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ネタバレ

 次の日の朝、目覚ましの音と共に目が覚める。また寝坊をしない様に、一応朝九時に目覚ましをセットしていた。

 昨夜は結局家に帰るなり、疲れからかすぐに眠ってしまった。会合は予定では午前二時までと言う事だったから、貴志へはまだ電話をしていない。しかし今考えると、終電も終わってしまっている時間に解散をして、皆どうやって帰るのだろう。二次会会場のネットカフェで、朝まで過ごしたのだろうか。

 もそもそと布団から顔を出すと、鳴り続ける五月蠅い目覚ましの音を消す。まだ少し体がだるく、布団の上に横になったまま、しばらくはボーとしていた。

 枕元に置いた携帯を取ると、メールが数件届いている。メールを開いて見ると、モンハンの狩り仲間からだ。その中に一件、貴志からの物も有る。

「貴志・・・?」

 祐一郎は慌てて、貴志からのメールの内容を見た。内容は昨夜の事だ。

 文面には、『昨日どって急に帰っちったの~?あの後超~盛り上がって、皆で呪いだぁ~って魔術やったんだよぉ~!もうシャノンっちナイスアイディーア!って皆絶賛してたよん!』と書かれている。

「ナイスアイデア・・・。なんだ、平気だったんだ・・・。」

 ホッと息を漏らし、安堵をする。どうやら裏切り者だの何だのとは、思われていない様だ。その上、自棄糞で言った言葉の提案に乗り、魔術で呪いを掛けようとしていたらしく、実際に怪我等をさせる事は無さそうだった。

 安心感からか、うつらうつらとまた眠くなる。少しの間目を閉じると、次に目を開いた時には、いつの間にかまた眠ってしまっていた事に気が付く。

 目を擦りながら、携帯の時計で時間を見てみると、十一時過ぎになっていた。あれからまた、二時間眠ってしまったようだ。

「ヤバいっ!」

 祐一郎は慌てて布団から起き上った。また小夏に、外出禁止にされてしまう。

 急いでパジャマから私服へと着替えると、机の上に宿題ノートを広げ、「起きたがお腹が空いていなかった為、そのまま部屋で宿題をしていました。」的な感じを装うとする。

 軽く手で寝癖を直すと、パンパンッと両頬を手で叩き、目をハッキリと覚まさせる。

「よしっ!完璧だ!」

 完璧に装備をし終えると、部屋から出て階段を下りる。そのままリビングへと向かい、自然を振舞い、爽やかに言いながら中へと入る。

「いやぁ~やっぱり朝食抜きで勉強だと、集中出来ないなぁ~。小夏、軽食はないか?」

 ハハハ、と軽く笑いながらリビングへと入って行くと、小夏はソファーに座り、誰かと話していた。

「あ、祐ちゃん。丁度よかったぁ。」

 祐一郎の姿に気付き、そう言って来る小夏の顔は、少し元気が無い様に思えた。

「あ・・・お客さん?」

 客人が居るとは知らず、先程言った言葉が少し恥ずかしくなってしまうと、祐一郎はポリポリと照れ臭そうに頭を掻く。

「えっと・・・こんにちは。」

 軽く挨拶をすると、小夏の前に座る女性の後ろを、通り過ぎようとする。その瞬間、女性は祐一郎の方へと顔を向けた。その顔を見た祐一郎は、その場に硬直してしまう。

「なっ!・・・アレンっ!何で家に・・・。」

 小夏と話をしていた女性は、アレンだった。祐一郎の鼓動は、一気に高鳴り、緊張が走る。

 もしや、昨夜アレンの姿を見たが、やはり監視していたのか。自分の事を疑い、探りを入れに家に来たのだろうか。小夏は、何か脅されていたのだろうか。色々な事が脳裏に過る。

 しかし、そんな祐一郎の考えを嘲笑う様に、小夏はニコリと笑うと、目の前に座るアレンを紹介して来た。

「祐ちゃん、こちら貴君のお姉さんのお友達の、矢吹桜さん。もう会った事はあると思うけど。」

「へ・・・?貴志の・・・姉ちゃんの?」

 祐一郎の顔はキョトン、としてしまうと、小夏に紹介をされた、アレン事桜は立ち上がり、祐一郎にお辞儀をした。

「あの・・・祐一郎君。ごめんね、突然家まで来ちゃって。でも私、どうしたらいいのか分からなくて・・・。」

 少し怯えた様子の桜は、アレンと名乗っていた時とは、別人の様な喋り方に変わっている。しかしこれは、演技かもしれないと思うと、気を引き締め直した。

「な・・・お前アレンだろ!家にまで来て、何しようって魂胆だ!」

 そう叫ぶも、小夏と桜は困った様子で、お互いに顔を見合わせた。

「あのね、祐ちゃん。警察に祐ちゃんの事迎えに行ってあげてって、ママが桜ちゃんにお願いしたんだぁ。ママ、動揺しちゃってたから、ママが行っても祐ちゃんを心配させちゃうだけかなって思って。」

「な・・・小夏が?・・・てか、小夏知ってたのかよ?何にも知らない素振りだったじゃん!電話だって、佐藤さんからしか無かったって・・・。」

 突然の小夏の告白に、祐一郎は驚き動揺するも、小夏は申し訳なさそうな顔をして更に言う。

「知らないフリをした方が、祐ちゃんに余計な心配掛けずに済むかな、って思ったから・・・。でも逆に、不安にさせちゃったよねぇ・・・。ごめんねぇ。」

「じゃぁ・・・警察から電話は?」

「あったよ。ママ、祐ちゃんが捕まっちゃうんじゃないかって、心配しちゃったぁ。」

「なっ・・・!」

 祐一郎は唖然としてしまうと、桜の顔をゆっくりと見た。

「じゃぁ・・・お前は誰だ?アレンなんだよな?アレンの正体が、貴志の姉ちゃんの友達って事か?」

 すると桜は、涙ながらに必死に訴え始めた。

「私はただ、貴志君に頼まれただけよ!自分の姉だと、祐一郎君に顔が割れちゃってるからって。コードネームアレンって事にして、それらしい演技して、祐一郎君を会場内に入れさせてくれって!自分が言っても、信じないだろうから、突然見ず知らずの人がコードネーム名乗って、現れた方が上手く行くだろうってっ!」

「は?貴志に?頼まれたって、どう言う事だよ?」

 困惑をする祐一郎に、小夏は頭を掻き毟りながら、困った表情を浮かべる。

「あー・・・あのね、祐ちゃん。実はママが、貴君に祐ちゃんを『合同就職説明会フェア』に連れ出すように、お願いしたのぉ。ママが言っても、祐ちゃん言う事聞いてくれないだろうから、貴君には適当に祐ちゃん設定の言い訳でもしてって。そしたら貴君が、流石に会場内へは、看板見たら入らないだろうからって、桜ちゃんにそこはお願いしたみたいでぇ。」

「な・・・って事は・・・。俺を就職説明会に行かせる為の・・・。」

「皆で芝居を打ったって事。祐ちゃん、就職も視野に入れてるなら、ちゃんと行った方がママいいと思ったからぁ。」

 突然の真実に、祐一郎はその場に崩れ落ちてしまう。そしてよくよく、その時の事を思い返した。

「そう言えば・・・貴志は写メ送れって・・・。じゃぁ、貴志の言ってた任務コンプリーツって・・・小夏の。あれ?出掛ける前、小夏も写メ撮って・・・。アレンも、携帯イジッて何か見てて、その後俺の顔見た様な・・・。」

 ブツブツと言っていると、桜はバックの中から携帯を取り出し、写真の画像を表示させ、祐一郎に見せた。

「これ!これ見て祐一郎君の服装確認してたのよ。顔は一応貴志君から、写真見せて貰って知ってたけど、服装違うと分からない事有るからって。」

 目の前に見せられた写真画像は、祐一郎の部屋で、小夏が携帯のカメラで撮っていた物だった。その時の不機嫌な祐一郎の顔が映っている。

「な・・・っ!これ小夏がっ!」

「あはは・・・。祐ちゃん写メ撮り忘れるだろうなぁ~って思ったから、ママが撮って桜ちゃんにメールで送ってあげたのぉ。」

「なっ!内通していたのか!お前等!」

「いつでも連絡取れるように、連絡先事前に交換してたのよ。桜ちゃんが、しばらくは側で見張っていてくれるって言ってくれたから、ママ甘えちゃってぇ。でも祐ちゃんが、あんな事件に巻き込まれちゃって・・・。本当、ママビックリしたんだからぁ。」

 小夏の最後の『事件』と言う言葉を耳にし、それまで唖然と驚いていた祐一郎は、ハッと我に返り、慌てて立ち上がる。

「待てよ・・・ちょっと待て!でもお前、自分が殺したとか言ってたじゃないか!俺を説明会行かせるだけなら、何で―――― 。」

 と、言い掛けている祐一郎の口を、桜は慌てて塞いだ。

 突然桜に思い切り口を塞がれ、祐一郎はモゴモゴともがいていると、桜はそっと、祐一郎の耳元で囁く。

「その事は、また別なのよ。小夏さんは知らないから、場所変えて話して。」

 よくは分からなかったが、取りあえず祐一郎は何度も頷くと、桜はそっと祐一郎の口元から手を放した。

「それで、何で俺ん家来てんだよ。何の用だよ。」

 ムッと不貞腐れた顔で、桜を軽く睨めつけながら言うと、桜は小夏を気にしながら、ボソボソと小声で話して来た。

「その・・・ちょっと困ってるの。それで相談をしにって言うか・・・。祐一郎君、もう大丈夫だって聞いたから。」

「大丈夫って・・・何が?」

「その・・・中二病。」

 ポツリと桜が恥ずかしそうに言うと、思わず釣られて、祐一郎も恥ずかしくなってしまう。

「なっ!何その単語を口にする事自体が、恥ずかしい様な顔してんだよ!その前にお前、もっと痛々しい事言ってた癖に!」

 顔を真っ赤にさせながら叫ぶと、桜の顔も真っ赤に染まってしまった。

「ヤダ!止めて!言わないで!私だって、好きであんな小恥ずかしいセリフ言ってた訳じゃないんだからっ!」

 桜は思わず手で顔を覆うと、その場に座り込んだ。その時の自分を思い出してしまい、更に恥ずかしくなりもがく。

「祐ちゃん、女の子イジめちゃ駄目よぉー!」

 小夏が頬を膨らませて言って来ると、祐一郎は慌てて、「苛めてないよ!」と反論をしながら、座り込む桜の腕を掴む。

「とにかく、俺の部屋に移動しよう。」

 祐一郎に引っ張られ、ゆっくりと桜は立ち上がると、小夏に軽くお辞儀をした。そのまま二人はリビングから出て行くと、祐一郎の部屋へと移動する。

 祐一郎の部屋に入るや否や、桜はガッシリと祐一郎の両肩を、力強く鷲掴みした。

「言っとくけど、私は殺してないから!私じゃないから!犯人とかじゃないからねっ!」

 涙ながらに訴えて来る桜に、祐一郎は少し引き気味ながらも、何度も大きく頷いた。

「分かったから・・・。肩・・・痛い・・・。」

 ハッとした桜は、慌てて祐一郎の肩から手を放す。「ごめんなさい・・・。」と言うと、今にも泣きそうな顔で、じっと祐一郎の顔を見つめた。祐一郎は視線を桜から逸らすと、コホンッ、と軽く咳を吐く。

「いや・・・別にいいけど・・・。てか、ちゃんと分かるように説明してくれませんか?」

 桜は小さく頷くと、俯いて淡々と話し始める。

「実は・・・小夏さんから連絡貰った後、貴志君に電話して知らせたの。その前に貴志君から、私の言った事本当に信じて、敵だの何だの見付けたとか、掲示板に書き込みしてたって聞いてたから。どんな顔して迎えに行けばいいのか、分からなかったし・・・。そしたら貴志君が、アレンとして迎えに行って、私が殺したって言う事にしようってなって。」

「は?何だよそれ?貴志がそう言ったのか?」

 驚く祐一郎に、桜は更に言う。

「全部貴志君の提案なのよ!私がずっと、祐一郎君が作った設定通りに話し続けたら、きっと私の事を聞きに、貴志君の所に電話を掛けるだろうって。そしたら自分も、本当に祐一郎君が作った話を信じてるフリをするからって。亡くなられた方には申し訳ないけれど、それを利用させて貰って、周りの異常さを見せてやれば、祐一郎君もきっと目を覚まして、中二病が治るだろうからって・・・。」

「って事は・・・。貴志は別に、本当に信じてる訳じゃないって事か?信じているフリをして、芝居をしてたって事か?その・・・桜さんも・・・。」

「そうよ!全部祐一郎君の目を覚まさせる為に、彼女の死を、不条理だけど利用させて貰っただけなのよっ!だからあの後、工作として掲示板に書き込みもして。貴志君、進路の事で祐一郎君の事凄く心配してたから。」

「なっ・・・。マジかよ・・・。」

 桜の話を聞いた祐一郎は、安心からか、その場にグッタリと寝そべった。

「何だ・・・よかった・・・。貴志まで、マジで頭がおかしくなったかと思ったや・・・。」

 貴志が正気だと分かり、安心したはいいが、昨夜の事を思い出した祐一郎は、勢いよく体を起こした。

「ちょっと待てよ?だったら何で貴志の奴、昨日も信じてる様な振舞いしてたんだ?」

 ふと疑問が過ると、これは直接本人に確かめてやらなければ―――― 。と思い、携帯を手に取った。するとまた勢いよく、桜が祐一郎君の肩を掴んで来る。

「そんな事よりっ!ねぇ!私どうしたらいいの?どうしたらいいの?貴志君に頼まれて、六人目のエージェントアレンー!何て馬鹿な事やったはいいけど、これからどうしたらいいの?他の頭おかしい人達から、凄いメール来るんだけど!私どうしたらいいの?」

 ユサユサと祐一郎の肩を大きく揺すりながら、泣き叫ぶ様に言って来る桜。祐一郎は必死に何かを言うも、それに気付かず桜は更に叫ぶ。

「もう半分脅迫じみてるって言うか、只の嫌がらせでしかないわよっ!私本当に人殺さなきゃいけないの?殺すべきなの?せっかく花の女子大生やってるって言うのに、合コンじゃなくて会合に行かなくちゃいけないの?」

 興奮する桜を、何とか落ち着かせようと、祐一郎は腹の底から大きな声で怒鳴り叫んだ。

「ちょっ・・・まっ・・・。待って!ちょっと落ち着いて!」

 祐一郎の怒鳴り声を聞くと、桜の動きはピタリと止まる。

「ちょっと落ち着いてよ!話が全然見えないし、何?メールとかって。」

 桜はそっと祐一郎の肩から手を退かすと、ポロポロと涙を流し始めた。

「ごめんなさい・・・。私怖くて。もうどうしたらいいのか、分かんなくって。」

 桜の涙を見て、祐一郎はギョッと驚いてしまうと、慌ててニコヤカな顔で優しく言った。

「あぁー・・・。とにかく、落ち着いて話そう。ね?」

 桜は涙を拭いながら頷くと、「これ・・・。」と自分の携帯を祐一郎に渡す。祐一郎は携帯を受け取ると、桜に言われ、メールの受信蘭を見た。するとメールの件名を見た祐一郎は、驚いてしまう。

「何だこれ?七人目?」

 メールの件名には、『七人目のエージェント』と書かれていた。同じ件名のメールが、何通も届いている。

「しかもそれ全部、送信元のメアド違うのよ。一回返信してみたら、エラーになって届かなかったから、きっと一々変えてるんだと思うけど・・・。」

 まだ半泣きの桜に言われ、祐一郎はメールを開き、送信元を見ると、確かに全てメールアドレスが違っていた。携帯のアドレスではなく、PCのアドレスのようだ。

「これ、掲示板のお知らせメールじゃないな。内容は・・・。なっ・・・何だよこれ?」

 メールの内容を見た祐一郎は、更に驚いてしまう。

「殺害対象、佐久間洋助。林真理恵。大野浩二・・・って、これアリスの言ってた、巨漢男の名前か?速やかに抹殺せよ・・・速やかに抹殺せよ・・・って・・・。速やかに抹殺せよが延々と続いている・・・。」

 メールの文面に、祐一郎の口元は思い切り引き攣ってしまう。何より、桜がこれだけ取り乱して怖がるのも、無理がないと頷けてしまった。嫌がらせの如く、殺害対象者の名前の後は、『速やかに抹殺せよ』と言う文字がビッシリと書かれている。

「ちょっ!桜さんこれっ!警察っ!警察には行ったの?嫌がらせ所じゃないじゃん!」

 焦りながら祐一郎が言うと、桜はまた、涙ながらに延々と叫んだ。

「行ったに決まってるじゃない!でもネカフェかどっかからだから、分かんないって言われるし、実際私に被害が及んだ訳ではまだないのでぇ~、とか何とか言って、相手にして貰えないし!その内次の会合に必ず来いとかメール何度も来るし、もう私どうしたらいいのか分からなくて!貴志君は頼りないから、祐一郎君に相談しようと思って来たんだけど、私どうしたらいいの?ねぇ!やっぱり殺さないと駄目なの?嫌よっ!まだ成人式だって迎えて無いのに!振袖に袖通す前に刑務所とか何て!絶対嫌よっ!」

「分かったから、だから落ち着いて!てか桜さん、キャラ変わり過ぎだよ!そんなんでよくあの『アレン』を演じれたな。」

「こう見えても、高校の時は演劇部だったのよぉー!」

 どうでもいい情報を叫ぶと、祐一郎の体にしがみ付いた。桜に抱き付かれ、祐一郎の頬は思わず赤くなってしまう。

「どうしよう!どうしよう祐一郎君!私どうしたらいいのぉー?」

「あの・・・桜さん・・・。ちょっ・・・お胸が・・・。」

 桜はギュウギュウと力一杯抱き付くと、桜の胸が祐一郎の胴体に当たり、柔らかい感触がした。祐一郎はしばしの至福を味わうと、「三次元も悪くない・・・。」とボソリと呟く。しかし、ずっとこのままの状態は流石に不味いと思い、祐一郎はそっと自分から桜の体を離した。

「それより、メアドとか変えたりはした?多分、あの三人の内誰かの仕業だと思うけど・・・。」

「メアド変えたけど、届くのよ。でもそうコロコロ変える訳にもいかないし・・・。友達とかに一々報告しないといけないから、面倒臭くって・・・。」

「いや、そこは面倒臭がっちゃ駄目じゃ・・・。このメールが届き始めたのって、いつから?」

 桜は祐一郎の手から携帯を取ると、最初に送られて来たメールを表示させた。

「えっと・・・これ。昨日の夜中の二時半過ぎから。それから何度も。」

 そう言って画面を祐一郎に見せると、件名は同じだが、本文は違っていた。

「何なに?『我は七人目のエージェント、バゼルフ。今宵の召喚にて参上した。これより汝に命ずる。汝の使命を果たせ。』今宵の召喚って事は、昨日の会合の時にした、合同召喚の時の事か・・・。そうだっ!」

 祐一郎は自分の携帯をベッドの上から取ると、慌しく電話を掛け始めた。

「祐一郎君?」

「貴志に昨日の事を、詳しく聞いてみる。俺途中で帰っちゃったからさ。貴志なら最後まで居たと思うから。桜さん、ちょっと待ってね。」

 桜は小さく頷くと、ギュッと携帯を握り締めた。またいつメールが来るかと思うと、不安で仕方がない。

 祐一郎は貴志に電話を掛けると、呼び出し音を鳴らし続けるが、中々出ない。まだ寝ているのだろうか?と思いながら、コールを鳴らし続けた。すると眠そうな声で、「はいはぁ~い・・・。」と言う貴志の声がし、ようやく貴志が電話に出る。

「貴志、お前まだ寝てたのか?」

 少し呆れながらに言うと、受話器越しに貴志の大きな欠伸が聞こえ、祐一郎は溜息を吐いた。

「おい起きろ馬鹿!今俺ん家に、桜さんが来てるぞ!」

 それを聞いた貴志は、一気に目が覚めた様子で、驚いた声で言って来る。

「「えぇっ!なして桜ちゃんが?って事は・・・バレちったって事ぉ?」

「そうだよ!全部桜さんから聞いたよ!」

 祐一郎は怒り気味に怒鳴ると、貴志は困った口調で言った。

「「ありゃりゃ~。俺っちがバラして、まっつぁんの驚く顔見たかったのになぁ~。」

「十分驚いたよ!お前何て酷い計画立ててんだよ!俺マジでお前までおかしくなったかと思って、心配したんだぞ!」

「「いやいやぁ~。刺激の強い方が、重症のまっつぁんにはいいかなぁ~って!腰抜かしちゃう位がさ~あ~!」

「お望み通り腰抜かしたよ!この馬鹿!」

 電話越しに思いっ切り怒鳴り付けるも、シャノンではなく、いつもの様に『まっつぁん』と呼ばれている事に、ホッと安堵する。

「そんな事より、お前何で昨日も芝居続けてたんだ?」

「「へぇ~?芝居?昨日は普通にジェイドとしてぇ~、オフ会を楽しんでただけだよぉ~!ほらぁ、その場のノリってーのがあるじゃん?一人だけリアルに会話しても、空気悪くするだけだしぃ~?俺っち空気読める男だから!」

 拍子抜けする貴志の回答に、祐一郎は軽く殺意が湧くも、今は抑え肝心な事を聞く事にした。

「それより、昨日あの後どんな感じだったんだ?召喚とかって、やっぱやったのか?」

 質問をする祐一郎に対し、逆に貴志が質問をして来る。

「「それよかまっつぁんさぁ~。なして昨日いきなり帰っちゃったのぉ~?皆驚いてたお?」

 祐一郎は顔をムッとさせると、「質問しているのは俺だ。」と恨めしそうな声で言った。

「昨日俺が帰った後の、詳細を話せ。詳しく!事細かく!」

 怒りながら言うと、貴志は思い出しながら話して来た。

「「ええっとぉ~。確かまっつぁんが捨て台詞してった提案が採用されてぇ~。皆で呪いの魔術をやったかなぁ~。」

「呪いの魔術?って事は、怪我させるとかそう言う話は?」

「「あ~。それなら呪い掛けるから、必要ナッシングーって事になったお。」

 貴志の言葉を聞き、祐一郎はホッと安堵する。

「それで?」

「「そっからカラオケで歌いまくってぇ~、もうめっちゃ盛り上がって!アリスたん歌上手いのぉ~!」

「・・・それで?」

「「皆で連絡先交換し合ってぇ~。二次会のネカフェ行ってぇ~。超~本格的な召喚魔法ってぇ~の?あれやって来たよぉ~!アリスたんが、道具沢山持って来ててさぁ~。まっつぁん帰っちって、損したよぉ。」

「アリスが?あぁ・・・そう言えば、やけにデカイ鞄持ってたな。大きな魔方陣描いた紙も、アリスが持って来てたし・・・。」

 祐一郎は少し考え込むと、今度は解散後の事を聞いた。

「確か二時で解散だったよな?電車無くて、皆どうしたんだ?」

「「あぁ~女性陣は皆帰っちったよぉ~?マロンたんは近くの友達の家泊まるっつって、アリスたんは、親が迎えに来るとかでぇ~。ま、アリスたんはまだ高一だしねぇ~ん。その後俺、大変だったんだから~。ギルドっちから、散々訳分っかんない話し聞かされてさぁ~。数値的な何やらがどうとかってぇ?ギルドっちの熱弁聞いてる内に、俺寝ちったよぉ~。」

「そうか・・・。って事は、三人とも桜さんにメールする事が出来たって事か・・・。でもギルドは途中まで、貴志と話をしてたからな・・・。それ以前に、どうやって桜さんのメアド知ったんだ?」

 ブツブツと独り言を言っていると、それを受話器から聞いていた貴志は、不思議そうに尋ねて来た。

「「桜ちゃんが、どうかしたのぉ?」

「いや・・・桜さんに悪戯メールしてる奴が、俺達のメンバーの中に居るみたいなんだよ。七人目のエージェント・・・とか名乗って。」

「「桜ちゃんにぃ?どってぇ~?」

「なっ!」

 すっ惚けた事を言う貴志に、祐一郎はまた受話器越しに怒鳴り付ける。

「お前が六人目のエージェントって事にしてくれって、頼んだからだろーがっ!あいつ等がガチで信じてるせいで、桜さんとこにトバッチリが来てんだよ!この馬鹿っ!」

「「えぇっ?ちょっちょっ・・・ちょっと待ってよまっつぁん!そりは無いってぇ~!だって俺、オフ会の打ち合わせん時に、事前にまっつぁんを騙す為に、アレンって名前で六人目のエージェントのフリして貰う人が居るからぁ、よろしくぅ~って皆に伝えたんだよぉ~!」

 驚きながら言って来る貴志の言葉に、祐一郎も驚いてしまう。

「はぁ?何だよそれ?じゃあ、皆して俺の事騙してたって事かよ?」

「「いや・・・ち~っと違うかなぁ~・・・。正確にはぁ~、アレンって名前の六人目のエージェントが現れるけど、それはまっつぁんを喜ばせる為の、偽物エージェントだからぁ~、皆話し合わせてね、的な?進展無くて、まっつぁんが落ち込んでるから、サプライズ的な感じでぇ~って、個人宛メール使って言ったのよぉ~。ほらっ、皆の夢も壊しちゃ不味いっしょ~?」

「え・・・?じゃあ、皆アレンは偽物だって、知ってるって事か?」

「「そうだよぉ~。だから桜ちゃんも、一時の事だからオッケェーしてくれたんだし~。」

 貴志の話を聞けば聞く程、祐一郎は益々分からなくなった。

 他の三人が本気で信じているかどうかは別としても、貴志の話からすれば、三人はアレンが偽物だとちゃんと分かっているはずだ。となると、第三者か誰かの仕業か?とも考えたが、殺害対象の名前が、二人は昨日祐一郎が適当に挙げた名前だ。それは昨日居たメンバーしか、知らないはず。メンバーが他の者に話す可能性も有るが、もし本気で信じているのであれば、言わないだろう。何より言った所で、「誰それ?」と言われるのがオチだ。

 そうなると、やはりメンバーの内誰かが、アレンを本物のエージェントだと思い込んでいる可能性の方が高い。

「なぁ、ギルドとは、何時位まで話してたんだ?その時パソコン、イジってたか?」

「「ギルドっちと?えぇ~とぉ・・・。確か三時時過ぎ位かなぁ~?数字が一杯出て来る話しだったから、もう子守唄みたいで眠くて眠くてぇ~。ずっとパソコンで実演ってぇ~ヤツ?しながら話し聞かされたよぉ~。」

「三時時過ぎって事は・・・メールは出来ないな。パソコンも別の事で使ってたみたいだし・・・ギルドは違うか・・・?アリスが言ってた巨漢男だけど、そいつの名前は挙がったのか?」

「「あぁ、マロンたんが聞いたら、アリスたん話してたよぉ~。えっとぉ~確か・・・大野何とかってぇ~人。アリスたんの店の常連さんだってぇ~。ギルドっちも見た事あるって言ってたぁ~。」

 祐一郎は、桜から携帯をもう一度借りると、バゼルフからのメールを見て確認をする。

「大野浩二か?」

「「あぁ~そうそうっ!そんな名前ぇ~!」

「って事は・・・やっぱりメンバーの中の誰かだ・・・。」

 ボソリと呟くと、桜は不安そうな顔をして聞いて来た。

「祐一郎君、犯人分かりそうなの?」

 祐一郎は携帯を一度耳元から外すと、桜の方を向いた。

「え?あぁ・・・まだ・・・。でもメンバーの中の誰かなのは、間違いないよ。ちょっと待って。」

 そう言うと、また携帯を耳に翳す。

「貴志。お前から見て、アリスとギルドはマジで信じてるっぽかったか?」

 祐一郎の質問に、貴志は少し考えてから答える。

「「そうだねぇ~・・・。ギルドっちはどっちかってぇ~と、半々って感じだったかなぁ~。アリスたんは、超~楽しんでたお。ありゃ相当のオカルトオタクだねぇ~!道具とか高そ~なの、一杯だったしぃ~。マロンたんはいいの?」

「あぁ・・・高野さんは、一昨日話して知ってるから。常識は一応ちゃんとある子だよ。信じてはいるみたいだけど。」

「「そうなん?」

「って事は、一番怪しいのはアリスだな・・・。貴志、全員の連絡先、俺にメールで送ってくれないか?」

「「オッケェーオッケェー!んじゃ、俺っちこれ切ったら寝直すからぁ~。桜ちゃんに謝っといてねぇ~ん。」

 能天気に言って来る貴志の声に、祐一郎は深く溜息を吐いた。

「お前のせいなんだから、お前がちゃんと謝れよ・・・。てか、また忘れんなよ!ちゃんとすぐにメールしろよ!」

 祐一郎は何度もすぐにメールするように念を押すと、貴志は「オッケェー!」と言い、電話を切った。

 祐一郎は不安な顔をしている桜に、少しでも安心をさせようと、笑顔で言う。

「桜さん、犯人分かりそうだから、大丈夫だよ。」

「本当っ?よかったぁ~祐一郎君に相談して。またメール来たらどうしようかと思って・・・。でもきっとまた来るんだろうなぁ・・・。」

 そう言うと、一瞬笑顔になるも、また暗く顔を沈ませてしまう。

「あぁ・・・ほら、メールは取りあえず無視すればいいよ。」

「そうだけど・・・。正気とは思えないのよ!だって相手は変な妄想抱いちゃって、それを信じてるんでしょ?もしかしたら、直接私の所に来て『殺せ』とか言って来るかも!どうしよう!そしたら私どうしよう!」

 またも興奮し出す桜を、祐一郎はなんとか宥めようとする。

「えっと・・・大丈夫だよ!桜さんの顔は、俺と貴志しか知らないんだし!」

「でも貴志君馬鹿だから、ポロッと私の写真とか他の人に見せちゃったら?嫌っ!そしたら私が逆に殺されちゃうかも!嫌よ!まだバージンロードも歩いて無いのに!純白のドレスに袖も通してないのにぃー!」

 そう言って泣き叫ぶと、また祐一郎に抱き付いた。

「ああぁぁー!だから大丈夫だってぇー!一々抱き付かないでよ!大体、そんなにそう言う奴等が怖いんなら、何で貴志のお願い聞いたりしたんだよっ!」

 祐一郎は顔を真っ赤にさせながら叫ぶと、途端に桜は恥ずかしそうに、モジモジとし始める。

「それは・・・そのっ・・・。貴志君から写真見せられた時・・・。可愛いからいいかなぁ~って・・・。」

 桜の言葉を聞いた祐一郎は、一気に顔をうんざりとさせた。

「小夏の遺伝子が・・・最悪なもん釣りやがった・・・。」

 祐一郎からは、自然と大きな溜息が零れてしまう。

 しかし元を辿れば、自分が変な妄想を抱き立ち上げた、『闇の使者』のせいで、桜を巻き込んでしまっているせいも有る。桜だけでなく、他の三人もだ。ここは責任を持って、全員救ってやらねば!とまた別の使命感を抱くと、祐一郎は何かいい方法は無いかと考えた。

 ふと美雪に言われたアドバイスを思い出すと、取りあえずは桜の身を守る為には、いいかもしれないと思い付く。

「桜さん。取りあえずは、まだアレンのフリをしていた方が、安全かも。俺も昨日の会合の時、今まで通りシャノンのフリをして参加したし。」

「アレンのフリ?またあんな恥ずかしいセリフとか、言わないといけないの?」

「えっと・・・セリフは置いといて。アレンは極秘エージェントって事になってるから、適当に掲示板に、それらしい事をたまに書き込むだけでいいよ。次の召喚日は、来月の六日だから、まだ日にち有るし。それまでに、俺が犯人見付け出すからさ。」

 祐一郎の優しい言葉を聞いた桜は、目に涙を浮かべながら、祐一郎の手を取りギュッと握り締めた。

「ありがとう、祐一郎君!お礼に何でも言う事聞いてあげるから!メイド服でもナース服でも何だって着るわ!」

 感激をしながら言って来る桜の言葉に、祐一郎の顔は軽く引き攣った。

「桜さん何か勘違いしてない?」

「それで?私何て書き込めばいいの?」

 手を握り締めたまま聞いて来る桜に、祐一郎は恥ずかしそうに、そっと手を放してから言った。

「えっと・・・取りあえず、敵組織はまだ、ラグナロクを自発的に引き起こす事は無いとか。今はまだ実験段階の様で、完成しきれていないとか、他のメンバーを刺激しない様な事がいいんじゃないかな?」

「あぁ・・・そっか。そうよね。敵に動きが有る様な事言うと、また変に盛り上がっちゃうし、そうね。何か、よくは分かんないんだけど、七人目とかって言ってメールして来てる人は、私にしか七人目の存在を教えていないみたいなの。」

「え?そうなの?」

 祐一郎は携帯からサイトにアクセスをすると、掲示板とチャットルームを見てみた。

「本当だ・・・。掲示板にも載ってないな。チャットでも、そんな話し出て無いや。個人宛メールでも使ったのか?」

「個人宛メール?」

 不思議そうな顔で尋ねて来る桜に、祐一郎は「あぁ・・・。」と説明をする。

「サイトを通して、個人的にメールを送れるんだよ。メアドとか知らなくっても、内緒話が出来る様に。この掲示板サイト、登録制だから。どのサイトにも有るでしょ?」

「あぁ・・・あれね。そう言えば、私も貴志君に教えて貰って登録したっけ。私あんまり使った事無いから、気付かなかったけど・・・。どうして私の携帯に、直接メールしてくるのかしら?」

 そう言って悩む桜の姿を見て、確かに―――― 。と祐一郎も思った。

 と、祐一郎の携帯に、貴志からメールが届く。中を開いて見てみると、先程頼んでいた、他の三人の連絡先だ。

「おっ、ちゃんと忘れずにメールしたな。」

 少し感心をすると、全員の連絡先を電話帳に登録をする。

「あっ!桜さんの連絡先もいい?何か有ったら、すぐ連絡取れる様に。」

「あぁ、うん。そうね。」

 連絡先を交換し合うと、心成しか桜は嬉しそうな顔をしている。そこは見なかった事にし、祐一郎はこれからの事を話した。

「取りあえず、三人の中で一番怪しそうなのは、アリスなんだけど・・・。一度アリスと二人だけで、話してみるよ。昨日はあんまり個人的に、話しが出来なかったし。」

「アリスって・・・何かやたらと『ニャ』とか付けてる、痛々しい子?」

「痛々しいって・・・桜さん何気に俺等オタク人種毛嫌いしてるでしょ・・・。」

 恨めしそうな顔で言うと、桜は苦笑いをした。

「そっそんな事ないわよっ!ちょっと・・・怖いだけよ。本当よ?」

「まぁ別にいいけど・・・。確かメイド喫茶でバイドしてるって言ってたから、貴志に頼んで場所聞いて貰うよ。って・・・多分貴志ならもう場所聞いてそうだけど。」

「嘘ヤダっ!そんな未知の場所でバイトしてるの?そっ・・・そんな危ない人達の溜まり場に行って、祐一郎君・・・大丈夫なの?」

 引き気味ながら不安な表情を浮かべ言って来る桜に、祐一郎の顔はムッと不機嫌になってしまう。

「悪かったな・・・未知の場所に行く危ない人で。」

「え?行った事有るの?そうなの・・・?」

 無言で睨む続ける祐一郎に、桜はしまった―――― 。と思い、慌てて苦笑いをしながら言い訳をする。

「あぁー!高校生なら、皆興味有るものねぇー!一度や二度位、誰だって行った事あるわよねぇー!あっ!私の大学の友達も、行った事あるって言ってたわ!」

「いいよ別に無理して合わせなくても!てか桜さん、昨夜駅のホームで見掛けたけど、何してたの?」

 不貞腐れた顔で言うと、桜はキョトン、とした顔で答えて来た。

「え?私昨日は友達と合コンに行ってたけど・・・。ロクなの居なくて早く帰ったのよ。見掛けたの?同じ場所で遊んでたんだ。」

 それを聞いた祐一郎は、要らぬ心配をして損をしたと思い、「合コン厨。」と憎しみを込めて言い放った。


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