クラス換え
「あー………。あ、あった。四組か……」
掲示板をの名前の羅列に目を滑らせながらぽつりとつぶやく。今日から学年が一つあがり、高校二年生になる。新しいクラスになりメンバーも変わることになる。新鮮な感覚と、緊張する感覚だ。自分のクラスの教室のドアを開ける。
「あ、おはよう! 今年も一緒のクラスだね」
まず目に飛び込んできたのは見知った顔だった。浅村杏子。俺の女友達だ。
「今年も杏子と一緒か、これで何年目だ」
俺はやれやれという表情をしたが、本当は浅村が同じクラスなのは知っていた。なぜならクラス発表の掲示板で真っ先に探したのは自分の名前ではなかった。
「二年と一つ飛んで三年連続!」
「俺がこっちに来てから半分以上お前と一緒なのな」
六年前に俺はこの町へ引っ越してきた。あの時はまだ小学生五年生だった。
「一つ飛んでなかったらなぁ、大記録だったのにね」
「探せば日本中もっとすごい記録もあるだろ。ド田舎の学校なんてひとクラスで小中ずっと一緒だぞ」
「確かにそうかもしれないけどさ! つまんないこと言わないでよ。人が折角感動してるのに」
この町の学校の生徒は少なくはない。それでも一緒になってるんだから実際結構な確率だと思う。
「朝から仲のいいことで。デコボココンビは健在だねぇ」
後ろからいきなり肩をぽんっと叩かれると同時に、でかい声が耳に飛び込んでくる。
「誰がデコボココンビだ。その呼び方はやめろ」
今割って入ってきたのは普段よくつるんでる友人、今村忠司。
「我ながら結構いいセンスだと思うぜ。深田、浅村。深いと浅いのデコボコだろ」
俺の苗字は確かに深田だ。ちなみに下の名前は恭介。
「アホか。前から言ってるけどそれどっちもボコだからな」
「ならボコボココンビになっちまうだろ」
今村はほっといて、黒板に掲示されいているプリントを見て自分の席を探す。
「あいうえお順だよ! ちなみに私の席はここ!」
バンッと杏子が机を叩いて誇らしげな顔をする。教室の一番前の一番入り口に近い側。
「知ってるよ、大体お前いつも一番か二番目だろ。だから一番最初に目についた」
「そうなんだよね。先頭だと色々損した気分になっちゃうんだよね」
「俺も今村の"イ"からだからこういうとき探すの楽でいいじゃねーか。何がつまーねんだよ」
「俺は真ん中くらいになるから探すの面倒だけどな」
今、視線はタ行に入ったところだ。
「だってさっきもクラス替えの掲示板見たときも上のほうにあるからすぐ目に入っちゃうじゃない? なんかドキドキ感が足りない感じ」
俺はドキドキしたけどな。あ、あった。
「まぁ、別にそのくらいいいだろ。……今年もよろしくな。杏子」
「ねぇ俺は!? 俺にもなんかないの?」
「あーうるせー。今年もうるさくなりそうだ」
それでも今年こそは、もう少し頑張ってもいいかもしれないな。
「いいじゃん、楽しそうで。今年もよろしくね。恭介♪」
素人でも衝動的に文章を書きたくなることってありませんか。少し恥ずかしいですが、もし読んでくれた方がいましたらありがとうございました。駄文で失礼いたしました。