かれ、どうにかして私の服の中に手を入れたがった。
ただただ気持ち悪く、友達に嘘の電話をしてもらい、予定より何時間も早く帰路に着いた。
アプリの男に全身を撫で回されている間、ずっと彼が頭にいた。なんなら少し泣いていた。謎の罪悪感に押し潰されそうで、帰りの電車でアプリからログアウトし、アンインストールした。
それから数ヶ月が経とうとしているが、未だに私は彼からの返信を待つ日々を送っている。
もう彼のことを好きなのかすらわからない。
ねぇはやく返信してよ。
男の人と手を繋いだのも、身体をあんなに触らせたのも、あなたが初めてなんだよ。
次あったらやらせてあげるから。
だから私を求めてよ。