第93話:試されすぎる、絆。
[星暦1554年8月18日。聖都アヴァロン。選挙大戦、一次リーグ第1戦。]
「始めるぞ。」
観客席が静まり返った。ビリーのブーツにつけられた拍車が凜のブーツに当たる。それがスタートの合図だ。一歩、二歩、と互いに離れていく。その緊張感に観衆は静まりかえった。
(凜……)
メグは祈るような気持で決闘を見つめていた。
⋯⋯九歩、十歩。
二人は同時に振り向き、乾いた銃声が幾度も響く。その時、砂埃が風に煽られて舞い上がったかのように見えた。
会心の一撃ににやりとするビリーだったが、がっくりと両ひざをつく。
「くそ……、やりやがったな。この卑怯者め。」
なんと、ビリーの額に銃痕が穿たれていたのである。
「地獄で会おう。」
そう言った凜の手に拳銃は握られていなかったのだ。
ビリーはそのまま前に突っ伏した。
「勝者、棗凜太朗=トリスタン。ノーサイド! この試合、聖槍騎士団の勝利!」
ホームの聖槍騎士団のサイドの観衆は大騒ぎであった。なにしろ、聖槍騎士団が選挙大戦コンクラーベで勝利したのが30年ぶりのことだったからだ。
「ナイスゲーム、ビリー。」
凜に起こされるとビリーは悔しそうに凜の手を取る。
「畜生、どうやったんだ。俺より速く撃てるなんてありえねえ。」
悔しがるビリーに
「運が良かっただけさ。」
凜はそう返した。
「い⋯⋯今、いったい何があった?」
マーリンに尋ねるメグの目は涙でいっぱいだった。
「ああ。凜の言うように、ただ単純に『運が良かった』ということです。」
凜はほぼ光速、いや光速を超えるスピードで放たれる弾丸に対抗できないことはわかっていたのだ。それで、銃を「撃つ」ことを諦め、振り向きざまに互いの額と心臓の前の空間を転送陣で繋いだのだ。
つまりビリーの放った銃弾はそのまま転送陣を抜け、そのまま彼自らの額を撃ち抜いたのだ。
マーリンとメグのもとに旅団のみんなが初勝利を祝うために集まって来た。凜もやってくる。
「彼の銃弾が少しでも逸れたらどうするつもりだったのだ?」
詰るようなメグの問いに、凜も思わず苦笑する。
「だから言ったでしょ。『ただ運が良かった』だけ……ということさ。彼の腕前が伝説通りで⋯⋯ホントによかった。」
無論、ビリーは死んだわけではなく、視覚効果に過ぎない。敗れたビリーが控えに引き揚げると、そこにはルイが待っていた。
「よお、別嬪さん。御覧のとおり……さ。」
ビリーがへらへらというのでルイも笑いそうになる。
「お疲れさん。実弾にしなくて正解だったろ?」
「ふん。」
本当は、ビリーは最初から決闘の形に持ち込んで、事故に見せかけて凜を葬り去るつもりだったのだ。しかし、ルイがそれに反対したのだ。
「まさか瞬間移動にあんな使い方があったとはな。今回はお前に借りといてやらあ。」
ビリーはそう言って立ち去ろうとドアに向かった。どこに行くのか、というルイの問いにビリーは軽く手を振ってこたえた。
「今晩デートの予定が空いちまったんでな。ちょっと酒場で厄を落としてくらあ。」
選挙大戦はハードスケジュールである。毎週末に試合が組まれているのだ。次の試合は南半球の経済の中心都市、「副都」ポートランドでアウェイの試合が組まれている。
[星暦1554年8月21日。聖都アヴァロン。]
ジェシカが「カフェ・ド・シュバリエ」の2階のデスクに自分あての封筒が届いていることに気づいた。
「何かしら?」
ヘンリーがいつものコーヒーを届けに階段を上がってきた。最近はポットでコーヒーをもってきてくれるのだ。
「店主、あなたがこれを届けてくれたの?」
ヘンリーが朝、店のポストに投函されていたことを告げる。差出人はフェニキアでは有名な大企業であった。
封を開け、要件を確かめる。それは女子の宇宙船レースチームを立ち上げたいので、パイロットをしないか、というものであった。そしてゆくゆくは監督として迎えたい、という。しかも、その報酬額は破格のものだった。
「ヘッド・ハンティング……?」
思わぬ事態に、ジェシカは動揺していた。
[星暦1554年8月24日。副都ポートランド。]
「副都に来たのは初めてだ。グラストンベリーと引けを取らぬ賑わいだな。」
メグが降り立った巨大な地上港を驚いたように見回す。
「あらメグ、ここではグラストンベリーとの比較はタブーよ。ポートランドの人間にはグラストンベリーだけには負けたくない、というものすごいライバル心があるのだから。」
ジェシカが注意を促した。
副都ポートランドは惑星の南半球、そして西半球の経済の中心地である。惑星であるがゆえに同じ国内でも大きな時差が生じる。それは国家が統一性を保つためには大きな問題なのだ。それで、等間隔に置かれる宇宙港都市の真裏の都市がそれぞれの機能を補っているのである。
そして、惑星経済の中心地である主都グラストンベリーと対になるのがこの副都ポートランドである。ここに今回の対戦相手、衛門府の本部が置かれているのだ。
「そうですよ。市民の多くは、この都市が商都であることに誇りを持っていますからね。『副都)』ではなく『福都』と名乗っているほどです。」
マーリンが追加する。
『宇宙港湾管理騎士団・衛門府は地球人種が管理する12の軌道エレベータとその上に築かれた12の宇宙港、そして付随する地上港を管理し、防衛するのが仕事である。航路を守る伝令使杖騎士団が「線」の防衛であれば「点」の防衛になる。現在、急ピッチで取り付けが進められている新惑星防御砲も、来たるメテオ・インパクトの危機が過ぎ去れば、その管理も任されることになるはずだ。
宇宙空間における防衛・保安の仕事が多く、空戦に力を入れている。
今回は衛門府とのアウエーでの試合で凜たちはやって来たのだ。
「なあジェシカ。そういえば、ここにはうちの(ジェノスタイン)商会の支店もあったよな?」
ロゼがジェシカに尋ねる。
「ええ、今回はその支店にサポートを依頼しましたわ。」
すると、頭に猫耳を載せた黒服の男女が現れた。ロゼの父ジョーダンが手配したサポート部隊であった。
「ジェシカさん、助かるよ。いつもありがとう。」
「いえ。」
凜に労われるとジェシカは眼鏡の位置を直した。どうもこれが照れた時のジェシカの仕草のようである。
ジェシカの加入によって旅団の運営が非常にスムーズになっているのだ。組織経営に関してはフェニキア人に一日の長があるため、凜もマーリンも方向性の指示だけ与えておけば、後は物事を的確に進めてくれるジェシカの手腕に絶大な信頼を寄せていた。
将来的には彼女を幹部会の子息と娶せ、ジェノスタイン家の行く末をサポートさせたい、ロゼの父ジョーダンもそう期待と信頼を寄せているのである。その話をジェシカにすると照れたように
「まだ先のことですから、わかりませんわ。」
そう答えるのであった。
「せや、わざわざ籠の鳥になることなんてあらへんがな。」
ロゼもそういう。
「でもそういったって、重役の奥様でしょ?きっとゴージャスな籠に違いないわ。素敵!」
「玉の輿」に目がないアンが妄想を膨らませた。
(兄さんと同じ、パイロットの道か……。)
定住生活を「籠の鳥」と呼んであまり好まないフェニキア人にとって、心躍る誘いであることは違いなかった。でも、返答の期限はそれほどなく、話を受けてしまえば選挙大戦の決勝リーグには出られなくなる。
(迷うところね。)
しかしジェシカは凜に相談するべきか迷っていた。凜は必ず自分の決定をどちらであれ快く許してくれる、そんな確信があり、それはますますジェシカを迷わせるものだったのだ。
1日の務めを無事に終えると、ジェシカは街に出る。ジェシカは秘書時代に何度もここを訪れており、馴染みの店も多いのだ。
ジェシカがバーの扉を開ける。彼女はカウンターに腰掛けるとカクテルを注文した。彼女がタバコを薫せながらカクテルに口をつけ、ニュースを見る。その中には兄のショーンのレースの動向も含まれていた。ペネロペとショーンが再び、ギャラクシー・グランプリのファイナルに駒を進めた、というニュースだった。
(あら、兄さんたら、まだペネロペとコンビを組んでいたのね。ショーンもああ言うタイプに弱そうよね。それに、めでたいことなんだから、決まったら決まったで、なんでウチにすぐに知らせてくれんのやろか?⋯⋯いけずやなあ。)
ふと、グラスに自分の顔が映る。
(……私、このままでいいのかしら。)
兄は幼い頃からの自分の夢であったレーサーとして成功している。一方自分といえば、お転婆娘の世話に明け暮れ、何かを成し遂げたわけではない。そのうち結婚を勧められ、そのまま家庭に入り、平凡に日常を過ごしていくのだろうか。そしてただ年老いて、死んでいく。そこにレーサーとしての誘いが来たのだ。ジェシカの心が揺れるのも仕方のないことだった。
そう考えにふけっていると突然、誰かに声をかけられた。
「隣、よろしいですか?お嬢さん。おや、 確か、ジェシカさん⋯⋯でしたよね。」
声の主は弁慶であった。相変わらず身体にぴったりフィットした詰襟の黒い僧服に身を包み、大きなつばのついたハットをかぶっていた。
「あら今晩は、確かベンだったわね。こんなところで会うなんて、ずいぶんと奇遇ね。」
僧服に身を包んだベンは、随分と場違いに見えた。
「おや、お気づきいただきませんでしたか? 明日の試合、実は私も出場するんです。現在は衛門府でお世話になっていましてね。⋯⋯いわゆる鉄仮面制度、ってやつですよ。」
そう言って弁慶も腰を下ろすとカクテルを頼む。
「あら、じゃあ明日はあなたが試合のお相手なのね。⋯⋯そういえば、地球教ではお酒はご法度ではないの?」
ジェシカが尋ねる。弁慶は澄まし顔で答えた。
「問題ありませんよ。禁じられているのは『酔酒』であって『飲酒』ではないのです。いわゆる酒を飲んでも飲まれるな、ってやつです。なにしろ、昔は修道院でワインが醸造されていたぐらいですからね。『人の心の喜びのために主はワインを与えられた』のです。まあ、でも本当は私は円環教徒でしたからね。当時の僧職にあるものは禁酒でしたよ。」
「それは知っているわよ。これは酒に非ず、『般若湯』だ、と言うのでしょ?」
「よくご存知ですね。ホントは毎晩のように仲間と酒盛りでした。あの頃が懐かしいなあ。」
そう言うと二人は笑った。
「ところでジェシカさん、今日はお嬢様のお守りは良いのですか?」
酒を飲んでいるうちに話題がふとロゼに移る。
「そうね。今日は下の者に任せてあるから大丈夫よ。でも本当のことを言うと、ようやく手がかからなくなって来たたわね。昔は、⋯⋯いえ、ごく最近までとんだ跳ねっ返りで大変だったのよ。
でも、もう大人と呼ばれてもおかしくはない歳頃だし、今は自分の一番やりたいことに、それも憧れの人のすぐそばで打ち込んでいるから⋯⋯。
そろそろ私もお役御免でしょうね。ところで、あなたはこれまでどんなお仕事をしてきたのかしら?」
ジェシカは清々しい表情でいう。
「そうですね。私も主君を、……それも元服前からずっと、お守りしておりました。だからこそ、ジェシカさんのご苦労がよくわかりますよ。誰かを最後まで守る⋯⋯。それがどんなに難しいことかもね。」
そう言ってから弁慶は自分の「前世」について語り始めた。主人である「九郎」との出会い。ともに戦い、主君の生家を滅ぼした宿敵を倒し、大願を成就したことを。しかし、「乱世の雄」たる故に「治世の敵」と見なされ、九郎はお尋ね者に身をやつす。ついには北の大地の果てで、身を寄せた太守に殺されてしまったことも。
「実は、九郎様だけでもなんとか逃げて切ってくれれば、と願っていたのですがね。私はこうして目を覚まして、九郎様や、兄上様にあたる鎌倉殿の後々の顛末を確かめました。するとなんてことは無い、九郎様は討たれ、しかも源氏の嫡流はあっさりと途絶えてしまっていたのですよ。それも、たった三代で。」
弁慶は天を仰いでカクテルを一気に煽った。
「あなたは、主人の仇が滅びたのだから、それをいい気味だと思えば良いのではないの?」
ジェシカの問いに弁慶は大きくため息をつく。
「とんでもない。それこそが、我が主君が自分の命と引き換えにしてでも守りたかったものなのですよ。そう、源氏による天下泰平の世……。あれほど多くの仲間を失い、やっとの思いで手に入れたはずなのに⋯⋯。無駄にされてしまったのですよ。しばし呆然としましたよ。一体、⋯⋯九郎様は何のために戦い、死んで行ったのかとね。」
しばらく談笑してジェシカは席を立った。
「では明日、試合でお目にかかりましょう。ビジョーソルト『天位』。平和を勝ち取るためには、しかるべき戦いは避けることはできないのです。誰かの主張を通す、ということは誰かの主張を打ち砕くことと変わらないですからね。かつての私の主人が正義だったわけでもありません。結果がすべてなのですよ。」
おおよそ『坊主』らしくない弁慶の言葉にジェシカが振り返ると、その目は決意に満ち溢れているようであった。
ロゼを守り、育てあげる。それはジェノスタイン家のみならず、フェニキアの将来を作ることになる。ジェシカは凜に言われたことを思い返していた。
ジェシカとしては凜が純粋に「人間」だけで旅団を作って選挙大戦に挑むのか、その意義がわからなかったのである。最強の天使たる熾天使4体で簡単に制圧してしまえばいいのではないだろうか?
凜は首を振った。
「ジェシカさん、それは違うよ。それじゃ意味が無いんだ。僕は自由と平和のために戦う意志を、改めて人類に遺したいんだ。そう、強い意志を持った人間をね。
遠い昔、ぼくの先祖の国である大和国で、『明治革命』という出来事があったんだ。その革命戦争も武士から兵士の戦いへと変化をもたらした戦争の一つだった。その革命の英雄の一人はこう言ったんだ。
『財(財産)を遺すは下なり。業(業績)を遺すは中なり。人(人材)を遺すは上なり』。当時、大和国は危機に面していた。西洋諸国に植民地としてむしり取られ続ける運命に陥りかけていたんだ。でも、そこから一気に列強の一角へと駆け上がったんだ。つまり、最も重要な社会貢献は、人材を育てることなんだ。
だから、ジェシカさんが今取り組んでいる仕事は、人としてとても大切だと思うよ。」(作者註:後藤新平の言葉だそうです。)
「そうね。そういってもらえると嬉しいわ。」
だからジェシカも心に誓った。私も戦う。自分の背中を見る世代がそこにいる限り。とりあえず、オファーの件は胸にしまい、明日へ備えることにしたのだ。
[星暦1554年8月25日。副都ポートランド。選挙大戦一次リーグ第2戦。宇宙港管理騎士団・衛門府、(ホーム)対 聖槍騎士団。]
ポートランド王立闘技場は満員御礼であった。開幕戦で見せた技の解禁で、一気に世間の話題を攫ったのだ。少なくとも、ハワード卿の経営者としての手腕が卓越していることは明らかである。
聖槍騎士団は第1セットの地上戦をいきなり落としてしまう。凜の旅団も空戦が強い。ただここで衛門府も引くわけにはいかない。
第2セットの空戦は先鋒のリックが落とし、次鋒のメグと中堅のトムが勝利を得る。そして副将のジェシカの出番である。そして奇しくも相対するのは「鉄仮面システム」で送り込まれた弁慶であった。
「奇遇ですね。」
昨日のジェシカの挨拶をそのまま弁慶が返した。
開始の礼を交わすと互いにフィールド上を螺旋を描きながら上昇する。
ジェシカは愛槍である「美慈麗久」、弁慶は薙刀である「岩融」を構えた。
「エゴイスト。」
ジェシカが第一の技を発動する。これは加速技と威力増強技の2技を一気に出したものである。ジェシカの一撃を受けきれず、弁慶は地面に叩きつけられた。突然の派手な展開に観衆のボルテージも上がる。
「さすがは『猫夜叉』、速く、しかも強い。ではこちらも遠慮なく。『Oh,Lord,Stand by Me』!」
弁慶もやはり同様に体力強化技を発動した。
残像を残し、二つの影が激突する。ジェシカは体力よりもスピードの増強にパラメーターを振っているので一撃離脱の態勢だ。弁慶がジェシカの一撃を軽々と食い止める。
(一撃にしては⋯⋯軽いか。)
ジェシカはスピードに乗って二撃目を加えるがこれもいなされてしまう。薙刀は振り回す武器であるがゆえに、一騎打ちから集団戦法に時代が移り行く際に消えてしまったが、一騎打ちの騎士の戦い、とりわけ空戦ではもっともその能力を発揮する。ジェシカといえども、おいそれとその制空圏内には入れそうもない。
「こちらもギアを上げさせていただきます。『Joy to the World』!」
弁慶が速度強化の第二の技を発動すると、形勢は一気に弁慶の側へ傾く。ただ、ジェシカも手をこまねいてはいない。
「『プワゾン』。」
ジェシカが第二の技を発動すると重力の枷が弁慶を捉えた。「毒」の名の通り、相手からスピードとパワーを奪う枷技である。今度はジェシカが攻勢をかける。
「やりますねえ。巴御前もびっくりの強さです。『Power to the People』!」
弁慶が第三の技を開放すると重力の枷をさらに上回るパワーを出す。弁慶は強化型スキルが多い。それだけ自分の武技に自信があるのだろう。
「速さだけでは勝てませんよ。お嬢さん。」
ただ、ジェシカがスピード強化に重点を置くのも彼女なりの意図があるのだ。
「どうかしら? 『空中庭園』!」
突如、弁慶の周りに巨大な空中庭園が現れる。これは建造物を模した巨大な重力枷であり、相手を障害物のある空間に閉じ込めることによって、相手のスピードを完全に殺すことができるのだ。いわゆる「舞台技」と呼ばれる技の流れだが、ジェシカは「庭園技」と呼んでいる。
「これは驚いた。とんでもない大技ですね。さすがに『天位』は伊達ではないようですね。」
この庭園の持つその美しいビジュアルと裏腹に、弁慶は四苦八苦させられる。なにしろ、これが見えているのは弁慶と観客だけで、ジェシカにはただの空間に過ぎないのだ。ジェシカの攻撃が面白いように当たる。しかし、弁慶の体力がスキルによってかなり上昇しているため、ライフゲージを削っていくのにどうしても時間がかかる。
しかし、死角である噴水やら石畳の下からでも変幻自在に現れるジェシカに弁慶も焦りを抱きはじめた。
「これは出し惜しみをしている場合ではないようです。『Amaging Grace』!」
弁慶の第6技が発動すると天から光が差すようなビジュアルが起こり、空中庭園が崩れていった。これは「無効化技」の大技である。
(しまった。)
今度はジェシカが無防備な状態でさらされる。「庭園」技は大技であるゆえに、自分の防御力をほぼつぎ込んでしまう技なのだ。ジェシカの立て直しを弁慶は許さない。
「最終奥義。『千本桜』。」
一応技の名前はなるべくキャラにあったものにしてます。ちなみにビリーは名作西部劇、弁慶はゴスペル、ジェシカは香水の名前から拝借しています。あとメグはダイヤモンドの銘からです。
次回は凜の技も登場します。「中二魂」をくすぐること必須です。
次回、「第94話:絡み合いすぎる、選択肢。」の投稿は1/12を予定しております。どうぞごひいきに。




