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  作者: 明夢 優深
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四日目~心と魔法~

「ムト、大丈夫かな」

「大丈夫だろ。アイツは戦闘センスもあるしな」

「ならいっか」

あたしは月獣(つきけもの)を、タイムは兵士を倒していく。

そしてココロは・・・。

「『我に断罪の炎を、我が本に焔を宿せ』」

ココロが持っている本がパラパラと捲られ、あるページが開かれるココロの下には紅い魔方陣があった。

そしてそのページから炎が飛び出し、軍隊を焼き尽くす。

「ぐあああああっ!!」

「ああああっ!」

「熱いッ!熱いいいいッッ!」

焼け焦げた軍人が次々と倒れ、ココロはその光景を哀しげに見つめていた。

「『我に癒しの光を、我が本に奇跡を宿せ』」

ココロがそう言うと、本がまた違うページを開き、白い魔方陣がココロの下に現れた。

白い光が焼け焦げた軍人に降り注いだ。そして、気絶はしているが焼けた痕が消えていくのが分かった。

「え・・・ココロ?」

「・・・殺したら、駄目ですから」

ココロは、唇を噛み締めながら言っていた。

「つーかココロ、いつの間に魔法なんか覚えたんだよ」

敵を倒しながら訊くタイム。ココロも魔方陣を召喚しながら、

「ゼロさんに教えてもらったんです。私の本には魔法の力が宿っていて、私はそれを操る事が出来るって。だから、ゼロさんに基本的な魔法の事は教えてもらいました。それ以外は独学です」

「ココロ、凄いっ!」

あたしは感動しつつ、月獣を斬っていく。

いつの間にか、あたしたちの周りの敵は少なくなっていた。

「・・・弱くない?」

「ああ。・・・なんか、嫌な予感がするな」

「なら、早くムト君の所に行きましょう!」

ココロの言葉を合図に、あたしたちは攻撃を続けた。


「ムト様、お久しぶりです」

「クロ、僕らはこれ以上犠牲を増やしたくない。今すぐ攻撃をやめるんだ」

ムトの持つナイフが、クロの首筋にあたり、少し血が出ていた。

「それはできません」

「何故だ」

「・・・月大王(つきのおおきみ)様の命令は絶対です。いくらご子息でも無理です」

「なら」

ナイフを持つ手が少し強くなった。

「残念だけど、君には死んでもらわないと」

「ムト様」

クロは惑うような目でムトを見つめた。

「何故なのです・・・何故貴方達が、反逆を翻したのですか」

その問いにムトは嘲笑った。

「民を殺して自分は永遠の命を手に入れる・・・それを肯定するのは救いようの無い馬鹿だけだ」

ムトはクロを見つめた。いつにも増して冷たい眼だった。

「私は、月大王様に命を救われた恩義があります」

と、冷や汗を掻きつつクロは言った。

「その恩義を果たす事が死であるのならば、私はそれに従います」

「そんなこと、する必要なんて無いじゃないか」

ナイフの切っ先はクロの喉元。少しでも動くとクロの喉が開かれるような状態だ。

「君はもうあの人に尽くすほど尽くした。もういいだろう」

「・・・ムト様」


「私を早く殺してくださらないのですか」


「・・・!」

ピクリと、ムトの手が動いた。

「幼少の頃、自分と遊んだ男には、やはり情がうつりますか?」

そう言って、彼は微笑んだ。

「だから貴方は甘いのです」


チャキッ


「ムト君!!」

ココロの声と同時に、本から巨大な手が現れた。

それによってムトは守られた。クロの拳銃から。

「・・・ハア、ハア」

溢れ出る憎悪、それから愛する人(ムト)を手にかけようとした怒りがココロの理性を凌駕した。

「貴方ッ!!なんでムト君を殺そうとするのッッ!!」

本を両手に持ち、怒りに叫ぶココロ。

(あの少女が、あの魔方陣を造ったのか・・・)

クロはその本から伸びる巨大な手を見つめながら笑った。

(なら、あの少女を殺せば、月大王様の勝利も目前か!!)

まだ残っている月獣に命令を下し、自分も拳銃を取り出した。

「ムト君、大丈夫?」

ココロは自分の横にムトを置いた。

「ああ、大丈夫だよ」

そう言いつつも心配なのはムトの方だった。

「ココロ、大丈夫?」

「私は平気だよ。ただ、」

すんごい怒ってる。

怒りに震えるココロの肩を、ムトは押さえた。

「!」

「ココロ、僕は大丈夫だよ。だから、理性を失わないで」

「・・・ムト君」

「でも、クロは敵だから・・・」

ムトの表情が一瞬曇った。

「ムト君、私がやるよ。あの人は」

「ココロ?」

ココロは本を閉じた。それと同時に巨大な手も消えた。

「!」

「大丈夫」

ふと、冷たい氷が溶けたような声で呟いたココロ。

「ムト君は、私が守る!!」

叫びと同時に、本が光った。

「『我に天災の嵐を、我が本に雷鳴を宿せ』!」

ココロがそう言った瞬間、ココロの下に黄色い魔方陣が現れた。本から白い光が天に伸び、白雲が黒雲に移り変わり、不吉に雷鳴が轟いた。

次の瞬間、


ドゴオオオンッッ


激しい雷撃と突風、それから豪雨が降り注いだ。

「!!」

突風に煽られ、身を守る事を忘れた月獣達が飛ばされていく。

「雨が降れば重火器は使えないし、この嵐の中じゃまともに身動きもとれません」

ココロが必死そうな顔で言った。それから少しよろめいた。

「ココロ?」

「この技は、ちょっと魔力の消耗が激しくて・・・ごめんなさい」

よろよろと座り込んで、弱々しく微笑んだ。

「私の魔法は、この本を媒体として操っているので、本が閉じられれば、魔法も終わります」

雨に濡れてココロのはねた左右の髪がしなる。ムトの頬にも冷たい水が当たった。


皆様お久しぶりです、復活しました!!(笑)

今回はココロとムトをメインにおいてみました。

というかしばらく書き溜めていたので、この際に一気に放出したいと思ってます( ゜∀゜)

ココロの魔法使い設定は最初からあったんですけど、中々使う場面が見つからず・・・。

このあたりでお披露目です( ´∀`)

ココロを主人公にした外伝でも書こうかな・・・とか思ったりしてます。

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