神は一長一短
「死亡...ですか...」
「もっというと存在の消滅かな。今回の件は私からも謝罪をしておく。すまなかった」
「いやいやなんで神様が謝るんですか。」
僕が死亡(消滅)したことにも疑問があるがなぜ神様が謝るのかが分からない。
「君が病室で目を閉じ、休眠をとろうとしたよね?あの時に消滅したんだ。」
「なんで僕が...」
「言いたいことはいろいろあると思うが、私から事の一端を説明させて欲しい」
神様が言うには僕が住んでる世界以外にもいろいろな世界が存在するらしい。
「私が君の世界の管轄を任されている神だ。それぞれひとつの世界にひとり、神がいる。私はその中の一人」
神様を「一人」と数えていいのか?と思ったけど、伏せておくことにした。
「とある神が、管轄する世界の一人の動物に入れ込んでしまった。そして生物に起こりうる死がその動物に訪れたとき、神はその動物の死を回避させたんだ」
「神様は生き物の死を回避させたり、死んだものを生き返らせたりするのは可能なんですか?」
「可能だけど本来はしてはいけない。自然の摂理を捻じ曲げることは重罪だからね。話を戻そう。本来してはいけない死の移動をしてしまったその神は重罪に処され、神界から追放されてしまった。」
「ということは、その回避された死が...」
「そう。君に当たってしまったんだ。」
信じられない。いや、神様登場の時点でおかしかったけど、死の回避なんて...
「その回避された死が、空間を越え、君のいる世界に来てしまった。」
「...でも回避された死がなぜ僕に...?」
「それは分からない...どうやって空間を越えたのかも、なぜ君に当たってしまったかもね」
理不尽すぎるよそんなの...
「その死が消滅という形になったのは、他の世界の死を集めてしまったと考えている。存在ごと消えるなんてありえないからね」
「存在ごと...?」
「ああ。君が生まれた事実も、君が生きてきた人生も無かったことになっている。」
そうか...結局神にまで見放されたか...僕の人生に意味なんて無かったのか...
「その消滅を感知出来なかった僕の不手際ある。だから、せめてものお詫びとしてこの場を設けている。」
「...何のためにここに呼んだんですか...」
「君の存在を転生させるためさ」
転...生...?
文字通り生まれ変わるってことか?
「不条理な存在消滅の代換として、他の世界での転生を上から許可された」
「神社会も上下あるんですね」
「聞かなかったことにしてくれ...それで、私からのお詫びとして転生先で君に何か授与したいと思う」
「...いいんですか?」
「消滅を避けられなったのは私の責任でもあるからね。さ、何でも言ってくれたまえ。」
僕が望むもの...それは...
「幸せな人生を送りたいです」
「...かなりアバウトな願いだけど、いいのかい?」
「はい。僕の人生決して満足とはいえないので、今度は他人から羨まれるような、最後に笑えるような人生でありたいです」
「...了解した。君の願い確かに聞き届けた。それでは良き人生を。」
そう言った直後視界がぼやけ、眠りにつくような感覚に襲われた。