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『隠れ里の速記会』

作者: 成城速記部
掲載日:2026/02/07

 金沢という村にある若者があった。あるとき山に入っていくと、道に迷ってしまったものか、来たこともないところに来てしまった。そう言うと、山の中で木々に囲まれて右往左往している姿を想像するかもしれないが、若者の目の前にあるのは、これまでに見たこともないような立派な屋敷であった。門を入るとたくさんの鶏がいて、厩舎には、一目で数がわからないほどの馬がいた。裏へ回ると、いろりには火がおこっていて、奥を見やると、座敷にはたくさんの膳が並べられている。離れは、茶室のような仕立てであったが、文机にプレスマンと原文帳が整えられて、これからいかにも速記の会が催されそうな様子であった。若者は、水を一杯飲ませてもらおうと、声をかけたが、誰の返事もない。若者は、そら恐ろしくなって、逃げ帰ってきたという。



教訓:もろもろの支度が整っていて誰もいないというのは不自然なので、姿が見えないタイプの方々が集まっていたと解するのが妥当である。

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