とある冒険者パーティーの、未来の話。
この場を借りてお礼!
誤字脱字報告、ありがとうございます!
なるべく気をつけているつもりなのですが……それでもミスはあるもので……。
本当に助かっております……! 今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
ではでは、今回は間話です!
よろしくどうぞ( ・∇・)ノ
それは、少し先の……未来の話ーー。
人々の興奮が冷めやらぬ、とある王国の冒険者ギルド。
その日ーー冒険者ギルドに併設された酒場では、大規模な竜の討伐作戦に参加した冒険者達が集まり……死傷者ゼロという奇跡的な結果で終わった討伐作戦の祝賀会が開かれていた。
「おれ、Sランクがあんなにスゲェなんて知らなかった! めっちゃカッケェ!」
「うわぁ! コイツ、Sランクなんてそんなに凄くねぇだろとか言ってた癖に手の平返ししてらぁ!」
「うっせぇって! だって、Sランクなんて雲の上の存在じゃねぇか! こんなに凄いなんて知らなかったんだって! つーか、同じようなこと思ってた奴は、おれ以外にも絶対いたって!」
ギャーギャー、ギャーギャー。まだ若い冒険者達が騒ぎ立てる。
そんな彼らを見て……Aランク冒険者パーティーである《獅子の牙》の一面は、酒場の片隅にあるテーブルに座りながら若干死んだ目を、若い冒険者達に向けていた。
「…………まぁ、うん。必要以上に関わらなかったら、あぁいう感想になるんだろうな。うん」
《獅子の牙》のリーダーであるエイジンがボソッと呟く。
それを聞いたリーフは「あははは」と笑いながら、ワイングラスをテーブルに置いた。
「まぁ、いいじゃないか。憧れるのは自由なんだし……現実を知らなければ、憧れは憧れのままだよ」
「…………現実を知らなければって」
あまりの言い草にエイジンは呆れ顔になる。いや、まぁ確かにその言葉は真理なのだが。多分、レインの本性を知ったらドン引きどころか、速攻で逃げるだろうが。
〝そう思ってても実際に口に出すか……? 本人がここにいたら、大騒ぎになるぞ……?〟と、エイジンは呆れながら、エールが入ったジョッキを傾けた。
そんな中ーー先ほど騒いでいた冒険者達の中にいた少女達の、可愛らしい話し声が聞こえてくる。
聞き耳を立てていた訳ではないが、そこそこ大きい声だったので、ついついその会話が耳に入ってしまったエイジン達は……。
「でも、あのSランクの人……レインさんだっけ? すっごいカッコよかったよね!」
「うんうん! 水を纏いながら踊るように竜を斬っていくとか……あんまりにも綺麗過ぎて、討伐作戦なんか忘れて見惚れちゃったよ!」
「強くてイケメンとか……最高じゃん! あぁいう人を恋人にしたい! っていうか、レインさんと結婚したい〜!」
「「「「ごふっ!?」」」」
ーーその内容に、思いっきり噴き出さずにはいられなかった。
「「ごほごほごほっ!」」
特にルルとアリステラは大きく噎せ返ったようで、互いに互いの背中を摩りながらとんでもないモンを見るような目を少女冒険者達に向けている。
彼女達は頬を引き攣らせながら、震える声で呟いた。
「信じ、られない。レインさんと結婚したいとか、え?? こっっわ……」
「ま、まぁ……先ほどリーフが言っていたじゃないですか。所詮、彼女達は憧れてるだけですから。本気でそう言ってる訳では……ない、はずです、よ。え? 本気なの? 彼への恋は憧れのままにした方が美しい思い出になりますよ?? 本気で結婚したいなら止めた方が良いですよ……あの人と一緒にいたら、心臓がいくつあっても足りませんって……」
「流石は淡い恋心を抱いたことがある経験者。言葉の重みが違う(笑)」
リーフがテーブルをバンバン叩いて大笑いするが、全っ然笑い事じゃない。二人は本気で言っている。
だって……。
「「あんな怖い変人と付き合うとか……ちょっと……」」
「…………お前ら……」
「あっはははははははははっ!!」
その日ーー。
その冒険者ギルドには、夜遅くまでチャラ男の笑い声がいつまでも響き渡っていたという……。
〜余談〜
「へっくしょい! うわぁ〜……どいつか俺のこと噂してんのかぁ……?」
「ちょっと……風邪ですの? この子に移さないでくださいね」
「竜倒して帰って来た夫に対して、塩対応過ぎねぇ!?」
「貴方ならそれぐらい余裕でしょう? もっと早く帰ってきても良かったぐらいですわ」
「…………あっ、その信頼が嬉しいわ。取り敢えず、ただいま」
「えぇ、お帰りなさい。無事でしょうけれど、無事でなによりだわ」
小さな家で、そんな会話が交わされたとかされなかったとか。
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