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  作者: 明夢 優深
10/27

三日目~雫と黒猫~

朝、目が覚めた。辺りはまだ暗くて、空を見ると、黄色い月があった。

「昨日は何色だったっけ・・・?」

そんな事を言って目をこする。と言うか、ここはどこだ?

近場を見ると、タイムがいて、タイムのそっくりさん・・・ムトがいる。

どうやら、雑魚寝をしていた様だ。

「おはようございます。目が覚めましたか?」

「うひゃああっ!?」

吃驚して声のする方を見ると、ココロがいた。

あたしの声に驚いた表情のまま、びくびくと震えていた。

「あ、ごめん」

「いえ・・・驚かせた私も悪いから」

「あはは・・・。で、こいつらまだ起きないの?」

「はい。揺さぶったりしても起きなくて・・・」

そこには、同じ顔をしている二人が寄り添っていて、いつもとは違う表情で眠っていた。

「きっと、疲れたんだと思います。私たちとは違って、もっと前から旅をしていたと思うから」

ココロの言葉に頷く。タイムって、そう言うところ、全然見せないからね。

「それにしても、そっくりだなぁ」

「ですよね。びっくりです」

他愛無い会話を交わし、笑い合う。

「ところで、準備はできた?」

「あ、はい。バッチリです!」

そう言って親指を立てるココロ。ちょっと可愛い。

「じゃあ、そろそろ起こさないと」

「ですね。・・・どうします?」

こっちに来て一緒にしゃがんで、二人の顔を覗き込むような体制になった。

「ココロ、キスしちゃえば?」

笑っていってみる。ココロは顔を真っ赤にして、

「え!?え!!?そ、そんなの駄目です!ムト君に知られないままなんて!!」

「あたし、別にムトに、なんて言ってないよ?」

「あ、え!?そ、そうでしたっけ?えーと、えーと・・・」

「・・・嘘だよ、言ったよ。だからそんな慌てないでってば」

「あぁ、はい。わかります・・・」

「わかります、って何」

慌てふためくココロを宥めて、一つ溜息を付いた。

「でもさ、実際どうする?踏みつける?」

「そ、そんなの駄目ですよ!!可哀想です」

「うーん・・・」

二人で腕を組んで悩んでると、

『そんなもの踏みつけてしまえばええじゃろうにゃ!!』

「にゃ?」

あたしとココロは顔を見合わせて、聞こえた声に反応した。

「だ、誰ですか!?」

「ていうか、何処に居んのよ!」

『ふん、そんなもの、ここにきまっておる!』

「え?」

瞬間、何か黒いものがタイムとムトの間に現れて、止まった。

「ぐええっ」

「うあっ」

それぞれうめき声を上げる。

「ム、ムト君!」

わたわたしながら、起き上がるムトに駆け寄るココロ。

あたしも、二人のところへ行った。

『ふん!次期王ともあろう男が、こんなところで何をしとるのにゃ!』

ムトとタイムの上に乗っかっていたのは、黒猫だった。偉そうにふんぞり返っている。

『おい、シズク、お主が儂を忘れるとはどういうことにゃ!』

「・・・?・・・あ」

思い出した。

『今頃思い出したか。この小娘め』

「小娘は余計だ、このチビ猫」

正体がわかった途端、いつもの調子で話す。なんか、馬鹿みたいだ。

「黒猫なんてどこにでもいるでしょうが。アンタとの区別なんか、その首輪位でしょ」

黒い猫の首に栄える、鈴の付いた赤の首輪。でも、その色をした黒猫なんてどこにでもいる。

『ふん、これは主人がくれた特別な首輪にゃ。他の連中と一緒にするな』

「あー、はいはい。で、何?兄さんがあたしになんか用なの?」

「兄さん!?」

三人が驚いたように叫んだ。

「お前、兄貴なんて居たのか!?」

「うん、一応?」

「知りませんでした・・・」

「まぁ、初めて言うしね」

面倒なので適当にあしらっといて、あたしの視線は黒猫一直線だ。

「で、ほら。自己紹介位しときなさいよ」

『おぉ、おぉ、そうだった。忘れてた』

「忘れんなよ」

『コホン。儂の名は(レン)。恋愛の恋と書いてレンにゃ』

「なんで、猫が喋れんだよ」

タイムが立ち上がって面倒そうに訊いた。

『こら小僧!口の聞き方に注意しろ!!』

レンは怒ったようで、タイムに飛びかかる。

「わ、わ!!」

タイムは驚いて手を滅茶苦茶に動かした。

『ふん、たかだか十四、五年しか生きておらん小僧の癖に、儂に生意気な口を聞くからにゃ』

レンはそう言うと、また偉そうになった。

「レンがどうして話せるかって言うのは、兄さんのお陰なんだけど、それがどうして、って言うのは話せば長くなるからまた今度ね」

「・・・で、レンさんは、何をしにこちらにいらっしゃったんですか?」

ココロはニコニコ顔で質問した。

『それにゃ。小娘、いい質問をしたな』

「えへへ、ありがとうございます」

ココロは更にニコニコ顔になった。・・・動物好き?

『シズク、主人からの伝言にゃ』

レンはそう言うと、あたしに近づいてきた。あたしはレンを抱いた。

『幸せの国、幸せの国。明日までに来るべし』

それだけ言うと、レンはあたしの腕から降りた。

あたしは一つ溜息を漏らして、三人を見た。

「みんな、ごめん」

「?」

「あたし、『幸せの国(ハッピーランド)』に行かなきゃならなくなった。明日までに」

「明日!?」

「ちょ、ちょっと待ってシズク。急すぎないか?」

「うん、そうなんだけど・・・。兄さんの命令だから」

「兄貴の命令、って・・・」

タイムが呆れたような声を出した。

「でも、兄さんの命令は絶対だし。それに・・・」

「そ、それに、なんですか・・・?」

「あの馬鹿は、もの凄く役に立つ」

あたしは、三人に頭を下げて、懇願した。

「これは、あたしの我が侭だし、兄さんの我が侭だ。でも、行かなきゃ駄目なんだ。お願い」

「・・・別にいいけど」

「え」

あたしは頭を上げて、タイムを見た。

「別にいいけどさ、『幸せの国』って、どこだよ」

『それは儂が案内するのにゃ』

「ありがとうございます、レンさん」

「まぁ、そう言う事だよ、シズク」

「・・・うん」

ムトに肩を叩かれて、素直に頷くあたし。


次の目的地は、『幸せの国』。

そこに、あたし達にとっての幸せはあるのかな?


はい、お久しぶりです!!

三日目に入りました!!っと、新キャラも出来ました~♪

レンのイメージは、家にいるお爺ちゃん猫です(笑)

シズクの家族構成も滲み出てきました・・・。

これからまた、今度は四人+一匹旅です!!


・・・さて、そろそろ戦闘シーンでも入れましょうかね。

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