37話:柿生の柿からワイン1
時を経た平成7年、地元有志により禅寺丸柿を保存する運動が起り、
柿生禅寺丸柿保存会が結成された。この時の禅寺丸柿は、2779本ほど現存し
、収穫量はおよそ63トンであった。その後、保存会は禅寺丸柿の記念植樹を
行うなど、今日まで活発な保存運動が様々な場で行われている。
禅寺丸柿ワインそうした運動の中でも、平成8年にはJAセレサ川崎や
山梨県内のワイナリーなど多くの関係機関からの情報や指導を受け、
禅寺丸柿をもとにしたワインの試作に成功した。さらに翌年の平成9年には
禅寺丸柿のワインが初めて製造、販売された。720ミリ.入りの5000本
限定のワインは人気となり、現在も毎年製造、販売が続けられている。
ビンのラベルは、昔から使用されてきた黄色地に禅寺丸柿が描かれた
伝統あるデザインを活かし、さらにこのワインが川崎市の特産物として
広まることを願って「かわさき柿ワイン」と表記され、平成11年には
川崎ブランドに指定されている。禅寺丸柿の木の寄贈・植樹も保存会の手に
よって各地で行われ、麻生区内の公共施設としては、王禅寺ふるさと公園
をはじめとして麻生区役所、区内の学校、麻生郵便局等に植樹され、
麻生区と交流のあった茨城県旧麻生町にも若い木を植樹するなど様々な
ところに広がっていった。
また、区民の間では、この地元名産の歴史ある甘柿を讃える文化活動も
活発になり、昭和48年には「柿生音頭」が、平成2年には「禅寺丸音頭」
が作られ、今も盆踊りや区民祭等で歌い踊られている。平成19年に国の
指定登録記念物に7本の禅寺丸柿が指定された。この指定登録記念物制度は、
従来の文化財保護法に新たな観点を取り入れ、平成17年に新設された
ものである。禅寺丸柿の木文化財登録原簿に登録された柿の木は、
王禅寺の境内にある原木1本と、そこから広まった民家の柿の木6本で、
平成19年7月文部科学大臣から登録証が交付された。
また、登録証銘板が文化庁から渡され、王禅寺境内にある原木の横に
設置される。禅寺丸柿は「かながわの名木100選」と川崎市選定の
「まちの樹50選」にも選ばれている。平成24年に禅寺丸柿は、
麻生区の花「ヤマユリ」とともに麻生区の木として選定された。振り返れば
、私たちの暮らしや地域の歴史は禅寺丸柿とともにあり、その恩恵に
より育まれてきた。
秋になると真っ赤に熟した柿のなるふるさとの風景、噛みしめると口に中に
広がる甘み・・・、私たちの歴史や文化、生活は禅寺丸柿によって支えられて
来たといっても過言ではない。平成24年10月21日開催された
「禅寺丸柿サミット」を記念して、10月21日が「禅寺丸柿の日」として
制定され、様々な行事が行われるようになった。実った禅寺丸柿また、
この柿を原材料にしたワインに加え、スィーツ・和菓子等の製造販売や
「かきまるくん」のキャラクターも人々の人気を呼んでいる。
「郷土に生まれた禅寺丸柿は、郷人にとって大切な宝であり、誇りある、
この心は、いつまでも持ち続けていく」という語意を秘めた
「郷柿誉悠久」の心を忘れることなく、歴史ある禅寺丸柿を次代に
伝えていくことは、私たちの大切な役目である。




