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初めまして【相棒】・そしてお兄様との事






 【魔力属性検査】は五歳の誕生日に皆受ける。

 正確に生まれた日が分からない子も大体生まれた季節の空いた日に受ける事となる。

 

 平民の子は教会で。

 近くに教会が無い場合は近くにいる錬金術師に。

 ちなみに国が管理している錬金術師は少し大きな村には常駐していて、そうじゃ無い場合は各地の領主お抱えの錬金術師が各村を定期的に巡っている。

 この国では錬金術師は身近な存在って事なんだろうね。

 これが他の国だとそこら辺は魔術師が担っているんじゃないかな?

 という事で教会は無くても錬金術師は大抵いる。

 それでも駄目って時はないでもないけど、其処まで行くと運が悪いというよりも他から妨害工作がされていると考えた方がいいかもしれない。

 ただ平民の子に誰が妨害なんてするの? って話だから、結局運が悪いと言うか間が悪い人間と言われるし、後々の語りぐさになる。

 又物語のような悪辣領主の場合錬金術師を囲い込み、国が錬金術師を派遣する事を阻止した上で補助金を着服したりする。

 だからこんな語りぐさが聞こえてきたり、実例が存在すると調査されるらしい。

 ……まぁ公然の秘密というか、一応信憑性の高い噂の域を出ないというか。

 表だってはいないある種の都市伝説のような存在って事だけどね。

 

 ともかく平民の子等は五歳になると何処かで検査を受けるって事。

  

 貴族はお抱えの錬金術師かフリーの錬金術師の作った魔道具を買い自宅で検査する事が大半である。

 私もその例に漏れず家で検査を受ける事になったでしょ?

 検査を受ける時の光景としては珍しくも無い光景って奴だったらしいよ。

 其処におかしな邪魔が絡んだからのあの騒動だったみたい。

 

 この結果は国に提出する。

 これで成人って訳じゃ無いけど、私は○○家の○○です、ってようやく名乗れる訳。

 だから心の中で呟くのはともかく、声に出して名乗る時、この洗礼式のような検査をしないと家の姓を名乗れず「○○です」と名乗る事しか許されない。

 検査を受ける事でようやく一人前じゃなくて半人前? になれるって訳。

 家の事を詳しく教えて貰ったり、家庭教師を付けて貰うようになったり、本格的に魔法の修練を積んだり。

 社交界にもこの年から本格的にデビューって事になる。

 それまでは近しい人間や友人関係のパーティのみに参加できたのが、様々な所から招待され、それに参加可能になる。

 本格的な教育が始まって、同じように本格的に貴族として歩み始めるって感じになる。


 ――ある意味戸籍を得ると考えればいいよね?


 『地球』ならば出生届は生後直ぐに出す事になっているけど、この国……というよりもこの世界では五歳まで生きられず亡くなる子供が大勢いる。

 七歳までは神の子、じゃないけど、それに近い意味で五歳までは健やかに育つ事に腐心する。

 

 確かに此が平民になるとただ遊ばせておく事は出来ないかもしれない。

 出来てもお手伝いぐらいだ。

 まぁ物理的に体が小さいし、精神的にも遊び盛りだから落ち着いてお手伝いなんて出来る子がどれだけいるのか? って話でもあるんだけどね。

 それでも五歳までは健康に育つ事が第一である事には変わりない。

 

 貴族なんかは五歳までは母親や使用人がマナーを躾ける事ぐらいしかしない。

 自力で字を学び本を読む事は止められないけど、魔法を使ってみたいと思っても魔法の本は届かない位置に置いてあって誰も取ってくれない。

 ひっそり読むには高さが高すぎて無理。

 台とかも片付けられていて貴族の子供が一人で探すなんて無理。

 錬金術師の工房や魔術師の部屋はしっかり施錠されていて本人と認めた存在以外は入る事すら出来ない。

 

 徹底的に危険は排除されている。

 使用人の人達の監視の目もあるし、無茶は出来ないのが普通である。

 

 ……ちなみに魔法の本を読みたいと色々画策して撃沈したのは前世の記憶も戻っていない時期の『わたくし』だったりする。

 こういう所からも根幹は違わないのだなぁと遠い目になったのは仕方ないと思う。

 

 後平民の魔力属性検査の事とか平民の話を知っているのはお父様に聞いた事とようやく解禁になった本を読んだ事によってだったりする。

 都市伝説的な事を話してくれたお父様の真意は何なんだろうね?

 教訓的に貴族としての心得を教えられたっていうのもあり得ない話じゃないけど。

 ただ私が怖がってトラウマになったらどうするつもりだったのやら。

 ……そこら辺も考慮の上で話している気がしなくもない。

 お父様は侮れない人なのです。

 という事で此の件に関して私は深く追求する気は無い。

 藪をつついて蛇を出す気は無いのですよ。

 

 今は何を読もうとしても取ってくれるし色々な知識を得られて私は楽しい限りだった。

 そろそろ私にも家庭教師が付くんじゃないかな?

 早く【錬金術】の事を知りたいなぁ。

 あ、でも先に魔法の事かな?

 一応ある程度の魔法を使えないと……ってか魔力操作くらいは使えないと多分【錬金術】なんてできっこないんだろうけど。

 魔力ありきの世界なんだろうね、きっと。

 勉強はあまり好きじゃないけど、そういった勉強なら頑張れる気がする!

 私は部屋で一人これからの事に未来に思いを馳せていた。

 ……傍からみたら可笑しな子って突っ込みはしないでね?

 我に返った本人が一番思ってるからさ。






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