表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 明夢 優深
13/27

三日目~夢人と雫~

ふわり、と目を覚ますと、目の前にはタイムと、ココロ。

「シズクちゃんっ!!」

「え?」

起き上がると、がばあっ、とココロに抱きつかれた。

「え?え?・・・何、この状況?」

月獣(つきけもの)にやられて、それからここまで運んできたんだよ」

タイムが説明してくれた。そうだったんだ・・・。

「起きないから、心配したんですよッ!!?」

そう言いながら背中をバンバンと叩かれる。痛い。

「ココロ、痛い・・・」

ただでさえ、月獣にやられた傷で痛む・・・。

「って、あれ?」

あたしは、ココロを少し話して、自分の身体を見た。

「無い」

傷が、どこにもない。

背中にあった激痛も、腕にあった爪痕も、なにもない。

「なんで・・・?」

左右に首を振る。と、兄ちゃんとムトがこっちに来た。

「僕達も吃驚したんだよ?」

「え?何、それ」

「まぁ、落ち着いて。今話すから」

ムトがそう言って、椅子に座る。


「シズクちゃん、このまま目覚めないのかな・・・」

ココロが不安そうな顔で呟いた。

シズクは依然と、ベッドの上に横たわったままで。

「こいつに起きてもらわないと、月大王(つきのおおきみ)を倒せない」

タイムがそう言った。

「シズクちゃん・・・」

ココロがシズクの前に跪いて手を握る。


その時だった。シズクの周りに漆黒の光が瞬いた。


「!?」

常闇剣(とこやみのつるぎ)だった。黒々とした輝きだった。

「どうして・・・」

常闇剣が、ふわふわと浮いて、シズクの真上に漂った。

その輝きが一層増して、シズクの胸の辺りに落ちた。

漆黒の輝きがシズクに移り、彼女の傷が癒えていった。

「え!?」

輝きが薄れていって、なんでもないようにまた戻った。

「今のは・・・?」

タイムもシズクのもとへ行く。僕は、そこから動けないでいた。

「・・・行かないのかい?」

僕の横にいたゼロさんが訊いてきた。

「僕は、行けない」

「どうして?」

「行く資格なんて、僕にはないから」

呟くようにして言った。

「・・・そう」

ゼロさんも、呟くような、独り言みたいに言った。

「・・・シズクちゃん!!」

「え?」

シズクの声が、聞こえた。


ムトに一通り説明され、ベッドから起き上がったあたし。

「そうだったんだ・・・ごめん」

がっくりと、項垂れる様になって。

「怖いぞ、お前」

「煩い」

束ねていた髪が解かれて、髪の毛が前にも垂れていた。

「でも、よかったです。シズクちゃんの目が覚めて」

ココロが安心したように言った。

「・・・なんで、傷が治ったんだろう?」

ふとした疑問を口にしてみた。

「それはきっと、常闇剣の能力だと思う」

「常闇剣の・・・?」

ムトは、少し驚いたような顔をしてから、タイムを見て、低い声で、

「・・・もしかして、言ってないの?あのこと」

何かを言った。聞こえなかったけど。

タイムは、俯いて、

「・・・」

黙っているようだった。

「言わないの?言わないと、これからが辛いよ?」

「わかってる。俺・・・俺が、言うから。待って」

「・・・はぁ」

ムトが一つ溜息をついた。

「わかったよ」

それだけ言うと、ニッコリと微笑んだ。

「サンキュ」

タイムが礼を言った。?マーク満載のあたしとココロ。

「ねえ、何話してんの?あたし達に関係あるなら、教えてほしいんだけど」

「・・・まだ、駄目だ。もう少し、待て」

タイムが顔を上げて言った。あたしは、タイムの眼を見た。

眼の中で、静かに、静かに何かが燃えているような気がした。

「・・・了解。待つ」

苦笑交じりに言うと、タイムが笑った。

「えぇ?なんの話ですか?」

ココロだけ、困惑していた。

「時期がきたら教えてあげるから。待ってて?」

ムトがココロに微笑みかけた。

「ぶぅ~・・・」

ココロは頬を膨らませて言った。

「・・・水を差すようで悪いんだけど」

兄ちゃんが不機嫌そうな顔で言ってきた。

「なに、構ってくれなくて不機嫌になってんの?」

笑ってみせると、無愛想な顔でにらまれた。怖い。

「これからどうするつもり?」

「月大王の所へ行く」

タイムが答えた。

「こんなお子様集団で?」

「お子様で悪かったな」

「うん。悪いね。だから・・・」

兄ちゃんは、タイム・・・と言うよりは、あたし達全員に指差した。

「僕も行く。子供には保護者が必要だろう?丁度よく暇だったからね」

「はあ!?」

タイムを含め、全員が驚いた。

「あ、勘違いしないでね?暇だったから。それに、この物語の結末を見てみたいとも思っているから」

兄ちゃんは笑って言った。

『主人が行くのなら儂も行くのニャ!!』

レンが兄ちゃんの肩に乗っかって言った。

「じゃ、決まりだね♪」

兄ちゃんが楽しそうに言った。


拒否権は、ないんだろうなぁ・・・。

そう思って、ちょっと苦笑いした。


はい、どうも、お久しぶりです。削除されて挫折状態でした。


今回は、前半はムト、後半はシズクが語り部を担当しました。

ムトの語り部は、シズクとは違って、説明口調にしてみま・・・した・・・?

なんか、一人称とか以外は殆ど一緒な気がします(笑)


次から、また旅です。そして超展開。多分。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ