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すれ違いの中でも、ボクはキミを見つけに行く〜自分の為に嘘をつく詐欺(ペテン)師達は〜  作者: 華御羅


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13/13

13 偽物と本物

今回ちょっと文章変かもしれません……それがわかった上でよろしくお願いします……

「…………ここは……」


 目を開けると、そこは知らない場所。

 ぼやけていた視界が戻っていくとともに、体中に痛みが走る。


「っ!」


 唐突な頭痛に襲われ、頭を押さえる。

 真っ白な天井、その少し下に透明な液体が入った四角い袋。細長い線を通って、自分の左手に刺されていた。

 …………『点滴』。

 頭の中に、ふとその言葉が浮かんだ。

 この四角いやつの名前は、てんてき……?

 なんで浮かんできたのかはわからないけど、そうだ、と確信する感じにもなる。




「優衣っ!!!!!!」





 ドアが弾け飛ぶくらいの勢いでガラッ!!!っと音を立てて開く。

 大声と大きな音で肩が縮こまった気がした。

 声とともに、誰かが息を切らして入ってくる。


「ゆい……?」


 何かものの名前?誰のことを言ってるんだろう。

 周りを見渡しても、人は私しかいない。

 ……つまり、私ってこと……?


「優衣っ!!!! よかった!」


 私のことを見るなり、大声を出して入ってきた青髪の女の子は私のことを抱きしめる。

 少し長い髪で緑色の瞳がよりこの子を引き立たせていた。


「誰?」


 可愛い子だけど、私の知り合い……?

 顔をあげると、その子は目を見開いて、しだいに瞳の光が消えていく。


「ゆ、優衣? 冗談やめてよ。アタシだよ? 仁ノ!」


「に……の?」





 ドクンッ





 脈を打つように、頭が急に痛くなる。

 

『優衣〜!』『ゆ〜い!』『優衣……?』『優衣っ!』


 この子と……仁ノ『ちゃん』と同じ声が頭の中に響き渡る。



 『好きっ!』『好きだよっ!』『別に……好きじゃないけど、一緒にいてあげてもいいよ……』



 明るい笑顔、そっけない態度。それだけがよみがえる。

 知ってるけど、知らない。


「ねえ、優衣……嘘だって言ってよ?」



「……ごめんね。仁ノ『ちゃん』。私、あなたが誰かわからなくて……」





「ほ………本当にやめてよ。仁ノ『ちゃん』?アタシ、男の子だよ。」




 男の子?仁ノちゃんが?こんなに可愛いのに、なんで?

 わからずにただ仁ノちゃんを見てると、少しずつ仁ノちゃんの瞳が潤んでいく。


「なんで……優衣…………アタシまだ、この姿でちゃんと優衣と向き合ってないのに……」



 一粒、二粒と、仁ノちゃんの瞳から涙が落ちる。


「でも……」


 下を向いていた仁ノちゃんが、私の方に向き直した。


「優衣が生きてて、よかった……」

「……!」


 涙を流しながら私に微笑みかけた姿が、また私の心にズキンと痛む。


「………ごめんなさい」


「え?」


 仁ノちゃんの顔を見てると、謝りたくなって仕方なかった。



「仁ノちゃんは……、こんなに私のこと心配してくれてるのに、私は貴方のこと、思い出せなくて、わからなくて……。きっと、前の私なら、笑顔で笑ってくれてると思うけど……今の私は……」



 自分で言ってるのに、逃げてるようにしか聞こえない。『前の私なら』? じゃあ、今の私はなんなの?

 ぎゅっと心が張り裂けそうになるのを、ぐっとこらえる。

 気づいた時には、私の目からも涙が溢れてた。




「優衣は悪くないよ」




 仁ノちゃんの凛とした声が、私の心に響く。


「今も前も、関係ないよ。アタシ、気付いた」


 笑いかける顔は、どこか寂しげで悲しそうだけど、しっかりしてて、勇敢だった。


「アタシ、学校に行くよ。優衣がいつか、記憶が戻ったときに自慢できるように」


 歯を出して満面の笑みを見せてくれた仁ノくんは、『女の子』じゃなくて、れっきとした『男の子』の顔に見える。


「もちろん、アタシは男の子だよ。でも、それをわかった状態で先に進まないと。いつでもいやいや言ってどうにかなるわけでもない」








「優衣が、教えてくれたから」







「!!!」


 その一言で、何もない部屋に花びらが散った気がした。


 『優衣……僕、学校行きたくない……怖いよ』

 『なあ優衣!今の俺、完璧じゃねえか!?やっぱ天才だな!!!』

 『そうだよ。アタシ……だよ…………』


 いろんな『仁ノ』の顔が、私の頭を駆け巡る。

 不安でいっぱいな顔、誇らしげな顔、どこかつらそうな笑顔。






「仁ノっ!!!!!!」






 『仁ノ』を思いっきり抱きしめて、ありったけの思いを叫ぶ。


「ごめん! 仁ノ! 全部思い出したよ!! 本当にごめんなさい!! 私、びっくりしただけなの!!!」


 そっか、私、事故にあって……。

 全ての記憶がよみがえっていく。


「仁ノ……! 本当だよ!! 私、どんな仁ノでも好きだよ……!!」

「………っ!優衣!!!!」


 仁ノも私のことを抱きしめ返してくれた。


「バカ! 仁ノのバカ! 初めからそう言ってよ! しんどかったでしょ!?」


 申し訳ないと私も思うけど、やっぱり無理してた仁ノに対しての怒りのほうが断然多い。


「あははっ……ごめんってば。優衣も優衣だよ! 急に走っていっちゃうんだから、アタシ、本気で心配したんだからね!!!」



 ふと、扉の外を見ると飛鳥ちゃんと宮水くんが手を振ってくれていた。



「もう…………! ほら、飛鳥ちゃんたちもいるよ、行こう。アタシたちの世界にさ!」


 私の左手には点滴が刺さってるから動けないけど、それを分かったうえで、仁ノは優しく私の右手を手に取る。




「うん!!!!」




 大きく頷いたとき、どこかで鳥のさえずりが聞こえた気がした。

今回の分で仁ノと優衣の話は終わりですっ!次がやっと飛鳥たちだぁ。そういえば……朝陽の友達の双はいつ出てくるんだ……?

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