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僕たちのリーダーは異世界からの転生者のようです  作者: ぜっとん
パーティの結成 『救いの手』
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常勝不敗1

数日あきましたが、アップです。

今日から新しい人が登場します。

「身体強化、契約執行、30秒」

 僕の唱えた魔法でミアの身体が燐光に包まれる。

 ミアが跳躍して双剣で斬りかかる。その切っ先は余裕の笑みを浮かべているサイトに向かっていた。

「身体強化」

 サイトが短く唱えると、彼の身体が燐光に包まれる。同時に、自分に迫っていたミアの双剣を、腰に下げていたショートソードで防ぎ、ミアごと跳ね飛ばす。

「抉れ、アイスランス」

 一撃の攻撃では彼を倒すことはできない。手数で勝負するしかない。

 僕の詠唱で無数の氷の針が宙に現れ、サイトに向かって一斉に飛ぶ。

「なら、バリアだ」

 しかし、僕の魔法は目に見えない壁に阻まれてサイトに届くまでに砕けて消えていく。

 全方位に向けてサイトを中心に壁が展開されているのだろう。後方に回り込んだミアが白刃を振るっていたが、やはり不可視の壁で双剣も彼には届かなかった。

「壁があるなら破壊すればいい。マイト!」

「やっと俺の出番か」

 僕の呼びかけを合図に、マイトが大剣を持って前にでる。

「身体強化、契約執行、60秒」

 身体を鍛えたマイトはミアよりも長い時間身体強化を使うことができる。

 燐光に包まれたマイトは大剣を振りかぶり、その一撃を持って不可視の壁に斬りかかる。

「やるじゃないか」

 ようやくサイトの顔色が変わった。ガラスの割れるような音を響かせて壁が砕け散る。ミアが後方からナイフを投擲し、サイトの周囲を包囲する。サイトの前方からはマイトが大剣で斬りかかり、何かをする隙もを与えない。

 ただでさえ馬鹿力をもっているマイトが身体強化まで使っているのだ。サイトも身体強化を使っていたとしても、マイトをすぐに跳ね飛ばすようなことはできない。

「術式展開、包囲発動、ストーンエッジ!」

 そして、僕の持っている最大の切り札。ミアとの連携魔法が発動する。投擲されたナイフを中心に七つの魔法陣が発動する。以前にサイトがブルルにやって見せたように、七つのストーンエッジがサイトに向かった。

 マイトは後ろに跳躍し、間一髪のところで距離をとる。サイトは避けることはできない。だが――。

「圧縮」と小さくサイトが呟く。

 サイトに向かっていた七つの石の槍が、それぞれ削り取られるようにかき消える。対照的に、ガラス玉のようなものがサイトの周りに現れて漂っている。それらはサイトの手に集まり、そのうちの一つを彼はミアに向かって投げる。

「なんだ、こんなもの」

 ミアはそれを双剣を使って砕く。その瞬間、削り取られた石の槍の破片が現れて彼女に襲いかかる。紙一重で破片の直撃は避けたものの、ミアの身体を包んでいた燐光は消えていた。時間切れだ。

「圧縮魔法は物を運ぶのに便利だ。戦いに使うとすると、相手の物理技を閉じ込めるのに役に立つな」

 サイトの周りにはまだ六つのガラス玉が浮いている。それらは掌の動きに合わせて飛び、次の瞬間にはマイトに向かって一斉に襲いかかった。

「このやろ……」

「マイト、ガラス玉を砕いちゃ駄目だ! 石の槍が圧縮されてる」

「じゃあ、どうしろって言うんだ」

 言いながらマイトは大剣を持ってガラス玉を避けるように跳ぶ。

「そのまま避け続けるしかない。僕が魔法で迎撃する」

 ガラス玉を相殺できるだけの魔法の詠唱を始める。

「だが、それじゃあ間に合わないよな」

 サイトの言うとおりだ。あっという間にマイトはガラス玉に包囲されて石の槍の破片で身動きがとれなくなった。

「そして、これでチェックメイトだ」

 サイトが僕に剣を向ける。今日も僕たちの完敗だった。


 ………………。


「お疲れ様。今日も回復するよ」

 エレクの治癒魔法で、ミアとマイトがそれぞれ怪我を治癒して貰う。とは言っても、サイトが手加減してくれていたおかげで、二人の怪我は擦り傷程度だ。むしろ、身体強化の疲れなどを回復する方が優先になるくらいだった。

 このところ、僕たちはサイトとの模擬戦闘で実戦訓練を積んでいた。

「実戦の経験は自分たちに何ができるのか再確認になるし、経験値も多いからな」

 というのがサイトの弁。経験値うんぬんの話はよくわからないけれど、サイトとの訓練は役に立っている。毎日少しずつ手を変えている。今日はサイトに別の攻撃手段もあることがわかったし、次回からは圧縮魔法に対する対策も考えられそうだ。

 そして、僕たちの実戦訓練はギルドでもちょっとした見世物になっていた。

 サイトの力はギルドでも有名だったし、ちょっとした賭けにもなっているらしい。まあ、ギルドの敷地内の空き地を使わせて貰っているから仕方ない。けれど、賭けの内容が僕たちが勝つかどうかではなく、何分持ちこたえるかというのは癪だった。

「今日も精が出るな、サイト」

 そんな僕たちの元に、一人のハンターが声をかけた。

 マイトと同じく鍛えられた体に、銀色の鎧。金色の短髪に青い瞳。どこか気品を感じる佇まい。

「よう。珍しいな」

 面識があるのだろう。サイトと挨拶を済ませると、二人をみていた僕に向き直っていた。

「初めまして、だな。カイゼル=ディア=ライオット。Cランクハンターだ」

「はい。トリアート=ニボックルと言います。皆はトリアって呼んでくれてます」

 僕たちは自己紹介をしながら握手を交わす。そこで彼の名前に違和感を感じる。

「もしかして、ライオットさんは貴族の方なんですか?」

「カイゼルで構わないよ。知り合いは皆、ファーストネームで呼んでくれている。で、そうだな、実家はベルベックの近くに領地を持つ、ライオット子爵家だ」

「そうですか」

 やっぱりと僕は納得する。ライオットという名前に聞き覚えがあった。何より、ミドルネームが許されるのは、貴族の特権だ。男爵家や子爵家の三男や四男、世継ぎの可能性の無い妾の子供などであれば、貴族の子供がハンターをしているのは、稀ではあるが無い話ではなかった。

「貴族が珍しいかな」

「あ……。いえ、すみません」

「謝る必用はない。挨拶をすると、似たような反応をされることが多くてな。慣れたものだ」

 そう言ってカイゼルは微笑む。

 サイトにこんなまともな知り合いがいるなんて意外だった。

「まあ、貴族出身ってだけでも珍しいんだがな。おまけに、剣の腕前だけで言えば、俺以上なんだよ」

 そんなサイトの言葉に、「ハハッ」とカイゼルは爽やかに微笑む。だが、それは新しい戦いの引き金になるのだった。

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