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僕たちのリーダーは異世界からの転生者のようです  作者: ぜっとん
パーティの結成 『救いの手』
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治癒の少女2

ちょっと間あきました、すみません。

続きをアップします。

 エレクと出会ってから二週間が経った。

 その間にギルドではDランクパーティ『闇夜の狼』はすっかり有名になっていた。

 一つは彼らが相応の実力を持っており、受注した依頼を高い水準で完了していくこと。もう一つは、パーティの中に凄腕の治癒術師がいることだ

エレクがいることで、怪我や病気などで依頼を受けられないという状態にならない。実力も備えている。個別に依頼される指名依頼などで、他のパーティーに比べて大きなアドバンテージとなっていた。

 他にも、エレクのに対しては、怪我を治してほしいと依頼に行くハンターもるらしい。そういったハンターたちの多くは、パーティから高額な報酬を要求されているようだ。

 多くのハンターは怪我などで仕事ができなるなることは避けたいようで、多少高額な料金だったとしても彼らに報酬を支払ってでも治癒を望む者は多い。ただ、そんなやり方を問題視しているハンターもいるようで、彼らのやり方を非難する声もギルドに広まりつつあった。

「おかしい。あんなの、エレクちゃんのやり方じゃない」

 そして、そんな噂を聞いて一番に憤慨しているのはミアだ。今日も僕やサイト、マイトに対し、怒りながら言っていた。

 ミアを宥めるようにサイトが彼女の頭を撫でる。

「お前の言いたいこともわかるがな、パーティーの運営方針はパーティーごとだ。ギルド内で商売をしてはいけないなんて決まりはないし、報酬を彼女が拒むなら、魔法を使わないという選択肢もあるはずだ」

「それはわかるけど。トリア、お前からも言ってくれ」

 泣きつくようなミアの様子に僕も何か言ってあげたい。けれど、エレクが報酬で治癒術を使っているのは事実だった。

「治してくれたんだ。お礼なんかいらないって……」

 ミアの声が小さくなる。何も言わなかった僕に対してもガッカリしたようだった。

「たかが治癒術。回復魔法が、そこまでたいしたことか」

 そんな空気を変えるようにサイトが明るく言う。

「ホイミにケアル、色々あるが、ゲームならどれも序盤で覚えられる魔法じゃないか」

「また始まった」

 サイトの言葉に呆れたのは僕だ。転生者らしいサイトは、たまにこうやって前の世界のことを言う。ゲーム(?)はわからない。マイトも「何言ってんだ、こいつ?」みたいな顔になっていた。

「治癒術は適正がないと使えないんだよ。僕だって魔術師の端くれだから、治癒術を使おうとしたことはあるけど、僕じゃあ擦り傷は直せても骨折とか大怪我はどうしようもないよ」

「そうなのか? 発動できるなら、実戦で使えるようになりそうなもんだが」

「どんな特訓をしたとしても、あの子レベルで使えるようになるの、いつになるかもわからないよ」

 言いながら、僕はふと思い付く。

「そう言えば、サイトは治癒術は使えるの?」

「俺か? そうだな……。使おうとしたことは無かったし、必要すら感じたことはなかったが」

 言いながら、サイトは掌をマイトに向ける。瞬間的に白い魔方陣が広がり、マイトの体が淡い光に包まれる。

「どうやら、問題なく使えるようだ」

「すっげぇな。肩が一気に軽くなった」

「相変わらず規格外だね」

 どうやら疲れをとる魔法を使ったらしい。使いたい、と思って使えるのだから、サイトの場合は常識とか考えるのが馬鹿馬鹿しくなる。

「まあ、俺も治癒術については見慣れているし、大したことないってのはわかんなくも無いがな」

「マイトも? なんか意外だね」

「拳闘士に怪我は付きものだからな。王都の闘技場には常駐の治癒術師がいるんだよ。死にさえしなきゃ、だいたいは治癒させることができるくらいの凄腕もいる。珍しくもないよ」

 王都出身のマイトの言葉に、うっすらと『闇夜の狼』の目的が見えてきた気がした。

「サイト、やっぱりあの人たちは、エレクの治癒術を利用するためにベルベックに来たのかな」

「だろうな。連中もハンターとして依頼は受けているが、馬鹿正直に依頼を受けるよりはエレクの希少価値を利用しない手は無いだろう」

 僕とサイトの会話にミアとマイトが首を傾げた。

「どういうことだ? ようは治癒術は珍しくないって話じゃ無かったのか?」

「そうだね。王都とか、人の多い場所、怪我人がいるのがわかっている場所なら、いるのが当たり前なんだよ。才能が必要だっていっても、努力して身につけた人や、専門に勉強している人だっている。どうしたって必要な能力だしね」

 でも、僕たちの暮らしているベルベックの街は違う。

 普通の病院はあるし、医者だって何人かいる。普通の怪我なら治癒術なんて無くても、それで充分だ。しかし、治癒術の使える医者なんてのは稀だ。

 多少は覚えのある医者もいるだろうが、エレクのように噂になるほどの腕を持っているのは聞いたことがない。

「高額な報酬を要求しても、収入を見込める理由の一つは、競争相手がいないことだ。それなら、あいつらがハンターとしてこの街に滞在している説明もつく。おまけに、ハンターに怪我は付きものだからな」

「それに、少々の怪我なら普通に病院に行けばいい。それなのに治癒術に頼るってことは、よっぽど程度が重い怪我。もしくは命に関わる可能性があるからじゃないかな?」

「そんな……。それじゃあ」

 僕とサイトの説明にミアが青い顔をする。

「そうだね。エレクが僕たちの思っている通りなら、そんな人たちを見捨てるなんてできない。助ける力があるなら、治癒術を絶対に使うはずだよ。たぶん、『闇夜の狼』のハンターたちは、そんなエレクの性格を利用しているんだ」


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