1 ボクって実は男の娘!
ここから本編です!
初めてなのもあるので、多少の物語にはツッコまないでください。
ツインテールで可愛くカール。ほんのりナチュラルメイクで仕上げて……、最後にスカートをはいたら。
「ニュー飛鳥ちゃんの完成! うん! かっわい!」
鏡に映るボクは、黄色い髪に青い瞳の可愛い可愛い女の子だ。
ボクの名前は日和飛鳥。好きなものはメイクと料理とお裁縫とショッピング! 嫌いなものはズボンと辛いもの。
「今日から、ボクの可愛い可愛い高校生活が始まるのだ!」
制服はもちろんスカート、ちょっとだけ短く着こなして…うん! 完璧!
くるっと華麗に一回り♪ 女の子以上に女の子だね!
「ふんふふーん♪ おねーちゃん!」
隣の部屋に、ノックをして入る。
「ん〜? どうした〜? 飛鳥」
ボクのお姉ちゃん、日和美乃花お姉ちゃんは、ボクよりも顔立ちがかっこよくて、キリッとしてる。お姉ちゃんのほうが髪は長くてオトナっぽさはあるかな?
……の、はずなんだけど。
よれよれのTシャツを着て、ベッドで寝転びながら、ボクに見向きもしないでスマホをいじっていた。
大学に入ってから、いっつもそんな感じだ。
「どう? ニュー飛鳥ちゃん! あそこの制服めっちゃ可愛いんだよね!!!!!」
「……」
やっとスマホを置いて、ボクの方に視線を移してくれる。
あそことはボクが入学する『気の真高校』のこと。中学の奴らがいない高校を頑張って受験したんだ!
「おー。女の子みたいだね」
その言葉を聞いて、ボクは雷に打たれた気分になってしまった。
「むー! 一言よ・け・い!!!!」
「まあまあ、実際男なんだから」
ちっとも申し訳なさそうにしないお姉ちゃんに、ボクは少し怒りの感覚を覚える。
そう。ボクは男の子だ。でも! ボクはズボンとか、かっこいいものよりも可愛いスカートとか、メイクとか料理とかが大好きなんだもん!
「今回は隠すの?」
お姉ちゃんの問いに、少しの間沈黙がボクたちを包み込む。
『今回は』、うん。知ってる。中学の時はこのボクをオープンしてた。男の子として。
でも、それがキッカケで色々居づらくなっちゃったし。今回は隠す。女の子として高校生活を過ごす。今回は。今回だけは、隠しきる。
「……うん」
少し震える声が出た。もしかしたら少し裏返っていたかもしれない。
……決めたけど、やっぱり怖いんだよなぁ。バレたらって思っちゃうと。
「着替えは?」
「さすがに申し訳ないから保健室で着替える」
いくらなんでも、さすがに失礼すぎる。それくらいの常識は、ボクでも持ってる。
「水泳は?」
「見学」
お姉ちゃんの質問に、今回は自信満々で即答した。
「泳ぎたいとか思わないの?」
「うん。泳ぐの嫌いだし、男子たちと一緒に並んでいるところを見られたくない」
怖いけど、ちゃんとお姉ちゃんに言葉として伝えてみる。
「高校では、女の子でいたいんだ」
「……!!」
それを聞いて、お姉ちゃんは少しびっくりしていた。
でもすぐにいつものダルそうな顔に戻ってしまう。
「……変わったね」
ゆっくり立ち上がって、頭を優しく撫でてくれた。
なんだか、嬉しさと恥ずかしさがごちゃ混ぜになって、変な感じだよ。
「ねえ、飛鳥」
「なぁに? お姉ちゃ………」
お姉ちゃんの笑顔が不気味な笑顔になった途端、言葉を詰まらせた。
「え〜? 飛鳥〜恋愛は〜?」
やっぱり。お姉ちゃんは彼氏がいないくせに、ボクの恋愛どうこうには必ず首を突っ込んでくる変な癖がある。
だーかーら、彼氏できないんだよ〜!!! 別に何とも思わないよ〜!!!
心の中でお姉ちゃんの悪口を連呼していく。
「男の子に恋するか女の子に恋するかって話?」
「そうそう!」
「ん〜。好きになった人の性別かな〜」
お、今ボクめっちゃカッコいいこと言ったかも!
心の中で自画自賛をしてた途中、ふと、今何時か気になった。
…………え!???
「やばいっ!!! もう7時50分だ!」
ええええっ!!!! 入学式、8時30分からだ
よ!!!
「い、いってきます!!!」
急いでお姉ちゃんの部屋を出て、一階にいるお母さんとお父さんにも言う。
「「いってらっしゃい!」」
ボクがお姉ちゃんの部屋から出ていって少ししたあと、お姉ちゃんの声が聞こえた。
「あとで行くね〜」
そんな気の抜けたお姉ちゃんの声を、聞き流しながらボクは家から飛び出たのだった。
美乃花お姉ちゃん、実はああ見えて高校時代は超有名なバドミントン選手だったんです!
そして……実は彼氏いるんですよね。
そこら辺を知っている状態で、これからも楽しんでほしいです!




