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「ステータスの説明も一緒にすんだことですし、次に移りましょう」
「…結構長いな」
「せっかちすぎないですか?私も早く終わらせたいからしっかり聞いといてください。人間界でよくあるあれです、『大事なことなので1回しか言いません』ってやつです」
あぁAIにもそんな概念あるんですね。
…いやそうじゃなくて早く説明しろや!
ここまで読んでまだ本編始まってないとか読者に思われるだろ!(?)
「じゃ、行きます。次は《スキル》についてです」
スキルか。これは調べたな、確かスキr「《スキル》というもののについて設定する前に、《ジョブ》と言われるものの説明をしましょう。」
わざとなの?もしかして人の心遮るのクセになってたりしてんの?
「あ、あのさ、まさかおm
「ジョブというものは向こうの世界に存在している人間範疇生物なら、誰もが就いているものです。
ジョブには下級職、中級職、上級職、そして世界でたった一人だけがなれる神級職があります。
このジョブたちは全部で一万職以上もあると言われておりますね。
ちなみにジョブにはレベルがあり、下級職は20lvまで、中級職は50lv、上級職は100lvまでとなり神級職は制限なしとなっております。」
「あ、話聞く気ないんですね。まぁだいたい調べた通りかな」
「そうですかどうでもいいですね」「ねぇひどくない?」「あ、それでスキルを入手するためにどうするのか言いますと、先ほど話したこれらジョブに就くとそのジョブに見合ったスキルが貰えます。
例えば、《剣士》とよばれるジョブについた場合、《剣術》と《剣技・スラッシュ》が貰えますね。
ざっくり言うと剣術は剣の扱いが上手くなり、剣技とついたスキルはその名の通り剣の技が使えるようになります。
技の種類は沢山ありますので自分で確かめてるでもなんなりしてください」
「あ、はい」
どうでもいいって言われたショックで半分以上話聞いてなかったなんて言えない。
ってか殆どネットで調べたから、あんまり聞いてる意味ないんだよなぁ…。
それよりよくもまぁ噛まずに言えるもんですね。
「ぶち殺しますよジョブに就く以外のスキルの入手方法ですと、レベルを上げたり特定の行動などをしたりするとスキルが貰えることがあります」
気のせいかもしれないけど、『殺気』と言うものを感じ取った気がする。
あんな自然にぶち殺すって言えるの?今度日常会話で使ってみようと思います。
「………どうします?私としてはめんどくさいので説明する意味がないのなら辞めますが」
ヤダッ!そんな全てに呆れてる目でこっちを見ないでッ!
……きっとここで断ったら一生その目だと思うので聞くだけ聞いときます…はい…
「分かりました。では先程の説明の続きをしましょうか」
あの心読むのだけはやめて貰えませんか。
その能力使われる方って便利なのか不便なのか分かりません。今のところ不便の方向に傾いています
「あとジョブとスキルに関すること……。
多分もうないでしょうあったら勝手に調べといてください」
「え?聞いといてその対応なんですか?」
「仕方ないでしょう。私がなんでも知ってると思ったら大間違いです」
「なんのためのAIだとあなたは思ってるんですか?」
ははっおーい責任者出てこーい
「あ、そういえば上位互換なんてものがありましたねどうでもいいので省きますけど」
「それがどうでもいいんですか。私はそれこそ説明するべきものだと思います」
なにこいつ泣きそう。
「さてマスターがスキルについて理解を深めたとこですし」「全く持ってあなたから説明されてないんですけど」
「理 解 を 深 め た と こ ろ で」「はいそうですね」
もうどうにでもなーれ♪
「さて笑えるところが何一つないくっだらない冗談は置いといて、次に紹介するのは、このゲームの一番重要なシステムといっても過言ではない《オンリースキル》というモノです」
オンリースキル……?え、それ昨日の俺が「もう眠いからいいやーこれそんなに意味ないだろー」ってピンポイントで読まなかったところじゃん。そんなに重要だったの?
「あ!そーでしたーマスターは全て知っているんでしたねーじゃあ説明しなくていいですかー」
「なんで肝心な時に心読んでくれないんだよお前。いやこれは一周まわって心読んでんなこれ」
「ん?それではマスターは私にどうして欲しいんですか?」
あー腹立つわーこいつ。そのニタニタ顔やめろ、ちょっとイタズラ好きな可愛い子に見える。
多分こいつ今まで出会った人の憎さ、生涯歴代一位の座に君臨すると思うよ
「……お…い……す」「大きな声で」「お願いします!!!」
「よろしいお教えしましょう。
詳しくはここに書いてあることを見てください」
「いやここまで言ってあんたが説明するんじゃないのかよ」
クソカスゴミゴミAIが異空間から出した紙を俺に渡した。何か書いてある。
…書いてあるのだが、、、、、文字がちっちゃくて死ぬほど見づれぇし、しかもこれなんで紙なんだよ。これこそお馴染みな不思議パネルの正しい使い所じゃん。
……はぁ……なになに?
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『《オンリースキル》とは従来のスキルと違い、自分でスキルのワードを組み立ててスキルを作ることが出来るシステムです。
このシステムはスキルの説明に書いている一つ一つの単語を、別のスキルの単語と組み合わせ、自分だけのスキルを作り上げるということを、目的として改変されました。
これがどういうモノなのか例を用いて説明しますと、剣士から入手できる《剣技・スラッシュ》と、槍使いから入手できる《槍術》の二つに書いてある《単語》を組み合わせてみます。
ここでスキルの説明欄について一回説明しましょう。
説明欄とは殆どのスキルについており、そのスキルの効果が記載されております。
先程組み合わせの例に出した、《剣技・スラッシュ》と《槍術》の説明欄を見てみましょう。(以下に略す)
それぞれの効果は《スラッシュ》が『《剣》から《斬撃》を《放つ》』で
《槍術》は『《槍》を《一般槍使い並》に《扱う》』になります。
この二つのスキルのワードを組み合わせると
『槍から斬撃を放つ』というスキルに作り変えることができます。
遖∵嶌逶ョ骭イ3 『ルーカシステム』より引用』
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「読み終えましたか?」「全然頭に入らない」「でしょうね」「でしょうね!?」
まずどっから突っ込めばいいんですかこれ
なんか文法メチャクチャでようわからんし、例の組み合わせが『槍から斬撃を放つ』とかいう意味わからん奴だし、最後文字化けしてるし、ルーカシステムってなんだよ。読んでて怖えよこの文章。
「…すみませーんもっと分かりやすいように説明して下さーい」
「無理です」「うーん即答」
こいつもうクビでいいんじゃないかな
「でも、適当にやってればそのうち慣れます。そのシステムを使うのはまだまだ先だと思いますので、その時になったら懇切丁寧に教えて差し上げましょう」
「ん、あ、ありがt」…いやこれおかしくね?なんで俺がお前に教えて差し上げられんだよ。まず教えるのがお前の仕事の義務だろ。
「…はぁもうこれで終わり?」
「あなたすぐに終わらせたがりますね」「ほぼあんたのせいだよ」
「別に終わってもいいですがジョブ決めてないまま始めることになりますよ。一生無職です。まるでマスターのようですね」
「俺まだ高校生なんだけど」「将来です」「いやだわそんな将来」
「んじゃ最後にジョブを決めてステータスの見直しをしたら終わりになります。早く帰ってください」
ハハッもうこいつ殺していいかなぁ。
…ん、あ、またあの万能板が出てきた。なんか不思議パネルだったり、万能板だったり、アクリル板だったりいろんな呼び名あるなこれ。
まあそれはさておき、これに書いてある内容でも見てみようか。
……んあ!これめっちゃ職業の欄あるんだけど!
下級職としか書かれてないけど、全部で百六十種類もあるんですかこれ。
なんかAI(仮)が1万種類以上あるとか言ってた気がするな……。
あ、うっわなにこれ。このテイマーとか演奏者とかめっちゃ気になるんだけど。
……これDEXとAGI関係あんのかな?
器用さはともかく素早さは演奏するのに入らないと思うけど…
あ、いやもしプロの演奏者さんに、「演奏は素早さが必要なんだよ!!」ってキレられたら死ぬほど困るから前言撤回。
演奏にはすべての能力が必要不可欠だぜ!みんなも覚えような!
話は戻るけどステータスがあんまり関係が無かったなら、俺に全く持って意味ないんだよなぁ…
あと演奏者ってどうやって戦うんだよ。しかもゴリゴリのバトル系のカテゴリに入ってるし
「マスター、良ければDEXとAGIが関係あるのをリストアップしましょうか?」
「えぇ…?あ、お願いします」
もうこの感覚に慣れてきたかもしれない。多分慣れたたらおかしいやつだと思うけども。
「リストできましたよー。
DEXとAGIが関係するものと言っても結構あるので戦闘系に絞りました」
「俺そんな攻撃してそうな奴だと思われてんの?」
「当たり前でしょう。自分の胸に手を当ててください」
と言われたので胸に手を当ててみた。
……認めたくはないがッ!確かにッ!!戦闘したいッ!!!
「そうでしょう。これで私がどれだけ有能か分かったと思います」「はいはいすごいすごい」「ちっ」
舌打ちしないで
ん、よくあるネトゲの王道だと弓使いや狩人があった。
だけどちょっと意外方面で行くと、人形作りとか吟遊詩人があるし。これ攻撃どうやってやんの?
吟遊詩人とかまっっったく人殺しそうなイメージないんだけど。
「そうでしょうね。こういう吟遊詩人とかは中級職や上級職で大きく化けることが多いですね。
別に気に入らなくても後でジョブを変えることができるのでどれでもいいですよ」
あれから数分。
…そうAI(仮)に言われたものの、、、、めっちゃ悩むわ
「なぁこれもうDEX系だけでランダムとかできる?」
「は?またですか。今度はレア職業なんてありませんから本当にランダムですよ。ルーレット出すくだりめんどくさいので、適当にやっとき…………ました。
いたって普通の狩人です。
これで決定にしますね?」
はっや。「あ、はいそれで決定で」
「はいじゃあ次は国のリスポーン地点です。
国とは……」
「あ、それは調べたんだよなぁ!ブラストで!」
俺は「そこら辺はちゃんとしてるんだよ」という意味を込めて自信ありげに即答した。
「フッ」
鼻で笑われた。なぜ。
「最後にステータスの確認です。が、操作に慣れてもらうために自分でやってもらいましょうか。
頭の中でステータスと強く念じるか声に出していってみてください」
……こいつ絶対なんか企んでる気がするんだよな。
「失礼な」割り込むな。
でも声に出して騙されたら恥ずいから、念じるだけ念じてみよう。
…ステー…タス…
え?ほんとになんかでできた。なになに?
名前:シュウ・ウィンターフォル 種族:ダークエルフ
職業:「狩人lv1」 「」 「」 「」 「」
HP:100/100 MP:100/100 空腹度100/100 所持金10000E
STR:8(×0.8)DEX:13(×1.3)
VIT:10 AGI:11(1.1)
INT:8(×0.8)MND:10
残りスキルポイント:0
スキル
《アクティブ》
「射撃lv1」「鷹の目lv1」
《パッシブ》
「視力補正lv1」
装備 《開く》
道具 《開く》
こんな感じだった。
「あ、こうしてみると説明してないこと多いですね。
空腹度ですがゼロになったら非常に辛い倦怠感とHPがゴリゴリ削られます
倦怠感はマジでやばいんで1日3食きちんとご飯を食べましょう。
お金の単位は「E」でエンと読みます。日本で言うところの1Eで十円です。
アクティブスキルは任意で発動でき、クールタイムがある技などがほとんどです。
パッシブは常時発動でき、オンオフ機能もあります
ステータスは20が現実の成人男性の平均です。
まあそんなこと言ってもこっちにはレベルなんてものがあるので、元気に遊んでいる十歳ぐらいの子供の身体能力と一緒ですが」
いや成人男性舐めすぎだろ。…ぶっちゃけ大の大人が十歳に負けるところ見てみたいけど。
あれそれじゃあ俺たちより長生きしてるNPCに一生勝てなくね?
「それなら大丈夫です。トラベラーは成長速度が速いので」
もう俺の心が、プライバシーのない無法地帯だと言うことは何も言わない
成長速度がどれくらいなのか聞きたいところではあるが、その辺は後で調べればいい。
こいつと話してると俺の精神が持たなくなってくる。早く終われ
「わかりました、それではもう終わりましょう。久しぶりにこんなに喋りましたし。
あ、細かいことはメニューのヘルプ欄に書いてあります。
メニューの開き方は適当に念じといてください。なんか出ます」
最初から最後まで適当なのかよお前
「それではあちらへ行く前に運営からのお言葉を。
『私たち運営は君たちにストーリーを遊んでもらうんじゃない。
君たち自身が、このゲーム、ストーリーを築き、一人一人が主人公になれる場所を提供しよう。
苦労して作ったこの世界で、みんなの物語を楽しみに待っているよ。』
とのことでした。長い説明に付き合っていただいて誠にありがとうございます。
ーーそれでは良き物語を、お紡ぎくださいーー
そう言葉を残し俺の視界が暗転した。
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※作者は常にネタ切れです。感想でネタを恵んでください。