二日目~雫と仲間~
「えと、今日くらいは、私の家に泊まってください」
ココロは、おどおどと提案した。歩きながらだから、転びそうで心配だ。
「いいの?」
「私の家族も、月獣になりましたから・・・」
そう言って俯くココロ。やば、地雷踏んだ?
「・・・この先にも、月獣は沢山いるんだろ?」
タイムが言った。ムトが頷く。
「うん。そうだけど・・・でも、大丈夫でしょ?その刀があるなら」
ムトはそう言うと、あたし・・・と言うより、常闇剣を指差す。
「・・・まぁ、そうだけど」
実際、勝利条件は楽だ。相手の身体の何処かに刃を差し込むだけだ。
「こいつはあまり身体能力がないし、俺のフォローが無いと死ぬ可能性だってあるからな」
タイムが皮肉交じりにそう言った。
「なっ・・・!!」
あたしはちょっとイラッと来たので、あの日のことを言ってやった。
「あれぇ?そう言って会った日に月獣に吹っ飛ばされたのは誰だっけ・・・?」
「おまっ、それ言うなよ!!」
慌てるタイム。ムトがニヤリと笑った。
「へぇ、そんなことが・・・」
「ああああーっ、ムト、お前何考えてんだよ!!」
珍しくタイムが叫んだ。それも顔を真っ赤にして。
「あははっ、顔真っ赤!」
「て、てめっ・・・」
タイムが摑みかかろうとした時。
「あ、つきました」
ココロが指をさした。ココロが指差した場所は、小さい家だった。
「わ、可愛い」
「そうですか?そんなことはないと思いますけど・・・」
ココロは扉を開けて案内する。
「月獣はいないみたいだな」
「ふふ、動物対策してありますから」
動物対策って・・・それって、効くのかな?
「人間も理性がなくなればただの動物です」
そう言って黒い笑みを見せるココロ。
「そ、そーなんだ」
「はいっ」
「あ、ご飯どうしよう?」
「うーん、ここはほぼ自給自足の国ですから・・・あ、でも」
ココロは冷蔵庫を開けてみた。
「あ、今日と明日の朝ご飯くらいなら足りそうです」
「そうか。良かった」
タイムはそう言うと、椅子に腰掛けた。
「さて、これからの話だが・・・」
ムトとココロ、あたしもそれぞれ空いている席に座る。
「旅は、僕とタイム、シズクちゃんは決定だよね」
ムトはそう言ってココロを見た。
「ココロは、どうしたい?」
「私は、皆と一緒に行きたい」
案外あっさりと答えを出した。てっきり迷うと思ったのに。
ムトは微笑んだ。
「じゃあ、一緒に行こう」
「・・・!!はい!」
タイムも頷いた。
「ここにいれば、月獣に襲われる可能性だって充分にある」
「そうだよ!ココロが襲われてると思ったら、月大王に集中なんてできないよ!!」
「皆さん、ありがとう」
ココロは微笑んで、ぺこりとお辞儀。
その夜は、とても幸せなものだった。
楽しくて、楽しくてしょうがなかった。
いっそ、この出来事を忘れてしまいたいくらい。
でも、朝が来た。
はい、今回で、2日目は終わりです。
短い?気にしないで下さい・・・(汗
次は3日目です。またぐだぐだと話ながら旅を進めます。
ちなみに言うと、また新キャラを出す気まんまんです。
ファンタジーは楽しいけど難しいですね。頑張ります!!
では、3日目に会いましょう。