一日目~雫と刀~
一通り買い物を終わらせたので、さっさと家に帰ろうと歩き出した。
帰り道、不思議な男の子に出会った。
黒髪で、綺麗な眼だった。思わず見惚れていた。
男の子はそれに気付いたらしく、こっちに近づいてきた。
「・・・何か用?」
男の子の声。ちょっとだけ高めの声変わりした声だった。
「え、いや、あの・・・なんでも、ないです」
「じゃ、なんで見てたの?」
「え、えと、その・・・」
アタシは口をごにょごにょさせて、男の子を見上げた。当然だけど、アタシよりデカイ。
「・・・まあ、いいや」
男の子はそう言うと、アタシにこう言った。
「・・・・・・今日の24時、絶対に外に出るな。月の光が当たる場所にいるな。いいな?」
「・・・・・・・・・・・え?」
アタシはひとつ瞬きをすると、その子はもういなかった。
「なんだったんだろう・・・??」
アタシは、男の子が最後に言った言葉に疑問を持ちながら家へと戻った。
夜。月の色は藍色に染まっていて、村の人々は宴を楽しんでいた。
アタシは、昼間の男の子の言葉と、月の気味さで、あまり乗り気ではなかったので、
大地主(月祭はその村、もしくは国で一番家が大きい金持ちの家でやることになっている)の家を探索していた。
母さんには「失礼のないようにするのよ!」なんて言われているけど、こう言う大きな家は、子供の探求心を刺激するのにはもってこいの場所だった。
「うわー、この部屋ひろー・・・」
なんて言いながらあちこちを歩いてみると、ふと足が止まった。
「あれ、なんでここだけ襖なんだろ・・・。他の部屋はドアなのに・・・」
そう呟いて襖に耳を当ててみた。誰もいなそうだ。
「お邪魔しますよ~・・・」
呑気にそう言って、襖を開けてみたら、そこは大きな畳の部屋だった。
「うわっ、広い・・・アタシの部屋の6倍はあるんじゃ・・・」
なんて言いながら少し進んでみると、刀が置いてあった。
刀の方まで歩みよって見ると、夜だと絶対にわかんねえよ!って位に黒い鞘と柄と鍔。
ごくり。と生唾を飲み込んでしまった。
「・・・」
恐る恐る刀に手を伸ばす。と、
「誰だ!!!」
と、大きな声。
ヤバッ、バレた!!?
アタシは反射的に後ろを向いた。そこにいたのは・・・
「昼間の男の子!!!」
「・・・?」
そう。昼間に謎の言葉を残したあの男の子が、アタシの目の前にいる。そっちは気付いてないみたいだ。
「!!お前、その刀!!」
男の子はビックリしながらアタシが持っている刀を見た。
「それを、俺によこせ!」
「え、何で!?」
これはあんたの物じゃないでしょーが!!
「いいから早く、早くしないと・・・!!」
男の子はアタシが持っていた刀を奪おうとした。アタシはそれを死守する。
そんな子供の玩具の取り合いみたいなのを続けていると、
カッ!!!!!
見たことのない光が、アタシ達を覆った。
はい、第2話です。
今回は、男の子と刀(人物か?)が出てきました。どっちも重要です。
私の物語の場合、「~話」ではなく「~日目」とかが多いです。
それに、これの場合、「1日目」=第1章です。
だから、この話は、第1章の第2話ってことです。
ややこしいけど、結構ありがちでしょ?
まぁ、そんなのも踏まえて適当に見てください。
次は、第1章の第3話であいましょう♪