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運命を操るのは  作者: 安藤真司
本編 運命を操るのは
12/41

プロローグ 【後書きにて登場人物まとめ】

 週のはじめ。

 月曜日。

 みもりと詩織は、いつも通り二人一緒に登校していた。

 その表情は、二人ともどこか硬い。


 みもりは、なんとなく、言いたいことが言えない。

 土曜、日曜と何故か千晶に遭遇して、それなりに彼のことを知ることができた。

 そして、背中を押してもらった。

(大丈夫)

 きっと、自分が思っているのと同じくらいの気持ちで、詩織は自分のことを思ってくれているはず。

 だから、聞けばいい。

 好きな人、教えて、と。

「ねぇみもり」

 言おうとしたのと同時に、詩織に先を越されてしまった。

 むむむ、と唸りつつも、詩織の言葉に耳を傾ける。

「なに、詩織?」

 妙に涼しい風が、制服を揺らす。

 三つ編みにしたみもりの髪も、強い風に煽られて揺れている。

 詩織はほんの少しだけみもりの前を歩いていて、その表情はきちんと見えない。

「みもりは、私のこと、どう思ってる?」

「どう、って、どういうことですの?」

「今ここにいる私のこと、好き? 嫌い? 親友だとか一生一緒にいたいなとか、それとも逆に面倒くさいなとか何考えてるんだろうとか朝何を食べてるんだろうとか将来どうなるんだろうとか可愛いとか不細工とか」

 要領を得ない。

 普段から意味の分からない言動はよくする詩織だが、それらは大体意味があって行っている。

 少し考えれば、もしくは少し詩織から話を聞けばその意味も大体理解できるはずで。

 みもりには詩織を理解できる自信がかつてはあって。

 今はやはり、詩織のことはよく分からない。

「私、詩織のことが、知りたいですわ」

「……んん?」

「なんですの?」

「知りたい? んん? みもりって、私のこと、誰よりも知ってない?」

 第一、知りたいってこないだ聞かれたばっかだよ、と詩織は笑う。

 そのときには、親友なんだから知りたいなんて畏まらなくてもいい、と詩織は笑い飛ばしたものだ。

 けれど、それだけでは足りないから、みもりはまたこうして話しているのだ。

「誰よりも知ってる私でもまだ知らない詩織のことを知りたいって、そう思ってるんですのよ」

「うーん、まぁ、そうだね。みもりには、色々と話してなかったからね、特に最近は」

 最近、というフレーズにアクセントが置かれる。

 そんなことは知っている。

 最近隠し事ばかりだから、みもりはわざわざこんな話をしているのだから。

「好きな人、誰? 私の知ってる人?」

「わー。またストレートに聞いたなぁ。みもりは、そうだね、そういうとこがみもりの魅力だとも思うけどね」

「詩織?」

「わかってるって、別に隠すようなことじゃないからさ」

「じゃあ、教えてくれる?」

「んー、じゃあ、私の質問に全部、答えてくれる?」

「わかった」

 詩織は深呼吸をした。

 みもりも不思議とつられて息を呑む。


「私がまた、自分を責めてるときは、助けてくれる?」

「ええ」

「私が助けてって言ったら、助けてくれる?」

「ええ」

「私が信じた心を、尊重してくれる?」

「ええ」

「みもりはずっと、私の親友でいてくれる?」

「もちろんですわ」

「うん、じゃ、はいこれ」


 そう言うと、詩織はみもりに何かを手渡してきた。

 透明なプラスチックの箱に入れられている、やはり中身が透けて見えるカセットテープ。

「ええと、なにこれ?」

「ん、カセットテープ」

「それは見ればわかりますけど……なに、なんで急に? あと話の流れが唐突すぎてよくわかんないんですけど」

「あーほら、こないだ少し話したじゃん。課題見せたげる代わりに空のカセットテープ貰うんだって。あれあれ。私はもう奏音先輩にお疲れメッセージ吹き込んだから私の後にみもりもメッセージよろしく」

「……詩織、あなたさっきから」

 何か誤魔化そうとしてないか。

 と、いうか自分の質問に答える気があるのか。

 そんなに話したくないのか。

 それとも、話す気が本当はないのか。

 一体なんなんだ、とみもりが抗議の声をあげようとすると、またしても機先を制された。


「みもり」


 先ほどまで半歩前を歩いていた詩織が、気付けばそれ以上前を歩いている。

 周囲の音が一切聞こえなくなって、みもりには詩織の声だけが鮮明に聞こえてくる。


「        」


「――ぇ?」


 その言葉だけ残して。


 詩織はみもりの目の前でバスに撥ねられた。

 

 生温かい何かがみもりの頬に付着する。

 そして五感の全てが麻痺し、全てが暗転して。

 みもりの意識はそこで途絶えた。

結構人数が増えてきたのと、大方登場しきったと思うので、登場人物の整理を行いたいと思います。


生徒会一年:


森崎みもり・・・主人公。会計。三つ編みで少し丁寧すぎる口調の真面目な女の子。出るところが出ているらしい。

織上詩織・・・みもりの親友。庶務。活発な元気っ娘。現在生死不明。

綾文弥々・・・みもりの親友。副会長。スカート丈を攻めるおしゃれ担当。櫛夜の恋人。


生徒会二年:


櫛咲櫛夜・・・会長補佐。現生徒会では唯一の男子。何故か弥々と付き合っている。ジャンケンが強い。

狩野奏音・・・現生徒会長。ストレートの黒髪ロングなお淑やかな女学生。恐らく一番の人格者。

侑李友莉・・・広報。詩織を越えるスーパー元気っ娘。陸上部と生徒会と勉強を両立させている、実は生徒会で最もスペックが高い人。

夢叶優芽・・・書記。人見知りだが最近は徐々に改善が見られる。(前作にて)みもりと詩織を生徒会に誘ったのは彼女。


生徒会三年:


綾文綾・・・元生徒会長。弥々の姉。現在国立大学を目指して受験勉強中。かっこいい。

光瀬光・・・元副会長。彼もまた生徒会では珍しい男子。穏和なため男子感がないという声も。名前のみで本編未登場。



一年一組:


秋山千晶・・・転入生。乱暴だけど実は優しいかもしれない。家庭環境がちょっと複雑。ケーキ屋でバイトしてるときは天使。子ども好き。

夏風千夏・・・シンデレラ役。バレーボール部所属の長身女子。バスケ部の先輩と付き合ってるらしい。

菊池蘭菊・・・元シンデレラ役。みもりに役を押し付けて自分は村人A役に就任。吹奏楽部でクラリネット担当。ゆるふわ。

町田満智・・・監督兼脚本。演劇部に所属。ボケられてから3フレームで突っ込みを入れられる。


進藤真・・・王子役その1。女たらしらしい。

朝道道也・・・王子役その2。ナルシストらしい。


教員:


桃春桃・・・詩織のクラス、一年三組の担任。通称桃ちゃん。口が軽い。口が悪い。でも人気。

大石大空・・・みもりのクラス、一年一組の担任。ナイスミドル。


その他:


森崎理紗・・・みもりの妹。先日十歳になった。みもり以上に丁寧な言葉遣いで話す。姉への憧れからややおませさん。

祭林茉莉・・・文化祭実行委員長。けろりんっ。

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