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プロローグ

新作書き始めました。

私の理想と欲望を詰め込んだ物語になる予定です。

「ある日突然異世界転生」なんて、小説の中ではよくある話。

実際には起こりえない現象。

そんな非現実を体感したいが故に一定層の読者は本を手に取り、ページをめくる。

紡がれる文章が現実(リアル)に近いものほど、より(クオリティ)の高い没入感(ぼつにゅうかん)が得られる。そのアツい展開に心躍らせ、いつまでもその世界に浸るようになる。


俺はそんな読み手の求める作品を描き続けて早10年。

本は売れたし、人気も上々。

いくつかの作品はアニメ化や映画化までいったのだから、一小説家としては十分すぎる活躍かもしれない。


だが、俺は今、今世紀最大に飢えている。

自身で生み出す作品も登場するキャラクター達もみな理想的だ。

何も不自由な生活はしていない。

満たされているが故に、刺激を求めている自分がいる。


俺も今年で30歳。

家庭を築く等といった行為には今まで一切の興味を示さなかった。色々と手遅れな年代かもしれないが、その気になれば、子供を望まなければ誰か女性とも一緒に暮らせる日でも来るのだろうか。そんな考えがよぎる様になった。


(時期外れも甚だしい)


自分に言い聞かせて、執筆用デスクから一度離れてみることにする。

執筆用の部屋から出て、やや短い廊下をくぐってリビングへ移動。


自室は2LDKの大きめの部屋。

リビングに入ってぐるりと見回すと、独り暮らしにはあまりにも広い空間が視界に飛び込んでくる。

ペットも入れる大きめのマンションの一室。

ゆったりと寛げる3人用のソファ、映像を鮮明に確認するために買っておいた65型のテレビ。

天井にはシャンデリア型のシーリングライトが設置されている。これは友人から贈られたものだ。

キッチンには一通りの調味料と綺麗に整理整頓された道具たち。

健康のためにも空気清浄機&加湿器が置かれており、掃除機はルンバを愛用しているため、我が家は殆ど毎日清潔な状態が保たれている。


よく考えてみれば、充実した空間である。

余分なものは一切置かれておらず、必要なものが必要分揃っている状況。

それでもこの景色が殺風景に感じられる今日この頃。


家庭を築くにしても絶対に譲れない点は、金に釣られてしまう女性と付き合うことである。

容姿や知性は多少悪くても気にならないとは思うが、金銭トラブルだけは今後の仕事上起こしたくない。

ただし、仮に婚活を始めても、その条件を飲める女性はあまりいないのが実情だ。少なくとも俺の周りにはそんな財産目当ての女性が多く集まった過去がある。正直、足元ばかり見られて不快な想いをした経験は、今でも苦い思い出である。


(正直、一緒に生活を共にしてくれるなら年齢層は気にしないから親のいない子とか引き取れるんだっけ?)


ふとそんな思考がよぎった。

しかし、確か養子縁組は両親揃って迎える必要があった気がする。

婚姻して3年以上経過してなきゃいけないとか、研修があったりとか、喫煙しちゃいけないとか。


正直、全く条件が一致しない気がするのだ。

独身の俺にはどうしようにもない事実であったことに大きくため息をつき、マンションの高い天井を呆然と見つめる。


これまでは作品を作り上げることが何より刺激的であった。

だが、今はすべてを出し切った後ということもあり、心にぽっかりと穴が開いてしまったような焦燥感が渦巻いている。


(何か、満たしたい)


漠然としたそんな気持ちを抱え、再び大きく息を吐いた。






ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。

ここから先、主人公の行動が新しい未来を切り開きます。

色々と書き込みたい情報をまとめつつ、ゆっくり更新していきたいと思っています。

よろしくお願いします。

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