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すれ違いの中でも、ボクはキミを見つけに行く〜自分の為に嘘をつく詐欺(ペテン)師達は〜  作者: 華御羅


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4/8

3 バレたら最後

朝陽の妹、あずさちゃんは優等生のしっかり者です。そんなあずさちゃんに、好きな子ができたという噂を聞いて、朝陽本人は心配気味です

なんでもありな世界線なので、深くはツッコまないでください

 数分後、体育館前に置いてあるクラス表の前で。


「あれ〜? もしかして同じクラスじゃない?」


 朝陽の声に、ハッと我に返った。いつの間にか、ずっと考え込んでいたみたい……。


 つないでいた手も、もう離されている。……もう少しだけ、あのままでいたかった。

 寂しさかな?よくわかんない複雑な感情がじわじわと広がっていく。


「ホントだね」


 ボクがそうやって寂しがってるなんてことを知られたくなかったから、落ち着いた感じで笑顔で返事をした。

 朝陽が指し示している方を見てみると、確かにボクの名前が1年3組のところに書かれてる……。


 …………!?


 なんとなく安心した途端、あることに気がついて、背筋が氷のように冷たくなる。




 ボクの名前が、男子名簿欄のところに書いてあった。




「ひっ………………!!」


 嫌な思い出が、次々と頭の中で再生される。


 ビショビショの制服、ボロボロになった制服のスカート、高い笑い声、何もかもがリアルに再生されていく。


『男子のくせに、スカートはいてるんだけど?』

『気持ち悪っ!』


 不気味な笑い声とともに、仲良しだった子たちがどんどん離れていった。


『わけわかんない』

『そんな奴だったんだ』





『飛鳥くん、人じゃないよね?』






 いつもの、お決まりだよ……。

 先生が来たら、いい顔してさ。どっちが気持ち悪いのか、……わかんないじゃん。


「ん!……ちゃん!」


 ……近くで、朝陽の焦った声が聞こえる。ボクの意識は夢と現実をさまよってる気がしていた。


 起きているのか寝ているのか、立っているのか座っているのか、横になってるのか、わからない。

 ……ただ、ただボーッとしていることだけが、なんとなくわかったぐらいだ。


「飛鳥ちゃん!」

「っ!!!」


 目を開けたとき、保健室の天井と、不安そうにボクを見ている朝陽の顔が見える。


 …………あ〜あ、見られたなぁ。


 今のボクには、自分の心配なんかより、学校に行けないなと思う気持ちのほうが強い。


「大丈夫!?」


 少年漫画とかで、ずっと仲が良かった親友が倒れて、病室で意識を取り戻したときの、不安だけど、少し安心している表情を朝陽はボクに向ける。


 倒れたのはボクだ。朝陽じゃない。なのに、そんな顔しないでよ。


 でも、今のボクは朝陽の声に、何も返したくなかった。


「……」


 見られちゃったら、もう終わり。そこでボクの人生は幕を閉じるだけ。たったそれだけ。


 他のクラスメイトにもきっと見られているだろうなぁ。

 ……誰にも否定されず、楽しくスカートがはけると思ったのに。

 視界がどんどんぼやけていく。目の奥が熱くて痛い。もう、何も見られたくない。


 制服の裾で、顔を隠す。



「ていうか、どうしたの? 名前、変なことでも書いてあった?」


 不思議そうな声に、ピタッと涙が止まる。


 「……え? なんで、見たんじゃないの?」


 手をどけて、朝陽の方を恐る恐る見た。震える声とぼやける視界、話の入れ違いで何が何だかわからない。


「うん?? あれ? 日和飛鳥って書かれてたでしょ?」

「違う。……そうじゃ、なくて……」

「……あ〜!!!」


 やっと悟ってくれた。いや、悟ってほしかったわけじゃないけど。

 朝陽が手をパンッと叩く音が、意外にも大きく保健室にゆっくり響いた。




「なるほどね! 女の子の……女子名簿欄のところに書いてあったのが嫌だったの?」




「……え?」


 ……女の子……?

 ボクの話と朝陽の話が、入れ違ってる……?なんで。


「ま! 今は多種多様の性別がある時代、オレは全然いいと思うよ!」


「今、女の子、……女の子って、言った?」


 少し重くなった体を無理やり起こした。

 今聞かないと、今、今じゃないと。


 なんとなく、ボクはそう思う。


 今じゃなきゃ、きっとボクは後悔する。


「え?あ、ちょっ、急に立ったら危ないよ?」

「いいから……! 答えて!」


 心配そうにする朝陽を無視して問い詰める。


「え? あ、ああ、うん、飛鳥ちゃんの名前、女の子の欄のところに入ってたよ?」


 朝陽のその言葉を聞いて、思いっきり肩の力が抜けた気がした。


 見間違いってことか……、ボクの。……だったら、きっと、嫌な思い出がボクに見せた幻覚なんだろうな。


 そこで、フッと面接のことを思い出した。

 そうだ。あの時、女の子として高校に入学したいって言ったんだ。


 ボクの、思い違い。


「……なんだ、なぁんだ。」

「???」


 ハテナを浮かばせている朝陽を無視して、お礼を言う。


「会ったばっかなのに色々ごめんね、ありがとう」

「え?あ、うん」


 チャラチャラしてるけど、案外いいやつなのかも……。

 しばらくして、入学式が始まったけど、ボクの鼓動はずっと早く動いていた。

 


 

 この気持ちは、なんだろうな。


自分らしさを出すということは、良いことでもあるし、悪いことでもあるのかもしれないと思いました。

今回の話は、飛鳥みたいな人がいても、受け入れたいと思いながら作った話です。

あなたの心に届くと嬉しいです

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