ステ振りの時間②
「残りは神様のお好みで」
「私に全て委ねていいのかい?チートなステータスにしちゃうよ?」
「それはそれでいいかもしれませんね」
「...では魔術、剣術、体術、柔術、格闘術、記憶力、に割り振っておこう。残りは特殊能力に振っておこうかな」
「特殊能力?」
「まれに固有の能力をもった生物が生まれるこの世界は、その能力をそう呼称する。生まれもったその力所有者の命尽きるまで、もしくは所有者の認めた者に渡すまで消えることはない」
「へぇ~」
所有者は子孫へと受け継がせたりしているのだろうか...
「君の特殊能力は変身と認識阻害だ」、
「...?」
聞きなれた英単語だけどどういう能力だろう。
「変身は言葉通り。あらゆるものに変化することが出来る。頭に浮かぶものならなんでも、だ。ただし元に戻るには一時間のインターバルが必要で、その物質の姿を真似るだけだからその辺りはは注意が必要だ。」
「不便ですね」
「デメリットは付き物だよ...で、認識阻害は触れた対象物の周囲からの認識を変える能力だ。私の姿はこれと似たような原理で見られ方を変えているんだ。使い方によるけど透明化に近いこともできる。魔眼持ちや魔術師に見破られる可能性はあるから、そこらへんは気をつけてね」
「過信は禁物ですか。肝に銘じておきます」
「そして最後は君にとってふさわしいスキルだ!」
ふさわしい...スキル...
「ポジティブ思考と善悪感知だ!」
...??
「えっと、ひとつずつ説明をお願いします」
「ポジティブ思考は名のとおり物事をポジティブに進めるスキルだ。常時発動するので使い忘れの心配はないぞ」
「いや別に心配とかしてないですよ。必要なのかなって思っただけで」
「幸せに生きるには、まず本人の心のありようから変えていかないとね。ハッピーな思考を持つものにはハッピーが訪れるものだよ」
別の意味のハッピーじゃないかな。
「もうひとつの善悪感知というのは?」
「対象の本意を見抜くスキルだ。本心が善か悪かを感知することができる。無関心の場合は反応しない」
「嬉しいような嬉しくないような...」
人の善悪を除き見るなんて悪趣味なスキルだけど、必要になる時が来るだろうか...
「以上が君に与える神の恩恵だ。嬉しさを噛み締めるがいいさ」
「わーありがとうございます(棒)」
「臆面もなく私とここまで対等に会話できるメンタルは尊敬するよ。では私はこれにて失礼するよ、よき転生ライフを」
そう言って神様は霧に飲まれるように消えていった。
神様がいなくなり、辺りは静かな森になる。
頭の中を整理するが、いまだに自分が死んだ実感が沸かない。こうして体も心も無事なのだから。
でも今はこの世界を存分に生きよう。元の世界で出来なかったこともたくさんあるし。