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白の王弟と水の姫君2  作者: ユイカ
4.舞踏会
15/26

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 ジールはその日、昼過ぎになってディーンの部屋に呼ばれた。

 城内を歩いて行く。

 人払いのされた階段を上ると、その先にある細長い廊下は薄暗い。廊下の壁面には歴代白の王の肖像画が並ぶ。いつにもましていい知れない威圧感を放っていた。

 ジールは一枚目の絵の前で足を止めた。

 初代白の王・レフロの肖像画だ。

 レフロは最初の4人の天使の1人であり、全ての白の天使の祖であり、海と空、水と風を1人で統べる四属の王だった。銀白のレフロと呼ばれた彼は、純白の銀の髪に銀の瞳を持ち、銀糸のあしらわれた白い装束に身を包んでいた。白の王に相応しい、凛々しい姿で、こちらを見ている。

 ジールは廊下の先にある扉を見やった。

 その扉の向こうは王の執務室だ。

 中に入る。歴代王も使ったであろう部屋は、今やカワイイ系のぬいぐるみであふれていた。もはやため息すら起きない。ジールは床に転がったひよこちゃんを押し退けて部屋に分け入ると、隣室に続く扉をノックした。

 返事がある。

 扉を開けると、中に白い装束に身を包んだ王が立っていた。

 ジールは一瞬、銀白の王と見紛った。

 黒髪に黒い瞳。それでかろうじて兄だと分かる。

 ディーンは肩に垂らした黒髪を揺らし、ジールに微笑んだ。

 そして。

 突進してきた。

「どーしよー、ジール!!」

「知るか。」

 ジールはディーンのタックルを寸でで躱し、部屋の奥に逃げた。

 その部屋はディーンの寝室だ。なぜだか執務室と違って、年相応の落ち着いたインテリアで揃えられている。

 ベッドの上に転がったヒツジさん以外は。

 ジールは方向を変えて弟の方に向かってくるディーンにヒツジさんを投げつけた。

「いい加減、覚悟決めろよ。舞踏会は今晩なんだから。」

「だって・・・・。」

「だってじゃないだろ。」

 ディーンはヒツジさんを潰れるほどに抱きしめ、ベッドに腰を下ろした。

 せっかく、ちょっとだけ格好良く見えたのに。ジールはそう言い損なって、眉根を寄せた。

「用って何だよ。」

「ジールはどこにいるの?」

「舞踏会の間?書庫に隠れてるつもりだけど。」

「・・・ずるい。」

「ずるくない。お前のための舞踏会だろ。」

「むー。」

 ジールはため息を吐いた。

 ディーンの気持ちは分からないでもない。でも、きっと国中がこの日のために準備してきたのだ。城内の盛り上がりようも、今朝からフライング気味に最高潮に達している。今さらどうにもならない。

「それ、今日の衣装だろ。皺になるからそんなとこに座るなよ。」

 ジールはディーンを立たせ、ヒツジさんを取り上げた。

 兄の顔を見上げる。

「口を突き出すな。堂々としてろよ。

 王様業はいつもやってることだろ?」

 ディーンの顔がぎこちないながらも普通に戻る。

 ジールは兄の胸を拳で小突いた。

 そして無言で部屋を出た。

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