密室は、お厳かに!
彼の死体は密室で転がっていた
その上には無残にも原稿用紙の紙や鉛筆がばら撒かれており、その黒い手の甲から
死ぬ直前まで机にかじりついて
最後の最後まで小説を書いていたことが覗える
その部屋には窓があるが作家の希望で自分から逃げられないように鉄格子がされており
入ることはもちろん中から出ることもできない、なんでも逃亡癖のある作家が自ら逃げないようにそうしたという、その畳二枚ぐらいの部屋は狭く、その長方形の部屋には古臭い資料や本が並べられた金属製の棚が並べられており、唯一ある窓辺に彼の木製の作業机があった
彼はそのすぐ下で書いていた紙にまみれ死んでいた
又幸いなのか、その部屋にはなぜか防犯カメラがあり
何でも彼の奥さんが仕事をしているか、浮気している口実にしないか見ているらしい、そしてそれは浮気ではないとんでもない物をそのレンズに写したわけだが
そこには彼が書く気持ち悪い小説の様に
まるで透明な何かにいきなり首でも絞められたかのようにいきなり机から落ちてのた打ち回る彼の姿がばっちり写っていた
そしてその時部屋には絶対入れないと最近噂の最新式の鍵がつけられていた
果たして殺人者のいない密室でどのようにして殺されたのだろう
参考
・被害者は作家
・犯行時刻彼の家族又は関係があった人物はみな絶対的なアリバイがあった
・ビデオテープに偽造の証拠は出なかった
・死亡時刻は映像と同時刻