四日目~雫と潜入~
「・・・それじゃあ行くよ?準備はいい?」
「本当に、こんな格好で行くんですか・・・?」
「へぇ~、月大王って、結構センス良いんだね~」
「そんな事言ってんな!さっさと行くぞ」
「それじゃあゼロさん、お願いします」
「わかった。・・・空間移動『最後の月国、対象、僕の身体に触れている生物全て」
シュウンッ
「・・・あ、ゼロさん!お疲れ様です」
「うん。・・・状況はどう?」
「はい。常闇剣の保持者がこちらへ迫っているとの情報を受けて、万事対策中です」
「そう。・・・大砲に月獣の大群、軍隊に僕・・・ね」
「はは、ゼロさんがいれば勝ったも同然ですよ」
「大袈裟だよ。・・・さて、その保持者達は何時来る予定なのかな?」
「時刻的にはあと一時間ほどかと・・・ゼロさん?どちらへ?」
「僕はこの作戦については無知に近いからね。部隊の指揮をとっているのはどうせあいつだろう?行って来るよ」
「は!」
コンコン
「・・・誰だ?」
「僕だよ。ゼロだと言えばわかるかい?」
「・・・貴様か。何のようだ?」
「この作戦の概要その他諸々を聞こうと思ってね」
「入れ」
ガチャッ
「・・・相変わらず殺風景でつまらない部屋だね」
「お前の部屋は相変わらず派手で汚らしい部屋か?」
「・・・・・・久しぶりだねぇ、黒?」
「久しぶりだな、零」
「・・・それで、教えてくれないかな?」
「単純な話だ。保持者を確認した瞬間に一斉砲撃をする」
「本当に単純だね。相手は常闇剣だよ?」
「最強の剣の保持者と言えど所詮は人の子だろう」
「・・・その剣の保持者が、あの双子のどちらかだという噂もあるらしいよ?」
「!」
「・・・君は、殺せるのかな?あの双子を」
「可能性として考えても十分にありえる。それもきちんと確認済みだ」
「それでも、やるんだね?」
「当たり前だ。・・・月大王様の意思でもある」
「ほぉ?月大王も随分と過激な・・・いや、残酷な事をしようとするね」
「月大王様の命は絶対。私達はそれに従うのみだ」
「・・・だから、帰って来たくなかったのに」
「ならば、もう一度逃げたらどうだ?次は無いがな」
「戻る気はないよ。ここは、僕の玩具箱なんだから」
「・・・話は終わりだ」
「ふん、じゃあ、また後で」
「・・・と言うわけだ、諸君」
兄ちゃんが帰ってくるなり、あたし達に月大王達の作戦を告げた。
「単純な作戦と言えど、油断は出来ないな」
「そうですね・・・こっちは五人ですし」
ココロが不安そうに呟く。兄ちゃんはふぅ、とため息をついた。
「あっちは五千人はざらだね。まぁ、その半数以上が月獣だけど」
「・・・月獣が月大王に従うという機能がつけられているらしいですね」
「うわ・・・多勢に無勢にならなければいいんだけど」
『ふん、主人がいれば百人力ニャッッ!』
「うわ、レン!いたの?」
ぴょこんと出てきたレンに驚けば、怒られた。
『喋らにゃかっただけで、ずっといたぞっ!!』
「はいはい。レン、こっちにおいで」
兄ちゃんは自分の肩を指差すと、レンは嬉しそうにそこに乗った。
「・・・じゃあ、予告どおりにやるよ。いい?」
「当たり前だ。これが成功しないと・・・俺達に未来はない」
「うん。僕達は、なんとしてもこの戦いに勝たなきゃいけないから・・・」
そう言ったムトとタイムの顔は、何か辛そうな、そんな表情だった。
「・・・私達で、平和な未来を守りましょう!」
ココロも何か決意したように笑った。
「・・・・・・・うん!!」
改めて、自分の立場を見直した気分だった。
はい!ラストに近づいていきました!
次回で作戦決行!!です。
ゼロさん大活躍回ですね(笑)
ゼロの一人称でやるのも、二人称でやるのも違和感があったので、あえて会話文だけで通してみました。
次回のゼロさんに乞うご期待下さい(笑)