表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 明夢 優深
25/27

六日目~雫と決戦~


六日目。藍色の月がのぼる頃。

あたしたちは、二日前にいた場所へ再び赴いた。

だが。

「・・・なに、これ」

そこは、荒廃しきっており、城だけが不動のものとなっていた。

瓦礫と隆起した地面、乾いた土地がそこにあった。

「・・・」

兄ちゃんは哀しそうに帽子の縁に触れ、くいっと顔を隠した。

「・・・酷いものだね」

ムトが呟く。

「月大王・・・!!」

タイムが握り拳を深く作り、憎み声で言った。

「行こう、皆」

『その必要はない』

また、あの声が聞こえた。

「!!」

『吾の眠りを妨げるとは、そんなに死に急ぐか』

と、そこには実体の。

「月大王!!!」

『大夢、夢人』

月大王が二人の名前を呼んだ。

『吾に刃向うとは、真に哀れな子供たちよ。どうすることも出来ないのに』

「煩い!」

「俺らは、負けるわけにいかねぇんだよ!!」

『・・・来い、貴様たちに絶望を味あわせてやる』

そう言って、月大王が杖を振るおうとした。

「させないっ!!」

あたしは常闇剣を振るった。

その瞬間、斬撃が波動に変わり、月大王へと向かっていった。

『・・・!』

月大王の少し驚いた顔。そして不気味に口を歪ませた。

『小娘・・・面白い。興が乗った。貴様の相手をしてやろう』

月大王は杖を持ち、あたしの方へ向けた。

『吾を精々楽しませることだな』


杖が軽く振られ、しわがれた声で唱えられた。

『地獄の火焔《ヘル・バーナー》』

その瞬間、地割れの間からマグマが噴き出た。


「ッッ!!」

タイムが思わず腕で顔を覆い隠した。

「わ・・・『我に鎮静の水を、我が本に雨を宿せ』!」

ココロの下に蒼い魔方陣が描かれ、その光が天にとんだ。

次の瞬間、豪雨があたし達を襲った。

『ほう・・・小娘、魔法が使えるのか』

月大王は興味深そうにココロを見遣った。

途端に肩を大きく震わせるココロ。それを見た瞬間、ムトがココロの顔を隠すように庇った。

「ムト君・・・?」

「月大王、彼女に手を出したら、僕は貴方を一生恨み続ける」

『・・・? ああ、ムト。女に興味を示さなかったお前が・・・ほう』

薄く笑う月大王に、ムトが少し怯えているのがわかった。

「・・・ッ、月大王、お前の相手はあたしだっ!!」

さっきやったように常闇剣の大きく振った。

黒い斬撃が月大王に当たる。

『ぐあっ・・・』

攻撃をまともにくらい、少し後退する月大王。

「効いてる・・・!」

『小娘、吾に血を流させるとは、そんなに死にたいのか』

月大王が流れた血を眺めながら嗤った。

「死にたいわけないでしょ!あんたを倒すんだから!!」

あたしは叫んだ。それを皮切りに、激しい攻防が始まった。

あたし、ココロ、ムト、タイム、兄ちゃん。

五人でようやくまともに相手取れる、といった感じだ。


月大王、やっぱり強い・・・!


『まだだ、まだ吾を楽しませろ・・・!』

「くそっ!」

タイムとムトが同時に攻撃するも、頑丈なバリアで防がれる。

「『我に裁きの光を、我が本に滅びを宿せ』!」

「補助魔法『攻撃増加』、対象、ココロ」

ココロの魔法と兄ちゃんの補助魔法で月大王に攻撃する。月大王の攻撃と相殺し合って消えた。


「・・・このままじゃやばいね。魔力を無駄に消費するだけだ」

兄ちゃんが言う。確かに、このままじゃ皆で共倒れだ。

「あたしがやる!皆は下がってて!!」

言いながらあたしは月大王の元へ走った。

「こっちだ!」

『ほう、吾と独りで挑むか。面白い、乗ってやろう』

月大王はあたしの後を追うようについてきた。

「シズク!!!」

タイムが叫ぶ声が聞こえた気がした。


『・・・さて小娘、独りで吾に勝てる算段でもあるのか?』

「あるよ。これで」

そう言って常闇剣を目の前に翳した。

『ろくに上手く扱えないのに、か?』

月大王が嗤った。

「・・・それは、皆が一緒だったから」

『・・・?どういうことだ』

「皆も巻き込んだら、元も子もないでしょ?」

あたしが言うと、月大王は理解したかのように笑った。

『成る程。本当はお前、その剣の本来の力を出していないんだな?』

「ご名答。どうなるかはわからない。けど、あんたの事は倒せるよ」

笑って言うと、月大王が面白そうに笑った。

『いいだろう、来い、小娘!!』

あたしは目を閉じて、常闇剣を構えた。

そして、ゆっくり目を開ける。

視界は黒。オールオッケー。

剣に込めた力を更に強くした。


―――いくよ、常闇剣。


次の瞬間、辺り一面が黒い闇に包まれた。



「・・・あれは?」

「黒い・・・丸?」

「闇、のようだね」

ゼロさんの声に全員がハッとする。

「もしかして!」

「おそらく、常闇剣の溜めていた『闇』が、一気に放出されたんだ」

「シズクちゃんも、あの中に!?」

「きっと」

ココロが心配そうに、胸のあたりで両手を握りしめた。

「シズク、死ぬなよ・・・」

タイムが辛そうに言った。

「・・・シズク」

どうか、無事で。


六日目、諸事情によりこの一話のみになります。


最終決戦、物語ももうすぐおわります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ