表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IN THE PALM OF DRAGN  作者: 堀江ヒロ
竜の住処
21/33

21




 結局、雄司たちは否応なしに龍神の元へ行くことになってしまった。

 リョウの命には代えられない。

 それに、何と言っても神様の端くれなのだから、元の世界に戻る方法を知っているかもしれない。


 リナは雄司たちと別れて、解毒の魔法を使える人と共に村に戻ることとなった。村に行ってくれるのは、プファラー自らだった。

 曰く、魔法の効果は使い手に依存するため、重度なリョウには最もランクの高い魔法を使えるプファラーが行くことになったそうだ。

「では、プファラーさん。よろしくお願いします」

 龍神の元へ行くのは雄司、ケンジ、タケシ、それにパスタの四人だ。


 龍神は深い山の洞窟の奥に住んでいるとのことで、獣道を歩く。

 パスタは本当に憶病で、クモやムカデを見つける度に大騒ぎする。

 歩くこと、3時間で、四方を山々に囲まれた小さな盆地に出た。盆地の中は辺り一面草原となっていたが、ちょうど中央にポツンと岩肌をのぞかせていた場所があった。

 その岩肌には大き洞窟が口を開けていた。


「ここが龍神様の住んでいらっしゃる場所のはずです」

 中は真っ暗だった。パスタが持ってきたランプに火を灯し、雄司たちは恐る恐る洞窟へ入っていく。

 --が、案内役のはずのパスタの姿が見えない。

「おい、パスタさんの姿が見えないぞ」

 気がついて、戻ってみるとパスタは洞窟の入り口でうずくまっていた。

「・・・何してるんだ?」

 ケンジが尋ねると、ビクッと肩を震わせ、

「だって・・・、洞窟なんて、中は真っ暗だし、暗いし、コウモリだって出るかもしれないじゃないですか。そんな恐ろしいところに入ると思っただけで・・・・」

 泣きそうな顔をする。泣いている女の子を囲むケンジ達。まるでいじめているみたいだ。

「案内してくれるんじゃなかったのか?」

「洞窟の中まではボクだって、知りませんよぅ。ここから先はあなた達だけで行ってくださいよぅ」

 パスタは頑として、洞窟の中に入ろうとしない。

「仕方ない。我々だけで中に入るか。パスタさん、一人で帰らないで下さいよ」

「ひとりで帰れるわけないじゃないですか!!」逆ギレされた。


「早く帰ってきてくださいよぅ」という声援を受け、雄司たちは再び洞窟に入っていく。

「暑いな」

 洞窟に入ってしばらくたつと、ケンジがぽつりと言った。

「普通、洞窟ってのはもっとひんやりした涼しいモノのはずだがな」

 汗を拭きながら、雄司もうなずく。

「何か出そうだな・・・ ギャー!!」

 タケシが悲鳴を上げた。

「どうした!?」

「・・・いや、クモの巣が顔に引っかかった」

「殴ってやろうか。いちいちそんなことで叫ぶな。あのパスタとかいう娘じゃあるまいし」

 ケンジがタケシを小突く。


「ーーおやっ」

 今度は雄司が声を上げた。

「どうしたの?」

「いや、向こうの方がぼんやり明るくなってないか」

 そう言われれば、そんな気もするかも。

「もしかして、出口かな?」

 暗闇で正確な時間は計っていないが、1時間は歩いていたはずだ。

 三人は足早に明りに近づいて行ったが、出口ではなかった。


 さっきからの暑さの原因がそこにあった。

「もしかして、溶岩?」

 ケンジが誰にともなく、つぶやく。

 目の前に3~4メートル程度の谷があり、その底に真っ赤な光を湛えた液体が流れていた。


 ボコッ ゴボッ ボコッ


 音をたて、粘性のある溶岩が泡立っている。足元の小石を投げ込んでみると、ジュ~という音をたて飲み込まれた。

「暑かったのは、このせいか」

 そして、その溶岩の川には今にも崩れそうな細い吊り橋がかかっている。いかにもなシチュエーションだ。

 行けないことはないが、無理する必要はないだろう。

「これは一度戻って、装備を整えた方がよさそうだな」

「そうだね」

 雄司の言葉に同意して、来た道を戻る。しかし、道がない・・・

 一本道で、迷うはずがないが行き止まりだ。

 --コンコンコン

 叩いてみるが、道が開ける様子もない。

「ふさがってるねぇ」

 だが、自然に崩れてふさがったのではない。それなら、跡があるはずだが、滑らかな岩肌が続いているだけだった。

 魔法か何かファンタジー的な不思議現象・・・なのか?

「どうあっても、前に進めってことか」

 もう、この崩れそうな橋を渡るしか、進む道はない。

「一人づつ渡った方が良さそうだな。--さて、誰から渡る?」

 複数で渡るには強度が不安だ。

 誰も率先して渡りがらないので、ジャンケンで決めることとする。一番目は目出度く(?)タケシに決まった。


 タケシは橋の目の前で考え込む。

「・・・よし! 帰ろう」

 言うなり、体を反転させ、道を戻ろうとする。

「おいおい。お前が一番に渡るんだろ。それに帰る道はふさがってるだろ」

「・・うっ。持病の心臓病が・・・」

「仮病を使うな! お前はいつから心臓病が持病になったんだ!?」

「今から・・・」

 すかさず、ケンジがタケシの右頬に張り手を食らわした。


「・・・やれやれ。仕方ない。わたしが先に渡るか」

 呆れて雄司はそう言い、難なく渡り終える。

「な~んだ。大丈夫じゃないか」

 タケシが雄司を見て、意気揚々と足を踏み出したその瞬間、ガラガラッと音をたて、橋が真中から崩れる。

「・・・・・」

「・・・危ねぇ~」

 崩れ方が不自然だ。雄司の時は平気だったのにタケシが橋に乗る前に崩れてしまった。

 --作為的な意思を感じる。


 しかし、それで雄司と二人が二分されてしまった。進まないといけないのに、これでは先に行けない。

「・・・困ったな」

 途方に暮れると、ケンジは谷底を見る。

「これ、跳べるんじゃね?」

「跳ぶって、ジャンプして飛び越えるってこと?」

 体育の走り幅跳びの記録は5メートルを超える。

 助走をつけて飛べば飛び越せない距離ではない。だが、間違って落ちれば、一巻の終わりだ。

 体育の幅跳びと違って、やり直しはできない。

 下を覗き込むと、煮えたぎる溶岩がさっき見たときと同じく、絶えず流れている。


 かなり、勇気がいるなぁ~。

 かといって、先に進まなきゃいけないし・・・


 しばらく思案した後、ケンジは気合を込め、助走を始める。

「いくぜ!!」

 しかし、--ゴガッ ザザザーッ

 ケンジは途中でつまずき、見事に滑った。

「い・・、痛い」

 鼻を思い切り打った。

「・・・さぁ、タケシ。オレに続くんだ!」

 鼻を押さえながら、ケンジがやけっぱちに叫ぶ。

「そんなもの見た後に続きたくなるか!」

「・・・だよな」

 言っておいて何だが、当り前だ。

 ケンジは腰にロープを結んでもらい、万が一の場合に引っ張ってもらうよう、一方をタケシに持ってもらった。

 再チャレンジは、慎重に跳んで難なくクリアー。


「天野君、大丈夫か?」

「タケシはそこにずっといるか? オレたちは奥に行ってみるぞ」

 まだ決心のつかないタケシを見てケンジが言った。

 この谷を越えるのは怖いが、置き去りにされるのも怖い。

「ーーくそっ!」

 やけくそ気味でタケシが跳んだ。勢いが良すぎて着地には失敗したが、何とか渡り切った。


「ふ~~。何とか渡れ・・・・・ ギャ~~~~!!」

「うおぉぉぉぉぉ!?」

 安心しきった三人の足元が突然崩れた。もう、確実に自然な崩れではない。

 --もがくことも出来ずに、三人は闇の中へ吸い込まれていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ