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入国

「ふふ。おかしな話ね」

「でしょう。僕もそう思う」


街を目指して森を歩く最中、元の世界のことをたくさん話した。信用を得るにはまず身のうちを明かさないと。


「僕はまだ18歳で未成年なんですが、ここでは成人という概念はあるんですか?」

「人族は18歳で成人となります。結婚は男性が16歳、女性が14歳で出来ます。」

「若くないですか!?」

「『結婚は』ですよ。同棲や家門に入ることは18にならないと出来ないです。一夫多妻が認められているので一つの家に何人もの女性が住んでいることも珍しくないそうです」

「へえ~。そうなんですか」


こっちはいろいろ複雑そうだ。

そんなこんなで話し込んでるうちに森を抜けた。


「ここがモルガンです。ようこそ異世界の人間さん」


レイズは社交辞令のように迎え、屈託のない笑顔を見せた。

そこに見えたのは壁に覆われた国だった。


「ミストさんは初訪問なので監査所で検査を受ける必要がありますね。いきましょう」

「悪巧みをする輩を捕らえたりするところですか?」

「そうですよ。王家に不満を持っていたりする人たちや、他国から刺客が入国するのを未然に防ぐためです。外交はうまくいってるんですが、どの国にも不穏分子はいるものですね」


空港の保安検査場みたなところかな。文明の栄えた国はどちらも同じような体制で構えているみたいだ。


「着きましたよ。ここで審査を受けて、合格がもらえれば入国できます」


着いたところは硬い表情の保安官らしき人物が何人もいる、厳重体制の監査所だった。


「真ん中の受付で魔術師による審査があるので、終わりましたらまた合流しましょう。そう長くはなりませんよ」

「レイズさんはどこから入るんですか?」

「右側にある通路からです。ここに住んでる者は在住の証として、魔術による刻印が押されるんです。私はわき腹にありますよ。」


服をめくり見せる。確かに円形に彫られた赤い印があった。


「これが刻印。居住者に付けられる印…」

「あの…じっくりみられると恥ずかしいです…」

「す、すいません!」


好奇心に駆られまじまじと見てしまった。


「ではまた後ほど」

「また」


レイズさんと別れ、中央の受付に向かう。眼鏡をかけた綺麗な受付嬢がいた。


「こんにちは」

「こんにちは。初めての入国ですか?」

「はい。手ぶらなので出すものは何もないですけど…」

「入国するのに必要なものは特にありませんよ。魔術師による検査で問題がなければ入国できますよ」


さほど厳しいものではなさそうだ。よほど「魔術師」に信頼を置いてるんだろうか。


「こちらで受けてもらいます。」


案内されたのは薄暗い部屋。審査にふさわしくない気味の悪い部屋だ。


「後ほど魔術師がいらっしゃるので少々お待ちください」





「こんにちは新顔さん。どこから来たの?」


5分ほど経ったころ、赤い外套の見るからに魔術師っぽい男性がやってきた。


「異世界から来たんですが」


レイズさんは信じてくれたけど魔術師はどうだろう。


「異世界…こことは別の世界ね。なるほど、道理で」

「?」

「じゃあ検査を始めよう。君は立ってるだけでいいよ。作業は私が進めるから」


僕の回答を(よくわからないけど)納得してくれたみたいだ。魔術師は空に手をかざし小声で魔法を唱える。

僕には何も見えないけど周りに魔方陣でも広がっているのだろうか


「よし合格だ。心身ともに問題なし。モルガンへようこそ、異世界人よ」


無事、通過できたみたいだ。


「これは忠告なんだが、異世界人が現れることは度々あるらしいけど、ここの人にとってはまだ珍しいことだ。悪事に巻きこれないようね。それと手ぶらならギルドで冒険者登録するといい。いい案件があればその日に稼ぐことが出来る。」

「は、はい。ありがとうございます。」


僕以外にもこの世界に転生者がいる可能性はあるのか。視野に入れないと。

それと冒険者か…出来れば肉体運動せずに平和に暮らしたいけどやむを得ないか。

なんて未来予想をしながら部屋をさり、入国口へと向かう。 

これから待つのはほのぼのとした商売生活か。はたまた依頼をこなし稼ぎを得る冒険者生活か。どっちにしろ楽しそうな未来しか見えない。

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