0-1 エピローグ
王都。
城門から城壁まで続く大通りには多くの国民が待ち受けている。城からは兵隊を先頭に1台の馬車が出てくる。
「ありがとう」「あなたのことを一生忘れない」「またきてくれよ」
国民は馬車に向けて、おのおのに感謝の言葉を投げている。
馬車には二人の人物がいる。
一人は先日、この国を救った勇者様である。
この王都は少し前まで魔族に占拠されていた。10年前に突然現れた魔族が王都の市民、兵士、王家を追いやり、王都は魔物の巣窟となってしまった。我が国の屈強な兵士たちでは歯が立たず、国は魔族を打ち払う勇者を募り、魔族を刺激しないように細々と暮らしてきた。
そして、やっと魔族を倒せる力を持つ勇者が現れたのである。勇者は王家を訪ね、王都奪還を約束し、ついに魔族が王都から消えたのである。
この日は勇者が国に帰るというので、王都市民が見送りに集まった。
勇者は王都の奪還だけでなく、彼らの卑屈な気持ちを打ち払った名実ともに勇者である。
さらに勇者は王家からの報酬を拒んだ。長年にわたり魔族によって疲弊させられていたこの国に資金などない。王は涙ながらに感謝の意を述べた。
「ああ、勇者よ。申し出はありがたいが、それでは国民に申し訳がつかない上に、私たちの気が済まない。私たちに何かできることはないだろうか。」
すると勇者は少し考えてからこう言った。
「それでは麗しき一番下の姫を頂こう」
こうして勇者は姫とともに国民の歓声の中、王都をあとにするのでした。
めでたし、めでたし。
・・・ごく一部を除いて。
少なくとも私はめでたくない。
物語の結末ってもっと幸せな感じじゃないのだろうか。
そんなことを考えながら馬車に揺られていく。