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ティル・ナ・ノーグの最強騎士〜「生ける理不尽」と呼ばれる少年が挑む理不尽なミッション  作者: 風庭悠
第9部:立ちはだかるはいにしえの達人たちっ―英雄の復活編
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第84話:とんでもすぎる、新仕様。

いい天気です。統計上11/3は晴れる日が多いそうですよ。皆さん、お気をつけてお出かけくださいませ。選挙大戦(コンクラーベ)のバトル仕様とは? 連載当初はノープランだったのですが、1年かけてまとめたったわw。

ではご覧ください。

[星歴1543年9月18日。聖都アヴァロン。カフェ・ド・シュバリエ。]


「トム⋯⋯ここにいましたか。」

 リコが偵察から戻って来たようだ。リコの姿は12歳前後の少女の姿にまで成長していた。ペパーミントグリーンの髪はショートカットに整えられており、すらっと細く伸びた手足と共に、少女らしさを際立たせていた。


「なんだか変な連中が街をうろついているみたいだな。リコ、みんなは無事だったか?」

トムの問いにリコは気まずそうに

「はい、無事でした。ただ……。安否確認のつもりだったのですが、リーナと偶然にも遭遇してしまい、驚かせてしまいました。私を幽霊と勘違いして気絶してしまったようです。申し訳ありません。でも、悪いのはゼルです。妙な話を吹き込むからです。」

 トムのリーナは無事なのか、という問いに、リーナに宿ったティンカーベルがすぐに起動して事なきを得たことを報告する。


リコが出した画像によると、その追手は、巡礼者の白いローブに真っ白な狐の面を被っているかのようであった。ナノマシンを顔に塗布して個人を特定出来ないようにする「ナノマシン擬態」である。

「報告します。外にいる不審者たちは全員がナノマシン擬態をしているため、個体識別はできませんでした。しかし、ナノマシン擬態の方式は一定であり同じ組織のものだと類推します。しかし、その術式はこれまで公開されているどの海賊組織のものとも一致しませんでした。」


「どういうこと?」

トムがヘンリーに解説を求める。

「どの組織かわからん、ということだ。新顔の海賊なのか、フェニキアやアマレクといった外国の連中か、⋯⋯あるいは、裏を返して正規の騎士団なのか、ということになる。⋯⋯やはり、ここは(ボン)に来てもらった方がいいな。」


プライベートラインで呼び出された凜はマーリンと共にすぐにやって来た。

「夜中に、悪いな、(ボン)。」

恐縮するヘンリーだが、凜は気を悪くしたりはしない、という確信があるようだった。ヘンリーはアマンダの話とリコの報告を説明した。


「ゼル、解析を頼む。」

凜は最高位の検索者リンカーであるため、国家機密情報の最深部まで接続し、閲覧できるのである。

「該当はありません。やはり、キング・アーサー・システム以外のコンピュータを用いた術式のようです。……ただ、類似しているといえば⋯⋯。」

そこでゼルの言葉が止まる。

「……ば?」

一同は答えを急かした。ゼルは答える。

「いえ、『類似』と言っても術式は全く異なるのです。ただ、プログラマーの『くせ』みたいのが似ているだけなので、言ってしまっていいかどうか確証はありません。おそらく『告死天使(アズライール)』と名乗るテロリストの一団のものに近いと思われます。」


「アズライール?」

初めて聞く名に皆が聞き返す。

「ブレイク・ショット後に現れたテロ組織で、唯一神が手ずから整えたという地球への帰還を唱える『砂の宗教』の過激派組織です。それほど構成員もいませんが、最近とみに行動が活発になっています。」


凜が尋ねる。

短剣党(シカリオン)の一派とか?」

「いいえ、短剣党かれらは『地球教』の教義がベースになっていますので、仲が良くなることは無いと思われます。」

「でも、拝む神様は一緒なんだろ?」

トムが尋ねる。ゼルは困ったように眉を顰める。

「だからこそです。だからこそ、自分たちの方こそ正統である、異端者は排除せよ、とお互いに暴力的になるのですよ。」

「やれやれ、これだから宗教ってやつは。」

トムはかぶりをふった。


「それよりもアマンダさんの方を調べた方が早くないか? なぜ拉致されてしまったのかわかるはずだから。」

凜が言う。

「そうでしたね。やつらがアマンダさんを追う理由がわからないといけません。」

ゼルがアマンダの頭に手をかざした。

「これは⋯⋯。」

ゼルが絶句する。皆が心配そうな顔でゼルとアマンダの顔を交互に見やる。

「問題ありません。病気も完治しているようです。人身売買でもするつもりだったのでしょうか……?」

問題ない、というところで皆、思わずずっこけてしまいそうになった。


 とりあえず彼女にはここに一晩泊まってもらうことにして、明日、透さんを通じて「護法(アストレア)騎士団」へと通報することにした。賊に襲撃される可能性も否定出来ないため、皆で2階の道場で雑魚寝することになった。


しかし、夜半過ぎである。

「凜、外で戦闘が起きているようです。」

ゼルが報告してきた。

「ねえ、加勢した方がいいかな?」

凜の問いに答えたのはマーリンであった。

「凜、それは大きなお世話というものです。それよりもナベちゃんに調査を依頼すべきでしょう。なんだかいやな予感がするんですよ。」


[星歴1543年9月19日。聖都アヴァロン。]


その日も朝から雨である。

「おはよう。……どうしたの?みんな、こんな早くから、」

起きてきたリックは早朝から客が大勢いることに驚いた。

「というか、昨日の騒ぎに気がつかなかったのかよ?」

トムが呆れたように言った。


「いや、全然。」

思わぬ闖入者を尻目にリックはいつも通りにモーニングとランチの仕込みに入った。

「あの、私もお手伝いさせてください。」

すると、アマンダも手馴れた様子で手伝い始めた。

「実は、入院する前は、私もカフェで働いていたんです。」

それも、彼女がこの店に助けを求めた一因であったに違いない。


 朝、飛び込んで来たニュースは驚きであった。

「人身売買を図ったテロ組織を摘発」、というものだったのだ。

護法騎士団はテロ組織「告死天使アズライール」の一部隊と見られる組織を人身売買の容疑で摘発し、容疑者の大半を殺害したというものであった。

テロ組織は各地から集めた人間をアヴァロンの軌道エレベーターで宇宙港へと運び、そこで惑星外へと売ろうとしていたのだという。


「なるほど、それは来るべき『メテオ・インパクト』から命を救うための神の『思し召し』だとでもいうつもりか? これだから宗教というヤツは……。」

宗教に対して批判的な環境で育ったトムが吐き捨てるように言った。


凜はアマンダとヘンリーをともなって透の元を訪れ、経緯を報告する。透は、ヘンリーとアマンダをねぎらうと提案した。

「アマンダさん。幸い、秋の祭りが終われば、王都(キャメロット)で円卓が開かれる。その時についでに送ってあげるよ。それまでは凜の旅団で保護してもらうといい。」

 透は護法騎士団に通報しない方が良いと判断したのだ。こうして、しばらくの間、アマンダは「カフェ・ド・シュバリエ」で働くことになったのである。


「それで凜、ほんとのところはどうなんだ?あの女性に何かあるだろう?」

ヘンリーとアマンダが退出してから透は尋ねた。

「やはりお気づきしたか?」

ゼルが現れると説明を始めた。

 それは、おそらく彼女の脳が「有人格アプリ」を育てるための「畑」として使われた可能性があること、そして、すでにアプリが抜き取られているため、大脳皮質が改変されため、記憶が喪われている、ということだ。

 そして、彼女の義眼にそのバックアップが残された可能性が高く、おそらくそれを換装するために大聖堂を利用するつもりだったこと、また、それを取り返すために彼女を探している、と予想をたてたのである。


透は天井をあおいだ。

「なるほど、有人格アプリの育成か⋯⋯。本来は生体コンピュータでやるべき作業だ。確かにこの惑星じゃ(キング)に全部抑えられているからな。人間を使うしかないわな。しかし、一体だれがその禁断の果実に手を出したのかなあ?、まあ王都キャメロットに彼女を帰す前に、こちらで義眼を換装した方が無難なようだな。」


[星歴1543年11月14日。聖都アヴァロン。]


それから2ヶ月近くが経った。しかし、アマンダを追ってくるものも、消息を尋ねて来る者もいなかったのである。アマンダは毎日のようにカフェを手伝っていた。それは常連客の間でも評判であった。

「なんだか店主(マスター)、最近、妙に活き活きしているよな。」

「そりゃおめえ、アマンダちゃんのおかげだろ?」


「アマンダさん、2階にコーヒーを持っていってください。」

ヘンリーの働き振りも変わってみえる。

「なんか今『ええ声』で言ったよな?なにカッコつけてんだ、あいつ。」


 常連客も驚嘆するほど、アマンダはよく気が利く働き者であった。おかげで一年で最繁忙期となる秋祭りの時期も無事に乗り切ることができたのだ。ヘンリーが彼女を見る目は完全に恋する少年の目であった。とはいえ、彼はアマンダにその気持ちを告げられないでいた。


「なんだ、ヘンリーのやつ、告白もしてねえみてえだぞ。」

「相変わらずヘタレだねえ。だから準天位どまりだったんだろうよ。」

常連客もため息をつくほどのへたれっぷりに思えたが、ヘンリーにはヘンリーの意地があった。

 身寄りのない女性を食い物にするほどおちぶれてはいない、というものだった。


そして、ついに別れの時は来た。お世話になりました、と深々と頭を下げるアマンダに、ヘンリーはそれまでの給金を渡すと、

「幸せになってください。俺、祈ってますから。」

といった。彼女は給金までは受け取れない、と固辞したが最後はヘンリーに押し切られた。


彼女を見送った後、さめざめと泣くヘンリーにリックは

「そんなに泣くくらいなら、『俺のそばにいてくれ』、って言えばよかったのに。一言で済む話なんだけどなあ。」

と言われてしまったのである。


[星歴1543年11月15日。王都キャメロット。]


「よお、久し振り。」

 ラドラーがグレイスと透に手を振る。王都キャメロットの中心にそびえる王城、ティンタジェル城に久し振りに「円卓」が「招集」されたのだ。ちなみに執政官(コンスル)の名による呼び出しは「招集」であり、国王の名による呼び出しは「召集」となる。


透はラドラーやグレイスと再会する。祭りの度に顔を合わせることが多いのでそれほど感激する再会とは言えない。

「なにが『久しぶり』だ。だいたい、先週、祭りで顔を合わせたばかりじゃないか。で、今回の招集はなんだろうね?」

透が尋ねる。

「来年の『選挙大戦(コンクラーベ)』の概要が発表される、ということらしいぞ。」

ラドラーの言葉にグレイスは苦笑する。

「むしろ、それ以外の話などされた方が驚くであろうな。」


 しかし、主題は予想通りの発表であったが、一同は驚くことになった。予想外の内容の発表もあったのである。

「本戦の参加騎士団の数を増やす。これまでは16であったが、24とする。つまり、正統十二騎士団(アポストル)に加え、12の騎士団が参加する。」


これは、108ある修道騎士団の内、正統十二騎士団(アポストル)ではない96の騎士団にとっては吉報である。それまで96の騎士団で争っていたわずか4つの椅子が一気に3倍になることを意味するからだ。地球教では7と12が吉数にあたる。それが「完全数」であると信じられているのだ。(逆に7に一つ欠ける6、そして12を1つ超える13は「不完全数」のため忌み数になる。)それで12の2倍である24は宗教的に正しいのである。


また、これまでホームアンドアウェー方式で4つのディビジョンで一次リーグを行い、各ディビジョン1位の騎士団4つによる決勝リーグで優勝が争われてきた。しかし、今回はホームアンドアウェー方式の6つのディビジョンで一次リーグを行い、各ディビジョン1位と2位の騎士団と3位チームの内、ポイントの高い4チームのあわせて16チームが決勝トーナメントに進み、ホームアンドアウェー方式で優勝を争う、という方法に変更されたのだ。


「まあ、この方が入場料収入は格段に上がるだろうな。」

ラドラーはおどけてみせる。

「恐らく、目的はそれだけではないだろう。一体、どんな 思惑があるのやら。」

グレイスは執政官(コンスル)のマッツォ・メンデルスゾーンに代わって発表したハワードの表情を目で追っていた。


そして、座を沸かせたもう一つの変更点は『(スキル)』の解禁である。騎士の歴史を少し紐解こう。


 地球時代。騎士は近世の重火器の発達により、統率された兵士に勝てなくなり、歴史から姿を消す。それは武士も同じであった。しかし、兵士がパワードスーツの発達により強力になると同時に、兵器の無人化も進んで行った。

やがて、兵器の無人化によって戦争の残虐さが増す。兵士が「ロボット三原則」を当てにして市民を盾にするようになったからだ。無人化した軍事力はテロリストの排除と称して民間人を無差別に攻撃するようになったからだ。

この事態を打開するため、パワードスーツの研究はさらに進み、兵士をはるかに超えた強大な存在として「騎士」が復活をはたす。また、有人格アプリの登場によって無人兵器もヒューマニズムを持つようになったのである。


さらに、物質を超えた存在、「天使」の登場によって銀河の版図は一変する。「天使」を独占的に販売していた「ゴメル人」は巨万の富を得る。しかし、彼らは肉体を超える術を手に入れ、この物質世界から忽然と姿を消してしまった。


 地球人種(テラノイド)は再独立後、ゴメル人の遺した技術で「天使」を再生産し、巨万の富を得てきてきたが、パワード・スーツと刃物、という枠を超えられなかった。天使の複製方法が広まるにつれ、強力な武器が他の星系でも生産されるようになると、スフィア産の優位性は下がる。そして、地球人種(テラノイド)が気が付かなかった力が「天使」に込められていたことが、ほかの星系で発見されるようになる。


それが「(スキル)」と呼ばれる機能である。肉体や攻撃力を高めたり、重力子バリアを攻撃や防御に利用するなど『魔法』でも使ったかのような攻防を繰り広げることができる。それが顕著に使われたのが宇宙船レースでパイロットたちが使ってきたものである。


 ハワードたちがそれに気がついたのはは当時アマレクの総督であったゲラシウスとともに「アヌビス」の複製の研究を進めてきたからだ。「ハワード」は情報を「ブレイクショット」を機に公表し、職人たちは一斉に「スキル」を意識した武器を作り始める。


その完成に貢献したのが北の戦線で魔獣の南下を防ぐ「鎮守府」と南の戦線で「巨人族(レファイム)」の北上を阻止する「太宰府」であった。そこで目覚ましい戦果を挙げたため、急ピッチで開発が進められたのである。とはいえ、天使に最初から備わっていた機能を解放しただけなので、それほど元手はかからないのが最大のメリットであった。それよりも、その新機能に対応した兵器を作ることに重きが置かれることになったのである。


前回、5年前の選挙大戦(コンクラーベ)に間に合わなかったものの、今回は満を期しての導入であった。これに対応できなければ今回の選挙大戦には勝てないであろう、と見られている。つまり、今回の優勝の行方を大きく左右する因子(ファクター)になるのである。


今回の選挙大戦(コンクラーベ)では『(スキル)』の使用が解禁された。


このニュースは修道騎士たちの間に波紋をもたらした。おそらく、『天使(グリゴリ)』の出現以来の「革新的な兵器(ゲームチェンジャー)」となるのは明確であった。

これまでは剣技や槍技を磨くことが重視されていたが、それを上回る武器となり得るからだ。


以下「(スキル)」の詳細を説明をするが、いきなりゲームのようなぶっ飛んだ大技を人間が繰り出しても気にしない方はこの説明は読み飛ばしてしまって差し支えない。


 「(スキル)」とは重力子(アストラル)世界の特徴を取り入れたものである。重力子世界(アストラル)と我々の住む電子世界(マテリアル)の一番大きな違いは、「電子世界」が「物理法則」がすべてを支配する世界であるのに対し、「重力子世界(アストラル)」は「意思」と「言葉」が「物理法則」を支配するところにある。


創造主の名は「我は『成る』という者なり」、あるいは「我は『成らせる』者なり」という意味を持つと言う。つまり「自分自身が望むどんな者にもなり」、「ほかの者を自分が望むような者に成らせる」ことができるのである。

仏教でいうところの「観世音」思想に近い。つまり、「条件」が整えれば自分が望む力を体現できるのだ。あるいは自分の意思を実現するために法則を従わせることができるのだ。


というのも、創造主(オーサー)の最初の創造物は「言葉」なのである。この「意思」を表現する「言葉」が生まれたことにより、宇宙全体に滞留していた「(パワー)」に方向性(ベクトル)が生まれたのである。それが「活動力(フォース)」であり、それは、電子世界(マテリアル)とその中のものに変換されていく。それを表したのが有名な一般相対性理論の公式「E=MC2」である。エネルギー(E)と物質(M)には相関性、つまり互換性があるのだ。

 余談だが、Cとは光速のことである。つまり、エネルギーと物質の媒介を果たすのが光なのである。よって光、つまり時間は一定であり、この世界観ではタイムリープのような現象は存在しない。


天使(グリゴリ)』の中にも不活性エネルギーが充填されており、これまでその一部を「武器」に変換してきたのである。残りの「エネルギー」は使い方が不明であったが、最初の大士師、宝井舜介=ガウェインの時代に解明され、魔獣討伐などで活用されてきた。

しかし、その悪用を恐れた「アーサー王と円卓」によって長らく封印されてきたのだ。


スキル」にはいくつかの特徴がある。

第1は 「防御強化」である。

バリアを全身に張りめぐらせることができ、物理的な衝撃を遮断できる。ただ、これは今までも「甲冑」として活用されていたことである。ただ「天使」同士の戦いになると、「絶対防御」されるのは「(コア)」となる人体だけである。それで、人体同士になっても戦い続けることがないように「戦死」判定システムが取り入れられたのだ。それをさらに強化できるのである。


第2は「攻撃力強化」である。

自分に関する重力を操れるため、キックやパンチ、斬撃や突撃、そのスピードや威力を増すことができる。無論、これも既出である。重力加速、OMG拳や「加重矢」のように粒子を転換したり、粒子から波長へ変換することによって可能になるのである。


第3は「変身」である。

自分の身体に纏った重力の鎧を変形させ、様々な形、ライオンでもドラゴンでも形を変えることができるのである。ただ、動きに関しては自ら習得する必要がある。ここが「魔法」と異なるところである。


第4は「物質操作」である。

 例えば、ゴーレムのようなものを作って自分を守らせたり、敵を攻撃させることができる。さらには馬やバイクやのような形態のものを作ってそれに乗って移動することもできる。

さらには、凜のように自在に矢を操って相手を攻撃することも可能だ。ただ凜のように複数のものを完璧にコントロールするにはC3が必要になる。

また、フィールドに障害物を構築することも可能だ。上位者になれは大きな建物も一瞬で建てられるだろう。


第5は「静態解放」/「動態解放」である。

炎撃、雷撃、冷撃のように静的なエネルギーを一度に動態エネルギーに変換する技である。ただ、「天使」には基本的には物理攻撃は効かないため、競技としてのポイントが加算される、という意味だ。また第4の特徴で扱った操作された物質に対して有効であると言える。その場合は逆の「動態解放」になり、作り出された障害物を排除することも可能である。


さらに第6は「複合技」である。これは1ー5を自在に組み合わせるものであり、絶大な効果から「必殺技」とも呼ばれる。


ただ、それには明確なイメージとそれを体現するための訓練が必要であった。例えば「カxカx波」を撃つ力があっても、それを貯めたり飛ばしたり、狙った先へ飛ばそうと制御するのには修行が必要なのと一緒である。


それを術式として定着に成功したのが二人目の大士師、不知火尊=パーシヴァルの時で、寡兵でありながらも、大国アマレクを相手に独立闘争を勝つ原動力になったのだ。その術式をパッケージしたものを戦後、フェニキアに借りた戦費を返すために惑星外に輸出してきたのである。

フェニキアもこの「天使」を売って利益を上げるために「宇宙船レース」の「戦闘パイロット」に取り入れ興行として成功させてきたのである。そして、そのフェニキアのパイロットたちが日夜研究し、様々な(スキル)を編み出してきたのだ。


その結果、通常空間での戦闘の方式をガラリと変えてしまうことになった。「物理攻撃」が全く効かない兵器、「天使」の登場で兵士や無人兵器による集団戦闘から、再び「騎士」という個人による戦闘へとシフトしていったのである。


それで、「エネルギー」を必武器の強化にを使いたいものは武器に「パラメーター」を振ればいい。また、必殺技に重きをおく者、スピードに重きをおく者。それは、まさに自分の「意志」によって決めることができるのである。


技の発動にはスフィアの場合はキング・アーサーシステムの認証が必要になるため、義眼の施術を受けていないものは眼鏡型のデバイスを使う必要が生じる。



以上、説明でした。


確かに、このスキルを実戦以外の競技の場で使用することは、天位以上の高位の騎士たちに概ね評判が悪い。自分たちが積み重ねたものが崩される思いなのだろう。


「じゃあ、誰でも天位騎士をぶちのめせる、ってこと? 例えば、俺みたいな戦闘の素人でも。」

期待のこもった目で透が尋ねる。

「期待させて悪いが、そうはならなぬ。」

グレイスが苦笑する。ラドラーが呆れたように説明した。

「強さの追求に王道はないからね。『(スキル)』とは積み重ねた心技体の修練の上に築かれるものなのさ。つまり脆弱な土台には弱いものしか建てることはできんということだ。」


「なんだ。」

がっかりする透にグレイスは苦笑しながら言う。

「しかし、これほどの功績がありながら、タイミングのせいで士師になり損ねるとは、ハワード卿もお気の毒なことだな。」



どうですか? 派手なバトルになりそうな予感です。⋯⋯というか、予感だけでなく実感させろよ、わたし。


第85話:「激動すぎる、半生。」ハワードさんの過去話と、第4部で「戦死」したトム復活などそれぞれの「激動」話です。投稿は11/10予定。プロットは一次リーグ進行中でやんす。

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