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6話:クラス会での話1

 担当の先生、金井悦子先生も来ておられた。次に金井先生が、今日は、

みんなの近況をいっぱい聞きたいとうれしそう言い開会を宣言した。

 そして、もう1人の幹事の平山節子さんが、ビールで乾杯の合図で

クラス会が始まった。司会を戸部賢一が行い、最初、金井先生の近況を

聞いて見たいと言い、マイクを向けると、もう年ですが、ま、教師をして

います、身体の続く限りは教師を続けたいと抱負を語りマイクを置いた。


 その後、次々と全員にマイクが回り近況を話した。1時間程して昔の

仲良しがあつまり雑談を始めた。久保伸介の所には吉川光男、西藤秀夫が

やってきて雑談となった。吉川君は中学時代、学校近くの雇用促進住宅で

お母さんと2人で住んでいて、貧しかった様だが、キリッとした男っぽい

奴で、苦学した。久保伸介によく説教して、お前は甘いんだよと叱られて

いた。それでも何故か馬が合う不思議な男だ。


 もう1人の西藤秀夫は、久保家と同じ近所の大きな農家の子孫だった。

 育った環境が近く、いろんな相談をしてきて、2人で討論した者だ。

 久保が吉川君に、お前、川和高校から東大に入ったんだってと言うと

卒業してN証券で働いていると言い、この頃、インターネット証券が脅威に

なってると笑いながら言った。もし、株投資するなら、N証券でやって

くれと笑いながら言った。


 吉川君に、お母さんは元気かと聞くと、ちょっと顔つきが変わり死んだ

と吐き捨てるように言った。すると、すぐに久保がごめん、知らなかった

んだと言うと、良いんだと言い、大学卒業して就職が決まり、初めての

ボーナスを渡した時に、母が、私もう長くないのと言ったんだ。


 その時には、本当に、悔しくて、思わず家を飛び出し近くの町の飲み屋

で飲み明かしても、悲しさ悔しさから逃れられなかった。そして飲み

明かした後、黙って家に帰った。すると、母も一睡もせずに、俺を心配

してくれ、待っていてくれたんだ。その時は、2人で涙が涸れるまで

泣いたよと言った。


 吉川君は続けて、うち両親は俺が小さい頃、両親が訳あって協議離婚

して妹は父の方へ言ってしまい、離ればなれ、その後も会ってないと言った。

 苦労ばかりかけて、これから親孝行できると思った矢先に体調が悪いと

言うので近くの大きな病院にかかると母がガンで余命が短いと知らされた

んだ。その1晩中、荒れ狂ったさ。でも俺が何をしようとも、世の中、

自然、時間は、全く変わらないんだ。


 日が昇り始めると、それを悟りに、家に帰ると、母が辛そうにして

泣きながら起きてるではないか、思わず、抱きしめて、泣いたよと話すと

クラス会の連中が凍りついた様に話に聞き入っていた。そうして多くの

クラスメイトが涙を流していた。その後、大きな病院を訪ね、最終的に、

国立ガンセンターが最先端治療ができる事を突き止めて、一緒に行って

診てもらったが、ガンの進行が進んでいて手術はできない、苦しいが

延命のために強い抗がん剤と放射線治療をするか、残された時間を安らかに

過ごす、緩和療法しかないと言われ、母に聞くと、緩和療法が良いと言うと

1日3万円かかると言われた。


 そこで了解して、俺は会社に事情を話して安い金利で300万円を借りて

、治療費に充てた。しかし、入院して、毎晩のように仕事帰り、夜9時に

母の病室のソファーに寝てシャワーを浴びて会社に通ったが20日間で

天に召されたと話した。医療費や病室代など合計で100万円支払った。

 そして、泣きながら人間って生きてると重いけど、焼かれると本当に

軽いんだぜと言うと、会場から嗚咽が聞こえた。まーこんな所で、この話は

やめようと言い話を終えた。お前、苦労したんだなーと言うと、でも、

これは、俺、個人問題でしかないときっぱりと言った。

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