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短編

狂った人

作者: RK

 人との違いが顕著な場合、周りはおかしいと評する。

 何がどうおかしいのかを言い表すとき、お前は人と違うと表現する。

 それを可笑しいと思い、笑みを浮かべると頭がおかしいと判断される。

 これほど可笑しいと思うことはない。

 人が人と違うのは当たり前であるというのに。

 不変であることなどひとつもなく、自分が生きているコミュニティの常識でさえ、その輪から一歩外に出てしまえば当たり前のことではなくなるというのに。

 なのに人は周りと比べ、判断する。

 生まれた時に欠損があったら、生きる過程で欠損を生じたら、人はそれだけで弱いというレッテルを貼るように。

 周りが右を見ている時に、たまたま左を向いているだけで人はそいつが異分子だと決め付ける。

 そして、あいつは可笑しい、普通じゃない、変な奴、気味が悪い。


 狂ってる。


 呆れを通り越して驚きだ。

 輪から外れてみれば、そっちのほうがよっぽど狂っている。

 自分という存在は希薄で、全てが周り準拠なのだ。

 天才を奇人変人狂人と表現する所以はここにあるのだろう。

 彼らは天才という異分子を受け付けない。

 天才は天才がゆえに苦悩するというのは彼らが受け入れないからだ。

 何が違う?

 肌の色が違うように、髪の色が違うように、目の色が違うように。

 骨格だって違うのだ。

 でも、人はそれを同じ人という括りで見ているではないか。

 決して黒人を見てこいつは地球外生命体だとは思わないではないか。

 天才と凡人もその程度の違いしかないというのに。

 所詮、人と人の違いなど些細な差しかないというのに。

 人は内面が違うとそいつを異分子扱いする。

 自分たちと見た目が近いだけに嫌悪する。

 そういう意味では狂っているのだろう。

 誰も彼もが狂っている。

 天才も凡人も。

 黒人も白人も。

 誰も彼もが狂っている。

 狂った世界で生まれた正常な人ですら。

 世界から見たら狂っている。

 狂った人々を見てやがて正常な人も狂う。

 ああ、世界は狂っている。

 枠組みに囚われた人も狂っている。

 枠組みから外れた人も狂っている。

 狂って狂って狂って。

 でもそれが正しいんだ。

 わかってる。

 それを受け入れることが大事なんだ。

 受け入れられないから僕は狂っている。

 やっぱり僕は。


 狂ってる。

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