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さてやってきました終業式。
はい、前日夜更かしして寝坊するというお決まりがきました〜。わーパチパチ
…急ごうか
朝ごはん食べる余裕もなかったので、電車でも待ってる間に食べよう
…駅に着きました。家から猛ダッシュして、いつも乗ってる電車にはなんとか間に合った…けど朝食べれそうにないかもしれん
あ、そうそう。まったくどうでもいいけど、たまにコンビニとかのご飯食べると美味しいよな
毎朝朝食と弁当作るの楽しいけど、めんどくさいし。
姉が喚いて変なことするのに目を瞑れば、いいことづくめかもしれない
…あれ?それじゃ俺のVR危なくね?いやさすがに姉でも、意図してやんない限りはそんなことないと思う。そう思いたい。
絶対に遅刻するけれど、姉に朝食を作って俺の部屋に立ち寄るなと伝えに行くか、はたまた姉が俺の部屋に踏み込んで「ん?なんだこれ?」とかなんとか言って床に落とさないことに賭けて学校に行くか……などと、姉を尊敬する気持ちが微塵もないことを考えていると、ようやく電車が駅に着いた。
電車の中では、次に到着した駅で友達と会い、楽しそうに喋っ……………………ている見知らぬ人を横目で見て、そこはかとなく気分が下がり、いつもと変わらずなにも起きらないまま俺が通ってる駅に着いた。
家から電車で4駅、今のこの季節に似合う桜並木を通り抜けると学校が見えてくる。
…そういえば今日は終業式だった。
一年生が終わるっていうのに何も感じない
…いやまぁほらたかが終業式だからね。みんなだって別に一年から二年に上がるだけだったら何も思わないでしょ。きっとそう。
ふと、「あれ?今日誰とも喋ってなくね?」という事実に気づいたのは、入学して三ヶ月の間、誰とも喋らず帰っていたため自然と駅から学校まで木が八十本あることが分かり、現在五十八本目で気付いたのである。
いやこれは別に仕方ないでしょ?姉はいつも起きるの遅いし、友達は……他の人と話してるんだろう…
そうだ!なぜ俺は話しかけられないんだろうか、考えてみよう。
だって俺はこんなにも気さくに、そしてフレンドリーに話しかけ…………てないけれども周りから話しかけられやすいような雰囲気を…………作っていないけれども!
…友達多い人ってどうやってしてるんだろうな
是非ともご教授願いたい
そしてなぜかだんだん独り言が上手くなっていることに目を伏せながら淡々と歩く。
…歩き続けたかったが何を思ったかバカなことに、立ち止まって周りを見てみる
おやまあなんと、集団で駄弁りながら歩いてたり、カップルらしき男女が手を繋いでしゃべっているのが見えたではありませんか!
この桜並木ごと燃やしてやろうか。一歩間違えれば犯罪者予備軍になってしまうことを心に隠しながら歩き続ける。
あ、おい!駅から出た時から後ろにいた俺と同類らしきメガネ君が、友達を見つけて楽しそうに走り出してった。
…もう話を変えよう辛くなってくる。
あ、そうそう実は昨日の夜ちょっと(?)だけAWについて調べてきたのですよ
AWの細かいルールとかが載っていたからはなしていk「おーい!!シュウ!!」
なんですか人が見えない幻覚と喋ろうとしてるのに
「聞こえてるからそんな大きい声で呼ばないでくれ」
「ごめんごめん、でも話しかけてもらってすごい嬉しそうだったけど?」
「…はったおすぞコラ」
「あと急に立ち止まったり、歩いてたりしてたな」
「……いつから見てた」
「さあ?立ち止まっているところを見ただけとしか」
おいそこ俺が唯一歩く以外の行動起こしたところじゃねえか
「まあいいけど、お前一人なの?」
「いやなんだそれ、シュウと関わってる人は全員一人になる契約でもあるの?」
「関わる人すらお前しかいないからそんな契約あるかわからん」
「……」
「いやここツッコミ待ちだったんだけど…」
「いやあすまんすまん、友達少ないのにそんなこと言ってごめんな」
ハッッラたつわこの顔。これ嫌味なの?
そして誰が友達いない惨めなやっちゃねん、将来ハゲさせるぞ
「ああ今日は普通にシュウと登校しようと思っただけだ」
「登校する?一体誰と」
「あかんもう手遅れか」
こいつ意外とノリがいいんだよなぁ、そういうとこが陽キャ足らしめる所以なんだな
まぁ俺とは無縁なんですけど
………………………いやほんとにすいません。そろそろ幻覚とクソつまんない漫才するレベルになってきた、病院に行ったほうがいいのかもしれない。
…なんか人物紹介するのだるくなって来たんですけど……
はぁ…一応紹介します。
こいつが昨日言ってたただ一人の友達、黒崎 蓮。
俺とは真反対のクソイケメン金持ち陽キャっていう憎たらしい要素満載のやつである燃えればいいのに。
はい終了。これ以上紹介すると俺の身が持ちません。
「あれ今なんか嬉しい様で嬉しくない評価もらった気がするんだけど?」
これもはや察し良いってレベルじゃないだろ。
「自惚れるな、げみn上民が」
「下民の反対って上民っていうの?嬉しい」
「うるさいっっわお前!」
そう言って俺は軽くレンの頭にチョップした。喰らえ憎しみの一撃、英語にすると『Hate Strike』かっこいい
「すっごい痛いんですけど」
「あ、VR機器届いたぞ」
「…まあいいや、無事に届いて何よりだったな!」
「…まあ届くのは夜中の十時過ぎだったけど、、、ていうか普通に考えて無事に届かないことってあるわけなくない?」
「いや俺もそう思ってたんだけど、今朝のニュースでAW欲しさにトラックから盗んだ奴がいるらしいんだよ」「いやほんとにいたのかよ」
さすがAWとポジティブに考えるべきか。
俺の分のやつが盗まれたらそんなこと考えてるやつ容赦なく殴る。覚悟しとけ
「あ、そうだった!俺と一緒にパーティ組んで遊ぶことでいいよな!?」
「ん?あぁいいよ?」
あぁそんな話あった気がする
蓮と遊ぶことは結構あったけど対戦系がほとんどだったから、パーティ組んでずっと一緒にやるみたいなのをやりたいらしい。
だから、まぁ仕方なく?一緒に遊んであげようとしてるっていうか?
…嘘です本当は友達とこういうことしてリア充っぽいことしたかっただけです。
「あ…ごめん…」
「おい憐れみにあふれた目で見るな!悲しくなるだろうが!」
「あ、それで姉ちゃんもこのゲーム一緒に買ったんだよ。なんか一緒に遊んで見たそうなんだけど…いい?」
「え、別に全然いいけど…逆にいいの?」
「あ、マジ?別にいいっていいって!」
…レンのお姉さんってあんまゲームをやらなさそうな人だと思ってた。
「そうだそうだ!知ってると思うけど、このゲーム最初のうちは国を移動することが難しいらしいんだよなー。
というわけで遊ぶなら一緒の国でいい?」
へーそうなん?
あ、いや別に知ってましたけど?
「あーそれね、知ってるわそれ。別にそれでいいと思うよ」
「あ、別にいいならよかった……じゃなくて今初めて聞いた顔と声と話し方してるなお前。…流石に国についてぐらいは知ってるよな?」
「あー完璧に覚えてるわ。でも一応あってるかわからないからお前に説明のチャンスをあげようじゃないか!」
「ったく調べてないのかよ…」
「いや調べたけど全くその情報載ってなかった」
「…五秒前に自分が言ってたことを覚えてる?」
「過去は振り返らないから覚えてないです」
「…。あ、詳しくはこのサイトが書いてあるから見て」
なにやら蓮が携帯を取り出して色々いじっている。
その場に止まって待つこと一分、俺の携帯のメッセージアプリに一通の通知が来た。
姉と蓮と公式アプリしか登録されてないこの携帯で通知が来たのはもちろん蓮しかいない。
なんかの手違いで俺の友達枠が百ぐらいに増えてないかなーと思いながら、蓮から来たメッセージを開く
…なんかURLが貼られてあんな
「それ見て」「あ、了解」
えっとー?あ、これAWの攻略サイトだな
そしてやっぱり俺基本のとこ見てなかったわ
いやーこれは仕方ないね、「基本ぐらいわかるわ」って言って読まなかったもんね
いやー仕方ない。
「その国のとこだけ見て」「あ、はい」
目次にあった「国について」っていうところをタップする。
えーっとなになに?
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このゲーム、もといAWには最初に選べる六つの国がある!
まずは騎士団や教会、そして大きな城、男の浪漫を詰め込んだ中世ヨーローパ風の国!
騎士の国『アテリア王国』
現在の科学技術と魔法が融合したかっこいい感じの国、そしてSF物の醍醐味、ロボがある!!
科学の国『ラグーナ帝国』
海の上の小さな島々の国が集まってできている合衆国、そして海賊などが存在している!
群島国家『ネーデラント合衆国』
龍と盟約をかわし様々な種類の亜人が存在している、またその名の通り迫力あるドラゴンがいる!
龍盟国家『ブラスト王国』
国の場所によって天候、季節がバラバラになるという珍しい国!
精霊国家『リグル王国』
他とは一線を画している…まぁ他も大概だけど、とにかくすっげえファンタジーな国、そして魔法に力を入れている!
魔法国家『テンペスト王国』
そしてこのAWの舞台の名前『グランディール』だ!!!
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おおう、なんか筆者ハイテンションすぎない?
で、えっと最初に選べる国が六つあってそれぞれ個性があると。
あ、ラグーナ帝国だけ「!」が二つある、きっとロボが好きなんですねわかります。
「どう?めっちゃ興味そそられるでしょ?」
「あぁめっちゃびっくりした。いやみんな同じ場所から始めるのかと思ったけど、国選べるのな」
「え、そこ?いやまあ確かにすごいけどもっ!」
「で、お前どこにするか決めてんの?」
「え?いやお前と遊ぶから一緒に決めようと思って」
そんなことをさらっと言えれば陽キャになれるんですね。私には無理です
そんなこと簡単できるだろと思ってるそこの君!普通に喋るのすら限界なのに、この僕ができると思うかい?
「…じゃあ決めるか」「おう!」
「…とかいったものの、別にどこでもいいんだよなー」
「まぁどこも浪漫あるもんなぁ」
さっき送ってもらったサイトを見ながら悩む。
「うーん…これ考えれば考えるほど悩むだろ」
「あ、この際ランダムで決めようぜ。選ばれた国はなるべくしてそうなったっていうことにして」
「つまり当たったやつは運命だったと。でどうやってランダムに引くんだ?」
「その点はご心配なく」
「っ!?!?」
声にならない叫びをあげながら、今の状況を確認する。
っつかほんっっとに心臓止まったわ…
実際はまじで俺死んでたりする?などと意味不明なことを考えてようやく目の前にいる人を思い出すことが出来た。
この人はレンの従者のエリさんっていう人だ。
詳しいことは蓮でもあまり知らないらしい。
素性を知らないのによく雇えるな。
さすが金持ち、略して金。
「で、エリどうするんだ?」
「そんなこともあろうかと自動でランダムにしてくれる装置が手元に。
名前を入れるだけで今すぐ実行可能です」
そう言って腕時計的なものを前に出し、それの上のなにもないとこから映像が出てくる。
え?あのいくら2036年だからと言って、そんなものができると思いませんよ?
漫画とかの世界じゃないんだし、、、そうだよな?
それよりなにが「そんなこともあろうかと」ですか、一体どんなことがあるんでしょう。
不思議でたまりません。そしてスマホで普通にランダムにできるアプリがあったことを思い出しました。そんなメカメカしい装置使ってまでやることなの?
あーもうツッコミきれないわ!
あと何事もないように接してるレンもそういうとこやぞ!!金!!
「「あ、でた(でました)」
いや俺いないのにやるなよ!?という言葉は喉元まで出かかったが止めておく。
言っても意味ないと思う。
「え、あ、なに?」
「ほーん『ブラスト』だって」
「あー亜人がいる国かー。……猫耳獣人とかいそうだな」「わかる」
俺がなにを想像したのかわかったように即効でレンが言う
「ご主人様?雇い主様に言いますよ?」「やめて!」
「冗談です。それよりご主人様、秋冬様お時間は大丈夫なのでしょうか?」
「またまたーあそこで話してただけでそんな時間食う?」
「……。ほらどうぞ」
エリさんが呆れの眼差しでこっちを見てくる。
そしてエリさんが時計を見せてくる、そこには「8:47分」と表示されていた
「なあ」
「ああ」
「終業式って九時からだったよな?」
「ああ」
「「……」」
「「急ぐぞ!!」」
全力ダッシュすること五分。ギリギリ校門を通り抜けることに成功した。
「はぁはぁ、おいレン!?なぜ通学真っ最中に足を止めて国を決めた!?!?」
「ぜぇぜぇ、お前も乗り気だったろうが!」
そんな俺たちを校門で待ち構えていたのは、またまた俺とは無縁で、眼鏡をかけて清潔そうな身だしなみをした女の人だった
「二人ともー、遅いです」
「あーごめん姉ちゃん、ちょっとこいつが足止めしてて…」
おいそこで話を振ってくるな、喋んなきゃいけないだろうが!
どう答えればいいのか必死に考え、結論は話を振った蓮に足をグリグリすることに決めた。
泣きそうだけどやめない。
「…蓮、本当ですか?」
あ、そうそう今ジト目で見てる黒髪ロングの女の方は蓮の姉、黒崎 花音さん。
数少ない俺が喋れる相手だ。簡単な会話しかできないけど。
そして全然蓮とは性格と雰囲気が真逆すぎる。
こんな人が姉とか羨ましすぎて怨念が溢れそう。うちの姉も見習ってくれないかな。
「いやごめん姉ちゃん、別に足止めされてたわけじゃなくて冗談だったけども」
「そうですよ、全てこいつが悪いんです」
「おい流れるように嘘をつくな」
「あ、それより姉ちゃん、どうしてここに?」
「どうしたもこうしたも、私次期生徒会長ですから二人みたいな人たちを取り締まってるんですよ!」
胸を張って花音さんがそう言った。…なんか溢れ出るポンコツ臭が
「え、そうなんですか?花音さん」
「そうなったんですよー、ってその話は後でです。それよりほら!やること…あるでしょう?」
「「あ、すいませんでした」」
「ふふっ。別にいいですよ。あ、それとあとで終業式終わってから明日について話しましょう。
くれぐれも蓮、終業式…寝ないでくださいね…?」
……明日について?AWの事だったらなんでさっき蓮と決めたばかりなのになんで知ってるんだろうか。
…気のせいということにしておこう
「ふーんおもしれぇじゃん」「えすっげすっけすっげ」と少しでも感じて頂けたなら是非下にある評価ボタンを押して欲しいです!!!
感想なども受け付けておりますのでお願いします!!
※作者は常にネタ切れです。感想でネタを恵んでください。