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  作者: 明夢 優深
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七日目~雫と最後~

『ここは?』

「常闇剣の世界。闇の世界だよ」

あたしはそう言いながら常闇剣を見た。

あの怖いくらい黒かった刀は、今は真っ白になっている。

「月獣の中にあった『闇』を全部放出した。あたしとアンタが死ぬのも時間の問題ね」

『小娘貴様、吾と相討ちにでもなろうというのか!!』

「そうでもしなきゃ、倒せないでしょ?」

あたしは笑うと、常闇剣を一振りした。


「じゃあ、やろうか。最後の勝負を」

タンッ、とひと蹴りで間合いを詰める。

『・・・ッ!!』

斜めに切り込むと、月大王の胸から腹にかけて大きく切り口ができた。そこから血が溢れ出る。

『このッ、愚劣な小娘がああああアアアアアアアッッッ!!!!』

月大王はその両手をあたしの首にかけた。押し倒される。

「ぐっ・・・」

『吾に手を煩わせるとは!万死に値するぞ!小娘エエエエエエエエ!!!!』

先ほどまでの余裕は月の彼方へ消えたのか、月大王の激昂は半端なく別人だった。

いや、本性とでも言っといたほうがいいのかな。

「悪いけど、ここじゃあたしは無敵だよ」


昨日、鏡であたしの眼を見たとき。

白い瞳に黒い角膜。それを見た瞬間。


月獣みたいだ。


そう思った。

それと同時に、ある事にも気づいた。


「今のあたしは月獣同然だ。なんせ月獣全員分の『闇』を受けてるからね」

『ふっ、ヒトから獣に成り下がったか、小娘』

ギリギリと、あたしの首を絞める手。胸から滴る血が、あたしの顔にあたる。

「でも、今のあたしの味方は『闇』だよ。皮肉にも、ね」

そう言いながら、月大王の片手をガシリと掴んだ。


ゴキッ


『ぐああああああ!!』

簡単に力を込めただけで、月大王の腕が折れた。

「やっぱり、ほら。今のあたしは――ただの獣だ」

にい、と笑うと、発達した犬歯―今は牙―が覗いた。

『小娘に負ける王ではないわあああああ!!!』

「じゃあ、やっぱり決着つけないと・・・ね」

不意に襲う痛みに耐えながら起き上り、常闇剣を構えた。


多分これが最後。

あたしの、最期。


「・・・みんな、ありがと。楽しかった」


『小娘えええええええええええええええええ!!!!!』

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」


ふたりの攻撃が交わった瞬間、


世界が光に包まれた。




皆でシズクの元へと駆け寄った。

そこには、半分灰と化した月大王がいた。

『吾の勝利は絶対・・・吾は不老不死を、もう少しで・・・』

「・・・貴方の負けです、月大王。貴方の時代は、もう終わりです」

「おの・・・れ・・・小娘・・・呪って、や・・」

サラサラと、月大王が完全に灰になって、風に吹かれて消えた。

「・・・シズクちゃんは」

「いない、ね」

「シズク・・・!!」

俺たちが哀しんでいると、ゼロが俺たちに言った。

「シズクがいなくなってしまったのは悲しむべきことだ。でも、僕らはそれを乗り越えてやらなきゃいけないことがあるだろう?」

「アンタ・・・!実の妹が死んだんだぞ!!?哀しくないのかよ!!」

「哀しいに決まってるだろ!!!」

俺が掴みかかると、ゼロが声を荒げた。

「でも、いつまでも泣いてたら、シズクが頑張った意味がないじゃないか・・・!!だから、今じゃなくて、この世界が、もう一度きちんと建て直ったら、シズクの事は大声をあげて泣いてやろうじゃないか」

「・・・はい」

ココロが涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔で言った。

「僕たちは、シズクのことは忘れちゃいけないね」

「・・・ああ」

俺は空を見上げた。


気が付けば、そこには紫色の月がかかっていた。


・・・ありがとう、シズク。


シズクと月大王の決着がつきます。


あと一話で終わります。やっつけ感たっぷりでごめんなさい。

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