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プロローグ

『転生』って、一度は憧れたことはないだろうか?


意味は生まれ変わること。

転じて、環境や生活を一変させること。


生まれ変わるなら、来世はもっときれいになりたいとか。

はたまた今度は鳥になって、空を飛びたいだとか。


来世への望みは人それぞれ。


中には今のままで良いという人もいるだろう。そしてほとんどの人が、来世での幸せを望むだろう。

誰も不幸になんてなりたくないはずだ。ましてや、直ぐに死んでしまうなんて。



「おはよう。私の可愛い娘」


(それなのに)


小さくなった「私」を腕に抱え上げ、爽やかな笑顔で朝の挨拶をする人物。

カルゼア・フロイス。

フロイス侯爵家当主にして、私の父親である人物。


そして私の名は『アリーシェ・フロイス』。


私が、『前世』で何度も見た名前。

ある物語の登場人物として、出てくるキャラクター。


(何で、私は乙女ゲームの死亡キャラに生まれ変わるの!!?もっと他にあるよね?あったよね!?鳥とか、犬とかさ、人間じゃなくても良かったって!!)


心の叫びを表すように、短くなってしまった手足をバタつかせる。


それを見て「ははっ、可愛いな私のアリーシェは」とこれまた爽やかな笑顔を振りまいている。

ははってか?そんな爽やかな気分じゃないよ、こっちは!!!



『ドキドキ!!プリンセス・ライフ』という、乙女ゲームファンの間で大人気となった乙女ゲーム。


内容もさることながら、魅力的な攻略キャラ達の存在もその人気に貢献した。

その攻略キャラの内の一人で、メインヒーローとなる人物がいる。


カイン・セヴェリオン。フロイス家より一つ上の家格を持つ、セヴェリオン公爵家次代の当主だ。

私、アリーシェが死亡キャラたる理由はこのキャラの存在が大きい。


だって私の婚約者になるのだ。

顔もいい、頭もいい、家柄もいい。


その全てが揃った者の婚約者。そんな本人である自分は、お世辞にも彼に釣り合うとは思えない地味なキャラ。家柄は良いのにね。


やっぱり外見が第一になるのだ。


そんな私を良く思わない人もいて、「私の方が綺麗なのに、何であの子?」などという妬みや、果ては憎悪まで向けられる。


最後に止めとばかりに、ゲームの主人公とくっつく事で私は邪魔者扱いとなる。ならばくっつかなければいいのか、というとそうでもない。


このゲームの大きな特徴はそのルート分岐の多さにある。


まず最初にハッピーエンド。次に悲恋エンド、続いてバッドエンド。

大まかなエンドはこの三つで、これらの中でまた複数のルートに分かれるのだ。


そして私はどのルートへ転がっても、死ぬ。

間違いなく確実に死ぬ。


ヒロインがハッピーになろうが、バッドエンドになろうが、死んでしまう。


パターン1。

ヒロインを妬む女が、ヒロインを精神的に痛めつけるために友達となった私を彼女の目の前で拷問し、最後には殺す。

パターン2。

私が邪魔者となり、メインヒーローで私の婚約者である『』が私に暗殺者を差し向けて、私を消す。

パターン3。

パターン2とよく似ているが、これは私が嫉妬を向けられて、周りの貴族のご令嬢達から様々な嫌がらせ+暗殺者という組み合わせ。


その他にも運悪く階段から落ちる、崖崩れにあってなどなど。

とにかく、出来事全てが死に直結するというとんでもないキャラだ。


でもここで救いが一つある。

しかしそれはとんでもなく難しい。


ヒロインが誰ともくっつかない、誰かから恋愛感情を向けられる事も無い『通常ルート』が。


このゲームは初心者でもやりやすいように、好感度が普通のゲームよりも上がりやすくなっている。

そのため逆に好感度を上げないようにするのが難しいほどだ。

それを私は『現実』で成し遂げなければならない。私の未来のために。


若くして死ぬのなんて、絶対イヤだからねっ!!!

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