四日目~雫と黒~
「ココロ!」
「シズクちゃん!タイム君!」
あたしとタイムの方は片付いたけど、なんだこれ!?
「さっき嵐が起こったから心配して急いできたんだけど・・・」
どうやら原因はココロの魔法だったので安心した。
「・・・クロ」
「タイム様・・・お久しぶりです」
クロ、と呼ばれた男の人。あたしたちと同じ軍服を着ているけど、胸元には勲章が刻まれていた。
「・・・タイム、この人は?」
「俺らのガキの頃の教育係兼軍隊隊長」
「すごっ」
そんな人が今、目の前に!?
「・・・お前が、常闇剣の保持者か」
「そうだったら、何」
ギロリと睨んでみせると、鼻で笑われた。
「まだ子供じゃないか。しかも女とはな」
(こんな子供が保持者とはな・・・)
「子供でも女でも、ここまできたんだ」
シズクはそう言って、常闇剣を突き出した。
「あたしは負けない。アンタにも、月大王にも!」
「・・・やれるものなら!」
クロの合図で月獣が一斉に襲ってくる。
「はああああっ!!」
それに常闇剣で応戦する。
そんな戦いが続いていた。
「・・・ハア、ハア」
雨が降り続いている。雷も突風も続いている。
続かないのはあたしたちの体力。そしてもう一つ続くのは、この戦いと、月獣の大群。
「月獣っ、なんで減らないの!?」
「もしかして・・・」
ムトがハッとする。それから、さっき倒した月獣を見遣った。
「・・・やっぱり」
「なに?どういうこと!?」
「さっきから、月獣は一般人を使っているんだ」
「!!?」
「軍の兵士にも限りはあるし、おそらくもうほとんど全員が月獣になってしまったんだろうと思う」
「そんな・・・」
ムトの言葉に愕然とするあたしたち。
「ふっ、そういうことだ。諦めろ、小娘」
「諦めるのは君だよ、クロ?」
「!!!」
クロの後ろには兄ちゃんがいつの間にかいた。
「・・・ゼロ、貴様裏切っておいてなんのつもりだ」
「裏切った?裏切るも何も、君たちと結託すらしてないよ」
ふふん、と鼻で笑った兄ちゃんは、相変わらず余裕そうな顔をしていた。
「ていうか兄ちゃん、いつのまにいなくなってたの!」
「僕は戦闘向けじゃないし、若さ溢れる子供達に任せて、一人内部潜入してたんだよ」
右手に持っている杖をぐるぐる回しながら言う兄ちゃん。
「・・・で、なにをしたの?」
「月獣を作るシステムをダウンしてきた♪」
「!!?あれには厳重な警備がしてあるのだぞ!!」
クロが声を上げた。
「あんなの、僕にかかれば簡単に潜り抜けられるよ」
兄ちゃんは笑って言った。
『今内部は蛻の殻だし、月大王を討ち取るなら今じゃない?」
ふと、雨がやんだ。本が閉ざされたのだ。
「行かせん!」
カチャリ、と拳銃をあたし達に向けた。
「無駄だよ」
兄ちゃんが言った瞬間、クロの手から拳銃が落された。
「!?」
「僕の得意な魔法、忘れたわけじゃないでしょ?」
「くそ・・・クソッッッ!!!」
クロが地面に崩れ落ちた。落ちた拳銃はそのままフワフワと兄ちゃんの手の中に。
「悪いけど、動けなくなってもらうよ」
パアンッ
「ぐああぁっ!」
兄ちゃんはクロの足に拳銃を放った。右足から血が滲み出ていた。
「・・・っ」
ココロは目を逸らして、ムトとタイムはそのままじいっと足を見ていた。
「さあ、みんな、行こう。月大王の下へ」
みんなが頷きかけた時――
『その必要はない』
どこからか声が聞こえた。
連続投稿二回目。クロさん沢山出てきますね!
あと、大事な大事な重要キャラが登場・・・( *´艸)
補足ですが、クロさんとゼロさんは同期で城に入ってきました。
お互いにお互いを気に入ってないので、冷戦状態です(笑)
ただゼロさんはクロさんを弄って遊んだりしてました。そんな関係。






