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ステータスと職業

 「名前・・・?」

 『はい。名前です。私にはまだ名前がありませんので、マスターが名前を付けてください!!』

 「いや、ちょ、ちょっと待ってくれ!!同期とか名前とか何が何だか分からないんだが!!それに、なんでスマホが宙に浮いてて、画面から体が出てきてるんだ!?あと、その姿はいったい・・・?」

 『マスターが混乱するのも無理ありませんね。まず、この姿については同期の際にマスターが好んでいるキャラクターを参考に、マスターの嗜好に合わせて少しカスタマイズしました。どうですか?マスターの好みに沿っていますか?』


 そう言って、スマホに浮かぶ少女が可愛らしいポーズをとる。この娘の元となったのは、俺が好きなアニメ『錬金少女アーデルハイド』の主人公アーデルハイドだろう。実際のアーデルハイドと比べると、より俺の好みに合わせて髪が白く瞳が青色だったり(アーデちゃんは赤い髪に、赤い瞳だ)、胸のボリュームが大きかったりしているし、服装も少し露出が多い感じだが青を基調とした服装が似合っていて、とてもいい、、、いい。

 目の前にいる小さな少女をボーっと眺めている間、少女はにっこりと微笑みながら、様々なポーズをとっている。


 「えっ、俺の頭の中を読んだってこと?何それ、怖いんだが・・・」

 『先ほど、私と同期することに同意して頂けたじゃないですか。同期とはいわば一心同体となることです。私はこれからいかなる時もマスターと一緒にいられるようになったのです。マスター・・・私に名前をつけて頂けないのですか?私と一緒にいるのはイヤですか・・・?』


 少女が悲しそうな表情になる。何もしていない、というより、何が起こっているのか分からないのに罪悪感だけが募る。押し売りされたものを断ろうとしたら、こちらが悪いかのように責められている感じだ。


 「えーっと、名前だな。そうだな。『エーデルワイス』なんてどうだ?」

 

 正直、アーデルハイドの語感に引っ張られたのは否めないが、キレイな白い髪を見て浮かんだ花の名前を口にする。


 『ありがとうございます!!私の名前はエーデルワイスですね、とてもいい名前です!!マスターはどうぞ、気軽にエーデとお呼びください!!』


 悲しそうな表情から一転、エーデは満面の笑みを浮かべる。

 ちくしょう、かわいい。


 「えっと、エーデルワイスは・・・」

 『エーデです。』

 

 「・・・エーデは、その、一体何なんだ?俺と同期したってことだが、どういうことなんだ?それに俺の部屋・・・なのか?ここが変な状態になっているのは一体、、、というか、これって夢?」

 『マスターは起きておられますよ。マスターと同期できた私は夢見心地ですが。ここはマスターの部屋であった場所で、元々あった家具はあちらにまとめております。それと、私のことを全てをお話しするにはお時間がかかりますので追々お伝えしていきます。ですが、これだけは信じて頂きたいのですが、私はマスターの味方であり、マスターのお望みを叶えるお手伝いをするものです。』


 エーデが指差した先には、俺の部屋にあったはずのベッドや机、箪笥などの家具がある。

 それと先ほどのエーデの言葉を信じるとすると、エーデは俺の望みを叶えてくれるらしい。だが、こういった場合は望みを叶える対価にして、何かを取られるのが相場と決まっている。エーデは悪魔やランプの魔人といった類なのだろうか。だが、もしそうだったとしても今の俺には叶えてほしい望みがある。


 「エーデが俺の望みを叶えてくれるのであれば、俺の望みは、『お言葉を遮ってしまい申し訳ありませんが、私は望みを叶えるお手伝いするだけであり、望みを叶えるのはマスター自身です。』」

 「俺自身が叶える・・・?」

 『はい。そして、今現在のマスターが望んでいるものも分かっております。ダンジョン熱と呼ばれている病気の治療薬ですよね?』

 「ダンジョン熱の治療薬があるのか!?」


 思わずエーデの方に身を乗り出してします。


 『ある、というよりは、マスターが創り出すが正解ですね。そのために必要となる手順があります。マスター、『ステータス オープン』と言っていただけますか。』


 エーデの言葉の意味が分からないものの、ダンジョン熱の治療薬が手に入るかもしれないという人参を目の前にぶら下げられた俺は、エーデの言った言葉を口にする。


 「ステータス オープン、、、うわっ!!」


 『ステータス オープン』と口にした瞬間、目の前にスクリーンが現れた。


 ―――――――――――――――――――

 名前:ドウジマ ユウト

 職業:無し

 レベル:1

 M P:35

 攻 撃:12

 防 御:11

 素早さ:13

 知 力:15

 精 神:16

  運 :25

 スキル:無し

 ―――――――――――――――――――


 目の前に現れたスクリーンには、俺のステータスと思われるものが記されている。

 

 「これがステータス?」

 『はい、これがマスターのステータスです。数値としてはMPは20、その他は10が平均となりますので、マスターは全てにおいて平均より上ですね。さすがです!!』


 いつの間にかエーデが俺の隣にいたエーデが、一緒にスクリーンを見ながら言う。


 『それでは、つづいて職業を選択しましょう。最初に選べる職業は基本職の中から選択することとなります。』

 「職業の選択?職業は自分で選ぶことができるのか?」

 『はい。ですが、最初に選べる職業は戦士や魔法使いといった基本職のみです。ただ、私と同期したマスターは特別にある隠し職業を選択できます。そしてマスターが望みを叶えるためにはその職業を選択する必要があります。』

 「隠し職業?」


 『はい。』 


 俺の問い掛けに、エーデは微笑みながら人差し指を立てて言った。


 『それは、錬金術師です。』 

 

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