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俺が次に目を覚ましたのは、レンガと組み木で作られたと思われる城の前に立っていた。
いやこれ比喩でもなんでもなくマジモンの城だなこれ。別に城なんて見たことないけど。
ってかこれ本当にリアルすぎないか?
よくネットのまとめ記事かなんかで「これさえあれば外国旅行気分を味わえる!!」みたいなこと書いてたけど、確かにそう思う。
しかもそれに加えてドラゴンとか。もう俺観光目的で外でないわ。
…本当にそんな人が沢山いたら世の中やばくなると思うけど
で、現在城っぽいけど見たことないからわからない建造物を囲むように、石で出来た門がある広場にいます。
その建造物Xを城だとすると、この門は城門…だと思う。
……しっかし見れば見るほどこれほんとよく出来た建造物だよなあ
あ、今一瞬だけ世界中の絶景写真撮ってる人と心が繋がった気がする。
そんなこんなで色々考えていたが……今の状況を見てみようか。
周りには俺と同じように何か考えている人や、呆然と口を開けている人、とりあえず行動してる人達がいた。
んでんで多分ここがブラストの初期リスポーン地点で、今始めた人がここに集まってる…でいいと思う。
異常に理解力が高いやつだと思った方もいると思います。
そうでしょうね、サイトに書いてありましたし。異世界に行ってすぐ状況を飲み込める人はいないでしょう。
それはさておき、ちなみに今の俺の格好はグレーと青の軽装みたいな奴。
わかりやすく言えばMMO物の初期スキン……いやこれ絶対伝わんねぇわ。
…まあそんな風なものを着てるわけですよ。
んじゃこっから3分ぐらい動いてなかったし、そろそろ当初の目的である蓮との待ち合わせ場所に行くとでもしようか。
……とりあえず歩き始めたはいいものの、、、
昨日決めた待ち合わせ場所である巨大噴水に行こうとしていたのだが、何処にあるのかわからん。
いやほんと何処にあるんだろうね。最初の広場からあんまり歩かないようにしているけど、見つからん。
絶対この広大な国の中でヒント無しで見つけろっていうのは無理難題すぎると僕は思うんだよ。
あいつ俺がコミュ障だってこと忘れてない?せめて目印ぐらい教えろよ、秋冬くん寂しくて泣いちゃうよ?
一回ログアウトして現実で調べようかなとでも思うと、人の話し声が耳に入ってきた。
「おいおい!あっちに武器屋があるんだってよ!!いこーぜ!」「本当!?行こう行こう!」「もー、二人ったら…」
と3人組のうち、気の強そうな一人の少年が城門の左側を指差す。
武器屋ねぇ、今は噴水なんだよなぁ。あ、おい!べ、べべべべ別に盗み聞きとかしてないから!勝手に聞こえてきただけだから!!引かないで!!
などと犯人は供述しており…
…ハハッ大して面白くもないクソゴミ漫才を脳内で繰り広げていた気がするなぁ。
あとこれ全部真顔でやってんだぜ。かわいそうだよな。ハハハハハ
……いやだってさぁ、、、周り見てみろよ、人が多すぎるんだよさっきから
集団で固まってる人と、やることがハッキリしててキビキビ動いてる人しかいねぇし。
一人ぼっちで建物の角に息を潜めてるやつなんて俺しかいねーよ!!
よし心の叫びを叫んだ(?)ところで切り替えよう。で、そっち側に武器屋とかあるんだったら噴水だってあるんだろうという希望的観測をもって少年が指差した方へ俺は歩いていく。
…確かにこっち側の道の方が人通りが多い気がするな。よし道の端でも歩こう。
歩き始めて五分。ようやく住宅街から抜けて開けたところに出てきた。
いやー人混みきついっす。酸素がなくなりそう。
そして歩いてると、最初は気づかなかったが、耳が長いエルフ(仮)や尻尾が生えている獣人(仮)などが沢山いた。
もちろんもふもふしてそうな可愛らしい子もいたが、40過ぎてそうなおじさんが尻尾や耳を生やしているのを見るとクスッと笑ってしまった。
あと全然関係ない話なんだが……イケメンが多い。余りにも多い。
……そんなにアバターを弄っても俺だったら虚しく感じるだけなのに…………
※あくまでも個人の感想です
で、なんだかんだ少年Aがいってた武器屋の看板が見えてきた。
まあ武器屋かどうかはわからんが、剣と剣をクロスさせている絵だったので武器屋でしょう。武器屋以外にあったら教えて
その他にも酒のマークや薬のマークみたいなんかの看板もあるし、りんご売ってる屋台なんかもある。多分ここら辺が商業エリアなのかもしれない。
どこぞのファンタジーなアニメとかゲームで見た、活気が溢れている素晴らしい景色、そして何故か懐かしさを感じさせてくれる匂い、子供達が元気に遊んでいる声。
これをみると、本当にVRができたんだなぁって思ってくる。
道のど真ん中を歩く勇気はないけど、普通に歩いているだけで楽しいな。
あ、あそこにじゃがいもらしきものが………
商業エリア(仮)をまったり歩いていくと、十字路に別れている中心に巨大噴水があった。
うわっ、これ思った三倍ぐらいでかい。どっかの写真で見たイタリアの噴水と同じぐらいの大きさかもしれない。実物見たことないけど
「ほら!こっちこっち!!」「あっ!待ってよー!」
と、噴水の近くで十歳ぐらいの子供が騒いでる。この可愛い子供達と成人男性が互角なの?なにそれこわい。
そしてどうやら噴水の周りで腰掛けている人が多い様子。
で、多分ここが蓮と待ち合わせした場所であってるはず…うん、きっとそう
じゃあ蓮はどこにいるんだろうと、噴水を一周してみる。
えーっとおじいさん、赤髪の女の人、子供、たむろってる女達、普通の男性、主婦、蓮によく似た金髪の人……
ってそれもはや蓮じゃね?多分絶対十中八九蓮だと思うが間違ってたら、死ぬほど恥ずかしくなって死ぬほど赤面して死ぬから、絶対に自分から声をかけない。ソースは俺
しばらく蓮(仮)の前で知らない人に「なにこいつ」って思われない程度にうろちょろしとこうと思ったら、蓮(仮)から声をかけられた。やったぜ俺の存在感。
「すいません、シュウですか?」
シュウですか?ってなんだよ。間違ってたらどうするつもりだったんだよお前、恥ずかしくないの?
「あー、蓮であってる?」
「やっぱりシュウだったか!雰囲気が似てたからな!」
「雰囲気ってどんな雰囲気だよ」
「……」「もういい!言うな!」
「でもアバター髪型以外結構変えたなーシュウ」
「え?髪切っただけだけど?」
「え?じゃあお前リアルの顔でやってるの?じゃなくて…あーもういいや」
「最後まで言えよ。ってかそれAIにも言われたんだけど、やばい感じなの?これ」
「いや俺は社長の息子だから、なんかあった時のために顔隠してるけど、一般人にも必要じゃないか?」
「一般人ゆーのやめろや!」
「で、お前服も最初のままなのか?」
「いや最初もなにも今始めたばっかだろ」
「え?」
「え?」
「お?」
「あー最初のチュートリアルでできるんだけどご存知ない感じ?」
「ない感じ、それにチュートリアルって?」
「は?」
「は?あーなるほどね大体察した気がする。えっとな最初の空間で、敵を倒したりするチュートリアルがあるんだよ」
「え?」
「いやまああるんだよ。その辺のことは後で俺が教えてやるから!で、アバターの他に装備もカスタマイズすることができるんだよ、って言っても防御の値は変わらないし、完全に私服用の装備だけど」
「ほう」
「それで君はベースとなる初期スキンのまま、ここに来たと」
あのAI俺にチュートリアルなしで送ったの?親切な友人がいたからいいものの一年前の俺なら途方に暮れまくってたよ?それで良いのかあのAI。それで良いのかAW。
「あー理解した。もうそれはAIをぶん殴ることに決めたから。お前なんて呼べばいいの?」
「よくぞ聞いてくれたシュウ!あ、いやシュウじゃなくて……名前何にしたんだっけ?」
「質問を質問で返しやがったな。名前はお前に言われてるからシュウにした。シュウ・ウィンターフォル、いい名前でしょ?」
「あ、シュウでいいのね…ってお前名前クソダサすぎない?フィンターフォルってなんだよ秋冬かよ」
「秋冬だよ!そしてお前にクソダサネーミングって言われたかねぇわ!いっぺん過去でも見て来いや!!はぁ…じゃあお前は?」
「レンだけど?」
「もうちょっと捻りを加えろよ!!エンターテイナー性に欠けるわ!」
「名前にエンターテイナー性を求めるなよ。……で、姉ちゃんいい加減出て来たら?」
姉ちゃん?え?花音さんいる中であの低レベルな話してたの?ってかどこにいるの?
「シュ…シュウくん?」
噴水の反対側!?現実よりちょっと大人びた顔つきで、メガネを外した花音さんが頭を出していた。かわi危ない危ない私は何も言っていない
「姉ちゃんったら、ずっとそこの建物の端っこに居たんだぜー」
親近感を感じるが気のせいだろう
「レ、レン!秋冬君…シュウ君の前で言わないで!」
つたつたと寄ってくる。それよりなんて?シュウ君?天使ですか???
「べ、別に気にしてないですよ花音s…」
「あ、名前はカノン…です」
「素晴らしい名前ですね」
「おいそこ手のひらクルックル!!」
「あ、そういえば二人の職業とかってどうだったんですか?」
「え、これ聞こえてない感じ?で、俺らは…」
「わ、私は魔法使いでレンは…剣士でしたかね?種族は二人とも人間です」
「ちょ俺が言おうと思ってたのに…」
「だまらっしゃい。俺は狩人でダークエルフらしい」
「だーくえるふ?」
首をコテンとして可愛らしく聞いてくる。あら可愛い
おいそこのレン!花音さんを横目で見て真似すんじゃねぇよ!ただただキモいわ!
「そのダークエルフは俺も聞いたことないなぁ」
「あーランダムで引いてこれが出たから、まだ情報がないんじゃないのか?」
「は?ランダム?ちょいとお話ししようや」
「だれのロールプレイだよ。AIが言うには結構なレア枠らしい。
それに比べて……やーいやーいただの人間!!」
「真の経営とは安定を目指すことなんだ」
「経営持ち出してくんなよ!挑戦しなきゃ新しいビジネスは生まれないんですー!」
ごめん適当なこと言った。全くわからない
「別に人間だっていいだろ!…まあそれは後で問い詰めるとして、 これからどうする?」
「どうするも何も…。か、花音さんは何かありますか?」
「え、私!?え、えーっとここの散策とか?」
うーん散策!実に素晴らしい!!
「えー!外に出て魔物見てみたいぜ!」
だまらっしゃいこの脳筋が。仕方ない花音さんのためだ、俺が散策したいって言えば多数決でいけるだろう。
「じゃa「もう、レンったら…じゃあ一回外に出て、また後で散策でもしましょうか」
「え、あ」「よし!ありがとう姉ちゃん!」「え」
本人がいいなら良い…のだろうか
「で、こっから外にどうやってでんの?広くね?」
「そりゃマップ見れば良いじゃん。ほらここ門」
レンが何もない空間から、毎度恒例の板を出して俺に見せてくる。
は?マップ?またあのAIやったの?
「あっ、またなの?マップって頭で念じれば出せるぜ」
「なんと便利な」
マッ…プ…っとうわっ!地図…かどうかは分からんが、円状に色が塗り分けられていた板が出てきた
「えっと、その円状に色が塗られてるやつがこの国『ブラスト』の領地らしい。
拡大とかできたりする。で、そのマップを広げるには地図で暗闇のところを歩かなきゃいけない。オーケー?」
「オーケー」
ってかマップあったら俺迷わなくて済んだくね?
あいつ後で殴っとこう。ああいうAIのキャラって死んでも生き返りそう。
「それでは皆さん!!進みましょうか!」
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