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  作者: 明夢 優深
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五日目~雫と友達~


今日は、最後の休日だ。

これが人生最後の休みになるかも知れないし、最期じゃないかもしれない。

でも、あたしの目の見える、最後の風景になるかもしれない。

だから、今日はめいっぱい楽しむことになった。

「『幸せの国(ハッピーランド)』には遊園地があるけど、行くかい?」

兄ちゃんの提案だった。翌日に国王に攻め入ろうと考える人のセリフじゃないことは確かだ。

「うーん、それもいいですけど、私はちょっとのんびりしたいです」

ココロが言う。人混みを嫌う彼女らしい意見だとあたしは思う

「僕はどこでもいいけどどちらかと言えばココロに賛成だな」

ムトが穏やかに言う。彼は優しいけど優柔不断だと思う。

「俺もどうでもいい。・・・シズクは?」

タイムに話を振られて我に返る。

「あ、あたし?うーん、そうだな・・・」

あたしはすこしばかり悩む素振りを見せて、

「家でごろごろしよっか」

提案した。

「ほら、やっぱり!みんなでお話ししましょうよ!」

ココロが両手を合わせて嬉々として言う。

「お話?・・・まあ、いいけど」

タイムは少し不服そうだ。

「どうかした?タイム」

「あーいやー・・・、そう言えば皆でこーやって世間話とかしたことねーなあ、って思って」

床に胡坐をかいて座るタイム。あたしもつられて座った。

「じゃあ、待っててくださいね!今お菓子とお茶用意してきます!」

「あ、じゃあ僕も行くよ」とムト。ココロは嬉しそうだ。

「・・・悪いけど僕は用事があるから。四人で留守番よろしくね」

そう言って、兄ちゃんは出かけて行った。


「お待たせしましたー!」

ココロとムトがお盆にお茶とお菓子を乗せて持ってきた。

「ジャスミンティーがあったので、それと、クッキーとパウンドケーキです!」

床にそれらを置きながら楽しそうに言うココロ。あたしも笑って、

「おいしそう!!」

なんて言った。

「じゃあ、頂きましょう」

ココロの言葉に合わせて、各々お菓子に手を伸ばす。

「お、これうめぇ」

「そうだねー」

「あ、ムト君、お茶のおかわりいりますか?」

「うん、お願いしようかな」

そんな言葉が飛び交っていって、いつの間にか本当にただの世間話・・・いや、馬鹿話をし始めた。

「でさ、こいつ幻獣前に気絶しそうになってんの!」

「個人的にはその幻獣のセリフが凄く気になるね・・・」

「タイムだって驚いてたくせに!」

「二人とも仲が良くて羨ましいです・・・」

「仲良くない!」

声が重なる。思い返せば、タイムとは言い争ったりはしなかったなぁ。喧嘩じみたものはしょっちゅうだったけど。

「私、ずうっと本が友達で、憧れだったんですよね、何でも言えて、笑いあえる友達って」

ココロが満面の笑みで言い放った。私たちはそれに何故か笑って、

「何言ってんの、もう皆友達にきまってるじゃん!」

「まあ、お前には所々で助けて貰ってるしな。仲間なのは確かだよ」

「素直じゃないなあ、タイムは。・・・僕は、ココロがいてくれてとっても助かったけどな」

「つまり、ココロ!」

あたしはココロの肩をポン、と叩いた。

「あたし達は友達だ!何があっても、どんなことが起ころうと、絶対友達だからね!」

その言葉に何を思ったのか、ココロは泣いていた。

「え、ココロ・・・!?」

「ありがとうございます。私っ、うれしくて・・・」

えへへ、と照れ臭そうに笑いながら涙を拭いた。

「ココロ・・・」

あたしはそれを見て、言葉に詰まる。

「大丈夫だよ、これからも、できる!」

確証のない言葉ではあるけど、でも、これしか言えなかった。

「あたしが死ぬなんて決まってるわけじゃないんだからさ!」

わざとらしく声を明るくして言うと、ココロは口をポカンとあけてこっちを見て、数秒固まった後、

「・・・そうですね、そうですよね!」

と、明るく言った。

「そうだよ。そんなのまだわからない」

ムトが笑顔で言う。

「そんな辛気臭ぇ顔してねーで、続き続き!」

タイムが急かす。あたし達はまた、まるで戦いの前に出会っていた友達のように笑いあった。


ほのぼの回。五日目は短いです( ノД`)


ジャスミンティーを出したかっただけだったり\(^o^)/

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