四日目~雫と準備~
「おはよー」
「おはようございます」
「おはよう」
「おっす」
それぞれがそれぞれの挨拶をして、奇抜な色と模様をした部屋を顰め面で見渡す。
「・・・やっぱ、スゲェ気持ち悪い、この部屋」
タイムがそう言うと、ムトが困ったように笑った。
「そう言うなって。きっとゼロさんが好んでやってるんだし・・・」
「そうは言ってもだな、趣味悪すぎだ・・っ!?」
言葉が途中で終わったのは、またタイムがふわふわと浮いたから。
「お、おおっ!?」
「僕のセンスを悪いだなんて言うなんて、悪い子だねぇ?」
後ろを見ると、兄ちゃんがニコニコと笑いながら指を動かしていた。
指を動かした方向にブンブンと飛ばされるタイム。
それを見ながら、あたし達は悟った。
あの人を怒らせてはいけない・・・!!!
口の端を引き攣らせつつ、でもすぐに元の表情に戻って、
「・・・で、何処行ってたの?」
聞いた。
昨日の提案から、ずっと何処かへ行ってしまってたのだ。
「うんうん、実は、月大王の座がある『最後の月国』に行ってたんだ」
空間魔法でね♪と簡単に言ってのける兄ちゃんに唖然とした。
「・・・なんで?」
「そりゃ、現場復帰の為でしょ」
「え?」
全員で素っ頓狂な声を上げると、兄ちゃんは楽しそうに笑った。
「まあ、簡単に言うとスパイ、ってやつ?」
「・・・スパイ」
「そう。内部に入り込む事で、君たちの月大君討伐を少しでもやり易くするんだ」
まさか兄ちゃんがここまで考えていたとは思いもよらなかった。
「私達って、自分たちが思ってるより権力も何もないんですね」
だから、ココロが言った言葉に素直に頷けた。
「ムトと俺も、今は何の権限も持ってねーしな」
「だけど、行き成り現場復帰、と言うのは怪しまれませんか?」
ムトの言う事も最もだ。だけど、兄ちゃんは余裕たっぷりにこう言った。
「彼らは僕が帰ってくるのを望んでいるのさ。だから、そこを利用するほかないだろ?」
フフッと笑う兄ちゃんにもう一度唖然。
「・・・と言うわけで、行けるよ、『最後の月国』に」
自信たっぷりな兄ちゃんには敵わない。改めて思った。
・・・ようやく四日目です!
この物語も着々と終わりに近づいて行っていますね、良かった!(笑)
今回は少し短めになってしまいました。でもこのくらいでいいです。
兄ちゃんの策略やいかに!?